【新春注目銘柄】東芝:構造改善の第1フェーズから高収益基盤構築の第2フェーズ入り
- 2020/1/1 08:59
- 編集長の視点
東芝<6502>(東2)は、不正会計発覚に米国の原発子会社の巨額損失が重なって債務超過となり2017年8月に東証1部から東証2部に降格された。この非常事態に対応して「東芝NEXTプラン」を推進し4年間で3兆円規模の7事業売却に加え、上場株式約2600億円、不動産約900億円も売却するとともに、上場子会社3社を完全子会社化して持続可能な財務基盤を確保して7000億円の自己株式取得を実施するなど、基礎収益力強化の第1フェーズを終了した。
今3月期下期から取り組む第2フェーズでは、高収益基盤の構築を目指しCPS(サイバー・フィジカルシステム)企業への転換を加速させる。センサーシステムで取り込んだデータをAIやIT技術で分析し駆動系(フィジカル)を動かす自動運転がこの典型の技術分野であり、このほかリチウムイオン電池、火力発電システムなどにも積極的に取り組み。
今3月期の営業利益は、1400億円(前期比3.95倍)と予想しているが、国内大手証券では収益改善ペースが市場予想を上回っているとして1550億円と上方修正し、来期1950億円、再来期2320億円とも観測している。また東証1部への復帰も、東証が移行基準の緩和を検討しており、早期実現の可能性も出ている。ライバルの日立の株価との株価ギャップは1000円超にも達し、このキャッチアップから両社が演じるシーソーゲームが、新年のマーケットを賑わし注目される展開も想定範囲内となる。(本紙編集長・浅妻昭治)
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