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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ソーバルは高値更新の展開、今期業績の増額余地や株主還元姿勢を評価
- 2015/5/1 07:04
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ソーバル<2186>(JQS)は組み込みソフト開発などエンジニアリング事業を展開している。株価は高値更新の展開だ。14年9月の1049円を突破して4月27日の上場来高値1234円まで急伸した。16年2月期業績見通しの増額余地や積極的な株主還元姿勢を評価して上値追いの展開だろう。
組み込みソフト開発、ウェブ/スマホアプリ開発、ハードウェア設計・開発などのエンジニアリング事業を展開している。優良な大口顧客を抱えていることが特徴で、12年9月にはオムロン<6645>向けを主力とするモバイルコンピューティングテクノロジーズ(現MCTEC)を子会社化した。
15年2月期の主要顧客別売上構成比は、キヤノン<7751>グループが63.3%、ソニー<6758>グループが11.9%、富士通<6702>グループが8.5%、NTT<9432>グループが3.7%だった。15年2月期はソニーグループの構成比が14年12月期に比べて2.4ポイント上昇した。
M&Aも積極活用して顧客や分野の多様化、新規事業の開拓、そして人材の確保を推進している。15年3月にはアンドールシステムサポート(東京都)を子会社化(株式譲渡5月1日予定)すると発表した。同社は車載システム開発、生産ラインや物流搬送設備などの制御システム開発に強みを持ち、子会社化することで組み込み用ソフトウェア・ハードウェア受託開発分野の業容拡大に繋がるとしている。また同社の大阪支社を当社グループの関西圏進出の拠点と位置付けて積極的な事業展開を推進する方針だ。
一方で4月10日には、RFID事業をアートファイネックス(福井県)に譲渡(15年3月31日付)すると発表した。15年2月期にソフトバンク関連の機器置き換え特需が一段落して、今後大きな成果は難しいと判断した。経営資源をエンジニアリング事業に集中する。
前期(15年2月期)連結業績は売上高が前々期比4.5%増の6920百万円、営業利益が同6.4%増の5億51百万円、経常利益が同8.5%増の5億60百万円、純利益が同10.3%増の3億33百万円だった。
配当予想は前回予想に対して5円増額し、同10円増配の年間31円(第2四半期末13円、期末18円)とした。配当性向は40.1%となる。なおROE(自己資本当期純利益率)は13.5%で同0.5ポイント上昇し、自己資本比率は70.8%で同6.0ポイント低下した。
本社移転費用48百万円、厚生年金基金脱退損失38百万円などを吸収して期初計画を上回る増収増益だった。エンジニアリング事業で主要顧客の研究開発関連プロジェクトの受注が高水準に推移し、新規顧客の開拓、受託案件の作業効率化、ノウハウの共有なども寄与した。
四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(3月~5月)17億74百万円、第2四半期(6月~8月)16億86百万円、第3四半期(9月~11月)17億65百万円、第4四半期(12月~2月)16億95百万円で、営業利益は第1四半期2億01百万円、第2四半期70百万円、第3四半期1億73百万円、第4四半期1億07百万円だった。第2四半期の営業利益は本社移転費用計上という一時的要因が影響した。
今期(16年2月期)の連結業績見通し(4月10日公表)は、売上高が前期比2.6%増の71億円、営業利益が同5.1%増の5億80百万円、経常利益が同3.5%増の5億80百万円、純利益が同5.0%増の3億50百万円、配当予想が同7円増配の年間38円(第2四半期末19円、期末19円)としている。予想配当性向は45.6%となる。
エンジニアリング事業の受注が増加基調であり、新規顧客の開拓、受託案件の作業効率化、エンジニアの技術力アップとローテーションによる稼働最適化も推進する。なお新規連結のアンドールシステムサポート(5月1日付で子会社化)の業績は織り込んでいないため増額余地があるだろう。
製造業では技術者不足が深刻化しているため、新製品開発関連などで優秀な技術者に対するニーズが一段と高まっている。人材やパートナー企業の確保が課題だが、エンジニアのワーク・ライフ・バランスの充実、エンジニアの技術力向上、プロジェクトマネージャー・プロジェクトリーダーの育成、精度の高いプロジェクト管理、そして積極的なM&A戦略などの効果で中期的に収益拡大基調だろう。
なお株主優待制度については、毎年8月31日現在で1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。100株以上~500株未満保有株主に対して500円相当のQUOカード、500株以上保有株主に対して2000円相当のQUOカードを贈呈する。
株価の動きを見ると、900円~950円近辺のモミ合いから上放れの展開となり、14年9月の1049円を突破して4月27日の上場来高値1234円まで急伸した。16年2月期の増収増益見通しに加えて、大幅連続増配という積極的な株主還元姿勢が評価されている。
4月30日の終値1155円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS83円32銭で算出)は13~14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間38円で算出)は3.3%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS599円57銭で算出)は1.9倍近辺である。
目先的にはやや過熱感もあるが、週足チャートで見ると13週移動平均線と26週移動平均線が上向きに転じて強基調の形だ。指標面には依然として割安感があり、16年2月期業績見通しの増額余地や積極的な株主還元姿勢を評価して上値追いの展開だろう。