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ジャパンフーズは上値試す、20年3月期経常増益・最終黒字予想
- 2020/1/23 05:46
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ジャパンフーズ<2599>(東1)は飲料受託製造の国内最大手である。新規商材の受注や積極的設備投資による競争力向上などを推進している。20年3月期経常増益・最終黒字予想である。収益拡大を期待したい。株価は小動きだが徐々に水準を切り上げて昨年来高値圏だ。上値を試す展開を期待したい。
■飲料受託生産の国内最大手、フレキシブルな生産が強み
伊藤忠商事<8001>系で飲料受託製造の国内最大手である。主要得意先はサントリー食品インターナショナル<2587>、伊藤園<2593>、アサヒ飲料などの大手飲料メーカーである。品目別では炭酸飲料と茶系飲料、容器別ではペットボトル飲料を主力としている。本社工場の炭酸・非炭酸兼用無菌充填ラインは、市場環境や顧客ニーズの変化に対応したフレキシブルで効率的な生産が強みだ。
新規ビジネス分野として、連結子会社JFウォーターサービスは水宅配・ウォーターサーバーメンテナンス事業を展開している。また国内で水宅配フランチャイズ事業を展開するウォーターネット、および中国で清涼飲料受託製造事業を展開する東洋飲料(東洋製罐と合弁)を持分法適用関連会社としている。
■夏場の上期が繁忙期で冬場の下期は閑散期
個人消費や天候などの影響を受けやすい。また飲料業界全体が、夏場の上期(4~9月)に繁忙期となって生産量が増加するのに対して、冬場の下期(10~3月)は閑散期となって生産量が減少するため、下期は営業損益が赤字となる収益構造だ。
なお16年3月期から一部飲料メーカーとの取引形態が、有償支給(顧客指定の原材料を購入し、加工料+原材料費で売上計上する方法)から、無償支給(顧客指定の原材料を受給し、加工料を売上計上する方法)に変更された。このため見かけ上の売上高は大幅に減少しているが、実質的な売上高である加工料収入に影響はない。
■「100年企業」目指す
中期経営計画「JUMP+プラス2021 次のステージへ」では、持続的成長を続ける「100年企業」実現に向けて、経営課題である「ふ(防ぐ)」「け(削る)」「か(稼ぐ)」に対する取り組みを確実に進化させる方針としている。
経営目標値には22年3月期売上高189億円、営業利益10億円、経常利益11億円、純利益7億50百万円、ROE7.6%などを掲げている。配当については、定額の安定配当(1株当たり27円)に加えて、期間業績に応じて配当性向20%を限度とする期末配当の増配を行う方針としている。
重点戦略としては、コアセグメント(国内飲料受託製造)における積極的設備投資による競争力向上、新規セグメント(東洋飲料、ウォーターネット、JFウォーターサービス)における既存事業拡充、新たなビジネスモデル創出(オペレーション・メンテナンス技術の活用・収益化など)を掲げている。
17年には総合スクラップ&ビルド第1フェーズ(投資額約65億円)として、本社工場内に工場建屋、ペットボトルブロー成型機、炭酸常温充填ラインを新設・稼働した。19年4月には第2フェーズ(投資額約61億円)として、工場建屋およびSOT缶ライン新設(21年1月稼働予定)を発表した。
なお19年11月に設備投資の一部変更を発表している。第2フェーズの工場建屋およびSOT缶ライン新設等について、投資額を約61億円から約73億円に、竣工時期を20年11月下旬予定から20年12月下旬予定に変更した。より高い品質および労働安全を追求し、建物・設備性能の向上に向けて仕様を変更した。
■20年3月期経常増益・最終黒字化予想
20年3月期の連結業績予想(10月25日に下方修正)は、売上高が19年3月期比1.3%増の168億円、営業利益が8.7%減の7億円、経常利益が5.8%増の7億20百万円、純利益が4億50百万円の黒字(19年3月期は減損損失計上などで3億35百万円の赤字)としている。配当予想は19年3月期と同額の27円(第2四半期末10円、期末17円)である。
第2四半期累計は、売上高が前年同期比1.3%減の90億57百万円、営業利益が25.7%減の9億15百万円、経常利益が14.5%減の9億57百万円、純利益が12.7%減の6億53百万円だった。
国内飲料受託製造数は1.1%減の2474.7万ケースだった。第1四半期は順調だったが、7月の関東圏での長雨・日照不足、9月の大型台風の影響などで第2四半期の受注が減少した。
第2四半期累計が計画未達で減収減益となり、下期が飲料業界の閑散期となることも考慮して通期予想を下方修正したが、通期ベースで経常増益・最終黒字を確保する見込みだ。収益拡大を期待したい。
■競争力強化で中期成長期待
飲料業界全体が天候の影響を受けやすいことに加えて、大手飲料メーカーの再編や内製拡大による受託製造量減少を懸念する見方もあるが、夏場の繁忙期と冬場の閑散期という季節間の需要格差が大きい業界のため、大手飲料メーカーにとって内製拡大は設備投資や固定費負担の面でリスクが大きい。また飲料メーカーは経営効率化の観点からも、経営資源の重点をマーケティング分野にシフトする動きを強めている。
このため飲料受託生産の役割や存在感が一段と高まり、飲料受託生産の最大手として、高品質でフレキシブルな生産対応が可能な強みを発揮している。一段の競争力強化に向けた投資の成果により、受託製造数量増加、プロダクトミックス改善、コストダウンが進展して中期成長を期待したい。
■株主優待制度は毎年3月末の株主対象
株主優待制度は、毎年3月31日時点の1単元(100株)以上所有株主を対象として、自社製品詰め合わせセットなどを贈呈している。
■株価は上値試す
株価は小動きだが徐々に水準を切り上げて昨年来高値圏だ。上値を試す展開を期待したい。1月22日の終値は1300円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS93円31銭で算出)は約14倍、今期予想配当利回り(会社予想27円で算出)は約2.1%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1629円39銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約66億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)