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トランザスは戻り試す、20年1月期黒字予想
- 2019/12/27 05:34
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
トランザス<6696>(東マ)はIoT端末・機器のファブレス型メーカーで、ストック型収益構造への転換を推進している。20年1月期第3四半期累計は赤字だったが、通期は黒字を目指すとしている。収益改善を期待したい。株価は安値圏でのモミ合いから上放れて水準を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。
■IoT端末・機器のファブレス型メーカー
STB(受信端末装置)やウェアラブル端末など、IoT端末(ターミナル)や機器を製造販売するターミナルソリューション事業を展開している。ファブレス型メーカーで、製造を台湾企業に委託している。販売はSIer・商社・ソフトウェア開発事業者などのVAR(付加価値再販パートナー)企業を通じて行う。
VOD(ビデオ・オン・デマンド)などの映像受信端末装置であるSTBを、特定の機能に絞った単機能型の低価格コンピュータとして、ホテルでフロントが一括管理するルームコントロールシステムなどに活用していることが特徴である。ホテル・民泊・飲食業、物流業、製造業などの分野向けを中心に事業展開している。
なお20年1月期から売上区分を、IoTソリューション(Hospitality市場=ホテル・飲食等、Enterprise市場=その他企業)、IT技術(システム保守・開発等)、ITサービス(ソリューション導入後の各種ITサービス提供)とした。
■ストック型収益構造への転換を推進
収益面の特性として、案件によって四半期業績が変動しやすく、さらに納品が第2四半期や第4四半期に集中する季節要因もある。このため装置・システム売り切りのフロー型収益構造から、サブスクリプションモデル(月額課金型)のストック型収益構造への転換を推進する方針だ。そして次世代型VOD、ウェアラブル端末、IoTコントローラー、民泊オンライン・チェックイン・システム、ホスピタリティロボットなどを開発・育成している。
ホテル向け次世代型VOD「NGH」は、宿泊客に対して高いホスピタリティを提供するコンテンツ配信システムで、19年10月提供開始した。12月9日には、宿泊施設向け広告配信プラットフォーム「NGH for Premier Ads」を20年2月から提供開始すると発表した。そしてホテル向けサービス提供事業で中期的に売上高50億円を目指す。
IoTルーム・コントローラー「AIrux」は客室の家電制御や監視を可能にして宿泊施設の作業効率向上を図る。次世代型VOD「NGH」と連動してホテル・民泊等の宿泊施設および飲食店舗への設置を推進する。
民泊オンライン・チェックイン・システム「SHISA」は19年2月導入・運用サービスを開始した。中期的に3万室への導入を目指す。
ホスピタリティロボットは、ホテルやレストラン等のホスピタリティ業務の無人化を目指している。19年2月には東京都の都営地下鉄施設内における案内・警備ロボット実証実験に警備ロボット「TRA-DeCA」が採用された。
次世代デジタルサイネージのコンテンツ配信・プラットフォーム「Magic Spot」は、スティックをTV・ディスプレイに挿入するだけでデジタルサイネージとして使用できる。19年11月にはサブスクリプションモデルで提供開始した。
ウェアラブル端末「Cygnus」はカメラ、無線LAN、マイク・スピーカを搭載し、バーコード、QRコード、NFCタグの読み取りも可能なウェアラブル端末である。トランシーバ端末、工場ライン管理端末、レストラン向けオーダー端末、ロジスティクス向け端末、商品仕分端末としての導入を推進する。
セキュリティ機能搭載IoTルーターは、5GにおけるIoT市場のコネクティビティとセキュリティを確立するソリューションとして19年3月開発完了した。20年夏販売開始する。
なお19年8月には、IoTルーター・コントローラーについて、ガルフネットのセミナー施設にデモ施設を立ち上げて、チェーンストア向けに共同で営業展開すると発表した。またシンガポールの子会社TAPが、シンガポールのOTTO社とパートナーシップ契約を締結した。最初のプロジェクトとして、シンガポールのフォルクスワーゲンの新築5階建てビルに、全照明のIoTコントロールソリューションを導入する。
■20年1月期3Q累計赤字だが通期黒字予想
20年1月期連結業績予想は、売上高が19年1月期比27.9%増の8億88百万円、営業利益が20百万円の黒字(19年1月期は1億44百万円の赤字)、経常利益が17百万円の黒字(同1億46百万円の赤字)、純利益が17百万円の黒字(同1億66百万円の赤字)としている。
売上高の計画は、IoTソリューションが5億67百万円(Hospitality市場が4億64百万円、Enterprise市場が1億03百万円)、IT技術が1億61百万円、ITサービスが1億59百万円としている。
第3四半期累計は売上高が前年同期比24.5%増の4億33百万円、営業利益が1億42百万円の赤字(前年同期は1億60百万円の赤字)、経常利益が1億43百万円の赤字(同1億57百万円の赤字)、純利益が1億48百万円の赤字(同1億70百万円の赤字)だった。開発投資負担などで赤字だった。
第3四半期累計はストック型収益構造へのビジネスモデル転換途上で、通期は増収効果で黒字を目指すとしている。収益改善を期待したい。
■株価は戻り試す
株価は安値圏でのモミ合いから上放れて水準を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。12月26日の終値は1499円、今期予想連結PER(今期予想連結EPS5円36銭で算出)は約280倍、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS380円68銭で算出)は約3.9倍、時価総額は約47億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)