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中本パックスは上値試す、20年2月期3Q累計減益だが株価の反応限定的
- 2020/1/17 05:06
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
中本パックス<7811>(東1)はグラビア印刷を主力として、コーティング加工、ラミネート加工、成形加工も展開している。収益力向上と全天候型の安定経営を目指している。20年2月期第3四半期累計が減益となり、通期下振れに注意必要だが、第4四半期の挽回を期待したい。株価は戻り歩調だ。第3四半期累計減益に対するネガティブ反応は限定的で、19年1月の昨年来高値に接近している。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。
■グラビア印刷が主力
グラビア印刷を主力として、コーティング加工、ラミネート加工、成型加工も展開している。食品包装分野を主力として、全天候型経営による収益拡大・安定成長を推進している。
19年2月期用途分類別売上構成比は食品(弁当・惣菜等の容器およびトレー、乳製品・菓子・豆腐・ハム・ソーセージ等の食品包装)69%、IT・工業材(PC、スマホ、自動車内装材)14%、生活資材(布団の圧縮袋等日用品)10%、医療・医薬(医薬品の外装袋・個包装、湿布等のセパレートフィルム)4%、建材(家具、ふすま紙、壁紙)2%、その他1%で、売上総利益構成比は食品50%、IT・工業材22%、生活資材17%、医療・医薬6%、建材3%、その他2%だった。
高度な技術力をベースとして、グラビア印刷では競合の少ない厚み領域や多用途での展開、コーティング加工では幅広いニーズに迅速かつ柔軟に対応可能な体制構築、ラミネート加工では様々な用途・ニーズへの対応を強化している。また自社開発Nブランド製品の用途拡大・拡販も推進し、Nブランド製品の売上高の中長期目標を50億円としている。
■20年2月期3Q累計減益
20年2月期連結業績予想は、売上高が19年2月期比6.6%増の362億円、営業利益が8.2%増の17億80百万円、経常利益が9.8%増の18億50百万円、純利益が9.8%増の12億70百万円としている。配当予想は19年2月期と同額の56円(第2四半期末28円、期末28円)である。
第3四半期累計は売上高が前年同期比0.6%減の257億11百万円、営業利益が10.5%減の11億98百万円、経常利益が9.8%減の12億36百万円、純利益が6.3%減の8億40百万円だった。
分野別の売上増減率および売上総利益増減率は、食品が2.0%減収で2.8%減益、IT・工業材が13.3%減収で18.1%減益、医療・医薬が4.8%増収で8.7%減益、建材が82.6%増収で41.9%増益、生活資材が0.8%減収で16.1%増益、その他が61.7%増収で17.8%増益だった。
主力の食品分野はコンビニエンスストアの成長鈍化や災害の影響で受注が不安定だった。IT・工業材分野は電子部品の在庫調整の影響で低調だった。医療・医薬分野は販売価格下落の影響で減益だった。建材分野は機能性建材の新規案件、生活資材分野は利益率の高い製品が寄与して増益だった。その他では食品メーカー向けに包装機が採用された。
第3四半期累計の進捗率は売上高71.0%、営業利益67.3%とやや低水準である。通期下振れに注意必要だが、第4四半期の挽回を期待したい。
■中期的に経常利益25億円目指す
中期経営目標値として売上高500億円、経常利益25億円を掲げている。重点戦略としては、収益力向上と全天候型の安定経営、環境経営の推進とNブランド製品の拡販、エンジニアリング部新設(19年3月)による事業強化とスピードアップ、チャイナプラスワンおよび北米市場での販売強化による海外事業の拡大、M&Aの積極活用、基幹システム刷新(20年9月目標)による省力化・コストダウン・効率化の推進を掲げている。
19年9月には、自動車産業のグローバルなサプライチェーンへの対応と、海外売上比率の向上を図るため、ベトナムに子会社を設立する検討を開始すると発表した。環境対応の高付加価値製品の拡大などで、中期的に収益拡大を期待したい。
■株価は上値試す
株価は戻り歩調だ。第3四半期累計減益に対するネガティブ反応は限定的で、19年1月の昨年来高値に接近している。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。1月16日の終値は1656円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS155円40銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想56円で算出)は約3.4%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1425円81銭で算出)は約1.2倍、時価総額は約135億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)