【宮田修 アナウンサー神主のため息】衛星放送はテレビの良さの原点
- 2015/5/1 16:37
- 株式投資News
久しぶりに何気なく新聞のテレビ欄に目を通した。そう言えば最近、新聞のテレビ欄はあまり読まなくなった。テレビのリモコンのスイッチの「番組表」を押せば番組が一目瞭然でわかるからである。録画も実に簡単。便利になった。いきなり横道に逸れたが、なぜ見ていたかといえば新聞のテレビ欄に使われている言葉が実に面白かったから。
「120%興奮&超笑号泣&4時間SP」、「衝撃映像100連発」、「80人超の女子高校生生着替え」、「イケメンだらけの春祭り」、「禁断健康ランキングで大病リスクが判明」、「初密着の一日」、「土下座恥かかせてやるぜSP」、「裸と裸のぶつかり合い」これらはいずれもゴールデンタイムに放送されている民放の番組である。
私がかつていたNHKも負けていない。「秋葉原の○○ホテル」、「金魚の街にある珍風景」などなど。番組製作者の気持ちが実によく表れている。何としても自分の作った番組を観てほしいのであろう。これでもかこれでもかと扇動的な言葉を使いPRをしている。涙ぐましい限りである。この言葉を信じて私もかつて何度か観たことがある。いずれも見事に期待はずれだった。特に興奮もしなかったしし号泣する場面もなかった。
そう言えばNHKを辞めた後、民放の番組でインタビューを受けたことがある。私は尋ねられたことに普通に答えただけなのだが、放送日のテレビ欄では「もとNHKアナ激白!」となっていた。私は、誓って「激白」などしていない。穏やかに普通に答えた。「激白」これは嘘ですね。テレビ欄を盛り上げ、視聴者を一人でも増やしたいという気持ちはわからないでもないが、あ少し度を過ぎていると思いますがいかがでしょうか。こんなことしていて宜しいのですかとかつて放送業界にいた一人としては思ってしまう。
かくして私は、最近テレビをあまり観なくなった。ゴールデンタイムの民放の番組はいわゆるお笑いさんたちのばか騒ぎが多く観るに耐えない。ドラマもイマイチだ。昔よく観た刑事ものやサスペンスも犯人は登場人物の中で最も犯人ではないと思われる人が実は犯人であることが多く、こじつけが過ぎる。ニュース報道番組も全局取り上げることはすべて同じ。よく飽きもせず繰り返し繰り返し放送できるものだと呆れてしまう。
そこで最近は観るとするともっぱら衛星テレビになっている。これが実に面白いのである。いろいろなところへ連れて行ってくれる旅番組がある。歌番組もコンサートに行ったようだ。山登りや私の趣味の釣り番組もある。ニュース報道番組も一人の人のインタビューにかなりの時間を費やしている。いずれの番組もたっぷりと時間をかけ、ゆったりとテレビとともに過ごすことができる。
スタジオセットも最近は以前に比べると洗練されてきた。おそらく地上波に比べて制作予算は少ないのであろう。しかし製作者が一生懸命作っているのがわかる。頑張ってほしい。言うまでもなく放送に使われている電波は国民共通の財産である。それを特定の放送局に割り当て使うことが許されている。従って携わる人たちは是非それを踏まえて仕事にあたってほしいと思う。(千葉県長南町の宮司、元NHKアナウンサー)