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カーリットホールディングスは下値切り上げ、21年3月期収益回復期待
- 2019/12/27 06:02
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
カーリットホールディングス<4275>(東1)は、化学品事業、ボトリング事業、産業用部材事業を展開している。20年3月期は収益予想の下方修正を行ったが、足元で活発な動きをみせている製品もあり、21年3月期の収益回復を期待したい。株価は安値圏で戻り一服の形だが、徐々に下値を切り上げている。出直りを期待したい。
■化学品、ボトリング、産業用部材を展開
M&Aを積極活用して規模拡大と事業多様化を推進し、化学品事業(産業用爆薬、自動車用緊急保安炎筒、危険性評価試験、電池受託評価試験、塩素酸ナトリウム、ロケット固体推進薬原料、電気二重層キャパシタ用電解液、イオン導電材料等)、ボトリング事業(飲料のボトリング加工)、産業用部材事業(半導体用シリコンウェーハ、耐火・耐熱金物、ばね・座金等)を展開している。
19年3月期のセグメント別(その他・消去前)の売上高構成比は化学品45%、ボトリング38%、産業用部材17%、営業利益構成比は化学品63%、ボトリング22%、産業用部材15%だった。
■新製品の早期上市を推進
19年度~21年度の中期経営計画「ワクワク21」の重点戦略は、研究開発・新規事業(宇宙開発事業、二次電池関連事業、ヘルスケア材料、新規機能材料・半導体材料)における新製品早期上市に向けた体制強化、M&Aによる伸長分野への積極投資、ASEANを中心とした海外市場への積極展開としている。
新製品開発では、電池用特殊電極、有機太陽電池用電解液、民間ロケット用固体推進薬などの開発を推進している。
目標数値は22年3月期売上高650億円、営業利益30億円、ROE8%としている。設備投資額は修繕投資30億円、能力増強投資(ボトリング新ライン建設、受託評価試験設備拡充など)80億円、研究開発投資(固体推進薬、半導体材料など)20億円、3年間合計130億円としている。
■20年3月期減益予想だが21年3月期収益回復期待
20年3月期連結業績予想(10月31日に下方修正)は、売上高が19年3月期比7.5%減の500億円、営業利益が24.8%減の17億50百万円、経常利益が25.5%減の19億円、純利益が43.0%減の9億円としている。配当予想は19年3月期と同額の12円(期末一括)である。
半導体関連や設備投資関連の需要減速で、特に化学品事業では電子材料、産業用部材事業ではシリコンウェーハとばね・座金が影響を受ける。さらにボトリング事業において、一部製造ラインの不具合発生に伴って稼働を一時停止し、全面的リニューアルを実施したことも影響する。
第2四半期累計は、売上高が前年同期比8.7%減の242億28百万円、営業利益が43.4%減の5億82百万円、経常利益が39.8%減の6億99百万円、純利益が66.8%減の2億41百万円だった。
化学品事業は4.2%減収(自動車用緊急保安炎筒が増収、受託評価が減収、化成品が減収、電子材料が減収)で25.3%減益。ボトリング事業は14.5%減収、産業用部材事業は12.5%減収(シリコンウェーハが減収、耐火・耐熱金物が減収、ばね・座金が減収)でともに営業損失が発生した。
20年3月期は収益予想の下方修正を行ったが、足元で活発な動きをみせている製品もあり、巻き返しを図った21年3月期の収益回復を期待したい。
■株主優待制度は毎年3月末の株主対象
株主優待制度は毎期末(3月31日)時点の株主を対象として実施している。保有株式数および保有期間に応じてギフトカードを贈呈(詳細は会社HP参照)する。
■株価は下値切り上げ
株価は安値圏で戻り一服の形だが、徐々に下値を切り上げている。出直りを期待したい。12月26日の終値は622円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS38円02銭で算出)は約16倍、今期予想配当利回り(会社予想の12円で算出)は約2.0%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1130円06銭で算出)は約0.6倍、時価総額は約149億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)