イワキは上値試す、20年11月期増収増益・4期連続増配予想

 イワキ<8095>(東1)は医薬品・医薬品原料・表面処理薬品を主力とする専門商社である。医薬品を中心としたヘルスケア・ファインケミカル企業集団を目指している。19年11月期は増収増益・増配だった。20年11月期は増収増益・4期連続増配予想としている。収益拡大を期待したい。株価は直近安値圏から反発の動きを強めている。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■医薬品・医薬品原料・表面処理薬品を主力とする専門商社

 医薬品・医薬品原料・表面処理薬品を主力とする専門商社である。子会社の岩城製薬(医薬品)やメルテックス(表面処理薬品)のメーカー機能を強化し、医薬品を中心としたヘルスケア・ファインケミカル企業集団を目指している。

 19年11月期の売上構成比は、医薬・FC(Fine Chemical)事業(医薬品原料の製造販売、医薬品の製造販売、体外診断薬・研究用試薬・医療機器の販売)が40%、HBC(Health & Beauty Care)事業(化粧品原料・機能性食品原料の販売、一般用医薬品・関連商品の卸売、化粧品通信販売)が39%、化学品事業(表面処理薬品・電子工業薬品・化成品の製造販売、表面処理設備の製造販売)が12%、食品事業(食品原料の製造販売)が7%、その他が2%だった。

 なお20年11月期からセグメント区分を、ファインケミカル事業(医薬品原料の製造販売)、医薬事業(医薬品の製造販売、医療機器の販売)、HBC・食品事業(化粧品原料の販売、一般用医薬品および関連商品の卸売、化粧品通信販売、機能性食品原料の販売、食品原料の販売)、化学品事業(表面処理薬品の製造販売、プリント配線板等製造プラントの製造販売)とする。

■中長期ビジョンで売上高1000億円以上目指す

 中期的な事業基盤強化と収益拡大に向けて、医薬品事業での開発・受託の拡大、自社企画商品の開発強化、医薬品原料事業における市場シェア拡大、海外サプライヤーとの連携強化、岩城製薬の生産能力増強と新製品開発、メルテックスの新製品拡販、海外展開強化などを推進している。なお経営資源の集中化を図るため、動物用医薬品卸売の連結子会社2社(ホクヤク、エイ・エム・アイ)の全株式を19年9月譲渡した。

 中期経営計画(ローリング方式、20年11月期~22年11月期)では目標数値に、22年11月期売上高750億円、営業利益32億円、ROIC8.5%を掲げている。また創業111周年(25年11月期)に向けた中長期ビジョンでは、目標として連結売上高1000億円以上、NO.1マーケットシェア、ROIC10%以上を掲げている。配当方針は、安定的かつ業績連動性を持たせた「純資産配当率(DOE)下限1.5%で連結配当性向30%目途」としている。

■20年11月期増収増益・4期連続増配予想

 19年11月期連結業績は売上高が18年11月期比2.6%増の616億47百万円、営業利益が14.7%増の21億21百万円、経常利益が15.9%増の23億18百万円、純利益が8.4%増の15億33百万円だった。配当は2円50銭増配の13円(第2四半期末6円、期末7円)とした。3期連続増配である。

 売上高は計画をやや下回ったが、営業利益と経常利益は計画超の2桁増益だった。医薬・FC事業が9.9%増収、36.0%営業増益と牽引した。医薬品原料では抗アレルギー剤などが好調に推移し、販売価格是正も進展した。医薬品では主力の外皮用剤が好調に推移し、高薬価品の伸長も寄与した。HBC事業は1.9%減収で営業赤字化した。機能性食品原料が最終製品販売不調の影響、化粧品原料が海外向け需要減少の影響を受けた。化学品事業は6.8%増収だが、7.0%営業減益だった。表面処理薬品で、海外中心に銅メッキ添加剤が好調だったが、受動部品向けが低調だった。全体として米中貿易問題などの影響を受けた。食品事業は0.5%減収、営業赤字だった。

 20年11月期の連結業績予想は、売上高が19年11月期比3.8%増の640億円、営業利益が3.7%増の22億円、経常利益が3.5%増の24億円、純利益が10.9%増の17億円としている。過去最高の売上、利益を目指す。収益拡大を期待したい。配当予想は1円増配の14円(第2四半期末7円、期末7円)としている。4期連続増配である。

■株主優待制度は19年11月期末から導入

 株主優待制度は19年11月期末から導入した。毎年11月末時点で100株(1単元)以上を継続して1年以上保有株主を対象として、グループ化粧品詰め合わせセットなど(詳細は会社HP参照)を贈呈する。

■株価は上値試す

 株価は直近安値圏から反発の動きを強めている。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。1月17日の終値は475円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS51円95銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の14円で算出)は約2.9%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS624円09銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約165億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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