ピックルスコーポレーションは上値試す、20年2月期大幅増益予想で3Q累計順調

 ピックルスコーポレーション<2925>(東1)は漬物・キムチ製品の最大手である。主力の「ご飯がススム キムチ」ブランド力が向上し、惣菜製品の強化、ECや外食・飲食といった新規領域への展開を推進している。20年2月期大幅増益予想である。第3四半期累計は大幅増益と順調だった。通期予想に再上振れ余地がありそうだ。収益拡大を期待したい。株価は12月の上場来高値から反落したが、目先的な売り一巡感を強めている。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■漬物製品の最大手で「ご飯がススム キムチ」ブランド力向上

 漬物・キムチ製品の最大手である。主力の「ご飯がススム キムチ」シリーズのブランド力向上とともに収益力が大幅に向上し、キムチ製品や惣菜製品の開発強化と新製品の積極投入、西日本(近畿・中国・四国・九州)への販売エリア拡大、量販店惣菜売場・ドラッグストア・配食事業など販売先の拡大、ECや外食・飲食といった新規領域への展開を推進している。

 19年2月期の品目別売上構成比は製品60.6%(浅漬・キムチ40.4%、惣菜18.2%、ふる漬2.1%)および商品(漬物、調味料、その他)39.4%だった。販路別売上構成比は量販店・問屋等76.5%、コンビニ13.0%、外食・その他10.5%だった。セブン&アイ・ホールディングス<3382>など大手量販店・コンビニが主要取引先である。収益面では原材料の野菜(特に胡瓜と白菜)価格の影響を受けやすい特性がある。

 関西地区の生産体制を強化するため17年12月手柄食品(兵庫県姫路市)を子会社化した。また九州地区で事業拡大するためピックルスコーポレーション西日本の佐賀工場が18年4月稼働した。

■ECや外食・小売の新規領域にも展開

 新たな販売チャネルとして、ECや外食・飲食といった新規領域への展開も推進している。18年4月、ピーネ12乳酸菌活用した商品のECサイト「ピーネオンラインショップ」と、国産・化学調味料不使用にこだわった漬物のECサイト「八幡屋オンラインショップ」を開設した。19年4月にはピーネ関連製品を製造する新工場が完成した。

 19年2月にはBtoC事業強化に向けて外食・小売事業への参入を発表した。グループ商品を活用した外食(レストラン・カフェ)事業および小売(漬物・甘酒・調味料等の販売)事業を行う。19年8月には運営子会社のOHが埼玉県飯能市の施設「OH!!!発酵・健康・食の魔法」の起工式を実施した。事業開始は20年春頃予定で、設備投資額は概算7億円、売上高は初年度7億円を計画している。

■20年2月期大幅増益予想で3Q累計順調、通期予想に再上振れ余地

 20年2月期連結業績予想(9月18日に上方修正)は、売上高が19年2月期比5.0%増の427億16百万円、営業利益が31.4%増の18億53百万円、経常利益が27.8%増の19億96百万円、純利益が42.5%増の13億12百万円としている。配当予想(11月7日に期末2円増額修正)は19年2月期比2円増配の30円(期末一括)としている。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比1.4%増の314億10百万円、営業利益が35.6%増の15億73百万円、経常利益が31.8%増の16億83百万円、純利益が52.4%増の11億55百万円だった。主力のキムチ製品の販売が堅調に推移し、原料野菜価格の安定や佐賀工場の本格稼働に伴う利益改善も寄与して大幅増益だった。

 通期も惣菜製品の拡販や佐賀工場の製造効率改善などで、売上高、利益とも過去最高更新予想である。品目別売上計画は製品が8.2%増の266億74百万円、商品が0.2%増の160億41百万円としている。

 広告宣伝費の増加で第3四半期の利益が伸び悩んだ形だが、第3四半期累計の進捗率は売上高が73.5%、営業利益が84.9%と順調である。原料野菜価格の安定も寄与して通期予想に再上振れ余地がありそうだ。収益拡大を期待したい。

■中期的に収益拡大基調

 中期目標値には、22年2月期売上高465億41百万円(浅漬・キムチ187億36百万円、惣菜93億円、ふる漬8億55百万円、商品169億円、外食・小売7億50百万円)、営業利益17億77百万円、経常利益19億55百万円、純利益12億48百万円を掲げている。設備投資はピーネ工場、OH施設、中京工場増床、設備更新などで20年2月期からの3年間で合計41億75百万円を計画している。

 天候不順による野菜価格高騰が業績変動要因となるが、中期的に収益拡大基調が期待される。

■株主優待制度は20年2月期末から導入

 株主優待制度は20年2月期末から導入する。毎年2月末時点で100株以上保有株主を対象として、商品詰め合わせセットなど(数種類から1点選択、詳細は会社HP参照)を贈呈する。

■株価は上値試す

 株価は12月の上場来高値から反落したが、目先的な売り一巡感を強めている。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。1月7日の終値は2678円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS205円07銭で算出)は約13倍、今期予想配当利回り(会社予想30円で算出)は約1.1%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1849円88銭で算出)は約1.4倍、時価総額は約171億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  2. ■2024年度上半期163件で過去最多更新  人手不足による倒産が急増している。帝国データバンクの…
  3. ■新たなモビリティ社会実現に向けた取り組み加速  トヨタ自動車<7203>(東証プライム)は10月…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  2. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…
  3. ■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し  金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の…
  4. ■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る