【株式評論家の視点】幸和製作所は「転倒防止ロボット歩行車」の来期上市目指す、大きく突っ込む場面は買い妙味
- 2020/1/21 06:54
- 株式評論家の視点
幸和製作所<7807>(JQS)は、2017年11月28日に東京証券取引所JASDAQに上場。同社は、1965年創業で国内初となる高齢者用の歩行補助車(シルバーカー)を開発。主要な製品は、シルバーカー、歩行車および杖など歩行補助を目的とした福祉用具で、 他の福祉用具メーカーやホームセンター等のOEM生産及びシャワーチェア等の福祉用具全般の生産及び販売を行っている。
同社は、取扱い製品領域の拡大、シニア関連事業の拡大、介護ロボット事業の確立、海外事業の開拓を主な経営方針として、事業活動を行っている。
今2020年2月期第3四半期においては、取扱い製品領域の拡大では、株式会社シクロケアを連結子会社化し、同社が取り扱う介護保険における住宅改修用品および介護保険貸与(レンタル)の対象となる手すりやスロープ、また、介護保険販売の対象種目となる特定福祉用具の入浴補助具(すのこ)等と、これまで同社の市場シェアが低いもしくは参入できなかった製品領域への参入を推進している。
シニア関連事業の拡大では、18年11月に設立した株式会社ネクストケア・イノベーションが、19年1月からEC事業を開始し、インターネットを利用した福祉用品の販売を展開している。また、19年3月から連結子会社化した株式会社幸和ライフゼーションは、デイサービス事業および福祉用具貸与(レンタル)事業等を行い、介護サービスまで事業領域を拡大している。
介護ロボット事業の確立では、「自立支援型転倒防止ロボット歩行車」の21年2月期の上市に向けた開発を進め、開発と並行しながら販路開拓に向けて市場調査を行っている。
海外事業の開拓では、すでに老人長期療養保険制度(日本の介護保険に相当する制度)が導入されている韓国を中心に受注は堅調に推移している。また、18年2月から介護保険制度が導入となった台湾においては、販売代理店との関係強化や展示会への出展等を進めている。
1月10日大引け後に発表した今20年2月期第3四半期業績実績は、売上高48億400万円(前年同期比34.4%増)、営業損益6400万円の黒字(同5100万円の赤字)、経常損益1億300万円の黒字(同2300万円の赤字)、最終損益1億5900万円の赤字(同1億1700万円の赤字)に着地。
同日に今20年2月期業績予想と配当予想の下方修正を発表。通期売上高は従来予想の61億4000万円から59億600万円(前期比30.5%増)、営業損益は同1億5000万円の黒字から1億2600万円の赤字(同2億7200万円の赤字)、経常損益は同1億6900万円の黒字から9600万円の赤字(同2億6200万円の赤字)、最終損益は同2億1800万円の黒字から3億5800万円の赤字(同横ばい)を見込む。期末配当は従来予想の8円から無配となる予定で、年間配当は第2四半期の17円のみとなる。
株価は、2019年10月4日高値1725円をつけた後、1400円どころを下値にモミ合っていたが、今20年2月期業績予想の下方修正を嫌気され、1月14日安値1111円と売られる場面も見られた。来21年2月期業績予想が明らかになるまで様子見気分が強まりそうだが、「自立支援型転倒防止ロボット歩行車」の来21年2月期上市を目指していることが期待材料として意識されており、大きく突っ込む場面があれば、短期的にも買い妙味が膨らみそうだ。(株式評論家・信濃川)