ソレイジア・ファーマは下値切り上げ、がん領域創薬ベンチャー

 ソレイジア・ファーマ<4597>(東マ)は、がん領域を戦略的疾患領域とする創薬ベンチャーである。候補物質の開発権導入による臨床開発を主力としている。株価は急伸した12月の戻り高値圏から反落したが、その後は徐々に下値を切り上げている。出直りを期待したい。

■がん領域中心の創薬ベンチャー、開発権導入による臨床開発が主力

 がん領域を戦略的疾患領域とする創薬ベンチャーである。候補物質の開発権導入による臨床開発を主力としている。

 日本および中国を中心とするアジア諸国において、世界の医薬品企業やバイオテクノロジー企業から有望な製品候補を導入し、国際共同治験を含む積極的な開発戦略によって迅速な承認取得を目指している。

 なお19年12月にマルホと資本提携し、マルホが伊藤忠商事に次ぐ第2位株主となった。調達資金約17億円は、新規開発品SP-05の権利導入(20年6月までを予定)費用および開発費用等に充当する。

■開発パイプライン

 SP-01(適応症:抗悪性腫瘍薬投与に伴う悪心・嘔吐、グラニセトロン経皮吸収型製剤、導入元:Kyawa Kirin、欧米製品名:Sancuso)は、中国で18年7月承認取得し、19年3月販売開始した。香港、マカオ、台湾、マレーシア、シンガポールではサブライセンス先の協和発酵キリンが販売している。19年6月には、中国臨床腫瘍学会発行「がん治療時の悪心および嘔吐の治療用ガイドライン」において、がん治療時の標準的な制吐療法の選択肢として新たに収載された。

 SP-02(適応症:末梢性T細胞リンパ腫、抗がん剤、導入元:ZIOPHARM)は、日本・韓国・台湾・香港において第2相臨床試験(最終)を実施中である。19年中の完了予定、20年の承認申請予定である。19年9月には被験者の登録が目標症例数に到達した。中国では第2・3相臨床試験(最終)準備中である。米国では第2相臨床試験が完了している。欧州では前臨床試験が完了している。導出先として日本ではMeiji Seika ファルマ、南米ではコロンビアのHB社とライセンス契約を締結している。

 SP-03(適応症:がん化学療法および放射線療法による口内炎に伴う疼痛、口腔用液材、導入元:Camurus)は、日本で18年5月国内導出先であるMeiji Seika ファルマが販売開始した。中国では19年2月承認取得し、19年7月販売開始した。韓国では19年10月承認取得した。

 SP-04(適応症:がん化学療法に伴う末梢神経障害、導入元:PledPhama)は、日本・韓国・台湾・香港において国際共同第3相臨床試験を実施中(20年中の終了予定)である。また中国で臨床試験準備中である。19年10月PledPhamaと対象拡大方針と権利導入契約更新で合意、19年12月マルホとライセンス契約(日本における独占的販売権導出)を締結した。また19年12月には、SP-04の2つの国際共同第3相臨床試験のうち、POLAR-A試験の被験者組み入れ完了を発表した。

 19年12月にはエディットフォース(福岡市)と、同社の有するDNA/RNA編集技術を基に、がん領域での医薬品研究・開発を目的として共同研究開発契約を締結した。

 なお中国での商流構築に関しては、伊藤忠商事と中国販売にかかる代理店契約を締結している。対象製品はSP-01およびSP-03の中国販売用製品で、18年から販売体制を整備している。また自販戦略として、北京市・上海市・広州市では、自社でのセールス・マーケティングを行う。

■20年以降の上市本格化と収益化期待

 19年12月期連結業績(IFRS)予想は、売上収益が5億円~17億円、営業利益と純利益が30億円の赤字~20億円の赤字としている。売上収益にはSP-01の中国製品販売収益、SP-03の日本および中国製品販売収益、SP-02やSP-04の権利導出収益などを見込んでいる。第3四半期累計は売上高が2億91百万円、営業利益が15億85百万円の赤字だった。当面は赤字だが20年以降の上市本格化と収益化を期待したい。

■株価は下値切り上げ

 株価(19年12月30日から貸借銘柄)は急伸した12月の戻り高値圏から反落したが、その後は徐々に下値を切り上げている。出直りを期待したい。1月21日の終値は191円、時価総額は約223億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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