【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ケンコーマヨネーズ高値圏で堅調、16年3月期増収増益期待で上値試す

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 ケンコーマヨネーズ<2915>(東1)は、マヨネーズ・ドレッシング分野を主力として、タマゴ加工品・総菜関連分野への事業領域拡大戦略を加速している。株価は4月6日の上場来高値1793円後の上げ一服局面だが、高値圏で堅調に推移している。好業績を評価する流れに変化はなく、16年3月期増収増益期待で上値を試す展開だろう。なお5月11日に15年3月期決算発表を予定している。

 サラダ類、マヨネーズ・ドレッシング類、タマゴ加工品などの調味料・加工食品事業、フレッシュ総菜などの総菜関連事業、その他事業(ショップ事業、海外事業)を展開している。

 中期経営計画で掲げた「サラダカフェ」「サラダ料理」「世界のソース」「タマゴ製品」など、タマゴ加工品・総菜関連分野への事業拡大戦略を加速し、新商品を積極投入している。また業務用メーカーからの脱皮を目指し、13年9月販売開始した「サラダのプロがつくった」サラダシリーズなど、BtoC市場への事業展開も強化している。

 サラダカフェ事業は30店舗構想を掲げて百貨店やショッピングモールへのショップ展開を進めている。4月27日には「Salad Cafe ルミネ立川店」がオープンした。また14年11月に東芝<6502>と業務提携して、東芝の植物工場「東芝クリーンルームファーム横須賀」で生産した野菜に当社製粉末ドレッシングを添付したコラボレーション商品を「サラダカフェ」で販売している。

 生産面では14年3月に静岡富士山工場が竣工して供給能力を増強した。さらに生産効率改善に向けた生産拠点統廃合も推進している。

 国内では子会社の関東ダイエットエッグ新座工場(埼玉県)を14年9月に閉鎖し、静岡富士山工場に生産集約した。海外では当社と味全食品工業股份有限公司が50%ずつ出資する頂可(香港)控股份有限公司の子会社である東莞頂可食品有限公司(持分法適用関連会社)を14年8月末で解散し、主力工場の杭州頂可食品有限公司へ生産集約した。いずれも生産拠点統合に伴う一時的費用が発生するが業績に与える影響は軽微としている。

 なお15年2月には、インドネシア工場で製造し、インドネシアのハラール認証を取得して現地の一般消費者向けに販売しているマヨネーズタイプ「おマヨ/omayo」について、オンラインショップで販売開始した。

 前期(15年3月期)連結業績見通し(5月12日公表)は売上高が前々期比4.7%増の600億円、営業利益が同19.0%増の28億90百万円、経常利益が同19.5%増の27億円、純利益が同25.6%増の15億90百万円、配当予想が同2円増配の年間23円(第2四半期末10円、期末13円)としている。

 第3四半期累計(4月~12月)は前年同期比4.2%増収、10.1%営業増益、7.6%経常増益、9.5%最終増益と好調に推移し、通期見通しに対する進捗率は売上高76.4%、営業利益80.5%、経常利益79.3%、純利益78.4%と高水準だった。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)147億41百万円、第2四半期(7月~9月)153億50百万円、第3四半期(10月~12月)157億64百万円、営業利益は第1四半期6億35百万円、第2四半期7億59百万円、第3四半期9億31百万円と拡大基調である。

 今期(16年3月期)も増収増益基調が予想される。鶏卵や野菜などの原材料価格が収益変動要因となるが、タマゴ加工品を中心にコンビニエンスストア向け新規採用が増加基調であり、高付加価値商品の拡販、工場操業度の上昇、静岡富士山工場立ち上げ費用の一巡、原材料高に対応した価格改定効果も寄与する。

 分野別・業態別チームによるきめ細かな営業対応、メニュー提案力の強化、新商品投入などの戦略が奏功して、コンビニエンスストア・食品スーパー・外食向けに、サラダ・総菜類やタマゴ加工品の採用が順調に拡大している。高付加価値商品拡販や生産効率改善も寄与して中期的に収益拡大基調だろう。

 なお株主優待については毎年3月末日現在の株主に対して実施している。1単元(100株)以上~10単元(1000株)未満所有株主に対して当社商品1000円相当、10単元以上所有株主に対して当社商品2500円相当を贈呈する。

 株価の動きを見ると、4月6日に上場来高値1793円をつけた後は上げ一服の形だが、高値圏1600円~1700円近辺で堅調に推移している。好業績を評価する流れに変化はなく自律調整の範囲だろう。

 4月30日の終値1647円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS111円89銭で算出)は14~15倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間23円で算出)は1.4%近辺、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS1112円55銭で算出)は1.5倍近辺である。

 週足チャートで見ると14年夏を起点とする上昇トレンドだ。そしてサポートラインの13週移動平均線が接近して再動意のタイミングのようだ。16年3月期増収増益期待で上値を試す展開だろう。

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