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マルマエは調整一巡、20年8月期増収増益予想
- 2020/1/28 05:31
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
マルマエ<6264>(東1)は、半導体・FPD製造装置向け真空部品などの精密切削加工事業を展開している。20年8月期第1四半期は減収減益だったが、期初時点で下期偏重の計画であり、通期は増収増益予想である。受注残高は19年2月をボトムとして回復傾向である。収益回復を期待したい。株価は昨年来高値圏から反落したが、調整一巡して出直りを期待したい。
■半導体・FPD製造装置向けの精密切削加工事業
半導体・FPD(フラットパネルディスプレー)製造装置に使用される真空部品や電極などの精密切削加工事業を展開している。
パイオニアプラズマディスプレイ鹿児島工場の一部を取得し、18年4月出水事業所として稼働、電子ビーム溶接(EBW)関連の生産も開始した。19年2月には本社を出水事業所内に移転し、本社機能の充実や業務の効率化を推進している。
作業補助・介護ロボットの開発(鹿児島大学と共同研究)では、18年7月第二種医療機器製造販売業の許可を取得し、医療機器製造業の登録を行った。
中期事業計画(19年8月期~21年8月期)では目標として、売上高80億円、営業利益24億円(営業利益率30%)、資産ベースROIC20%(18年8月期実績16.4%)、負債ベースROIC15%(18年8月期実績11.8%)、配当性向30%以上(年間最低配当額10円、ただし最終損益が赤字となる場合は見直しを行う)を掲げている。
また21年8月期までに医療機器部門の事業化、自社FA技術構築による生産性革新も推進する。設備投資額は市場動向を見ながら判断するため、出水事業所が稼働した18年8月期の24.5億円をピークとして減少する見込みだ。
■20年8月期1Q減収減益だが通期増収増益予想
20年8月期の業績(非連結)予想(19年12月20日に売上高を下方修正、利益を据え置き)は、売上高が19年8月期比9.0%増の43億80百万円、営業利益が31.2%増の6億50百万円、経常利益が32.7%増の6億33百万円、純利益が0.8%増の4億40百万円としている。配当は19年8月期と同額の15円(第2四半期末10円、期末5円)としている。
第1四半期は、売上高が前年同期比19.8%減の9億41百万円で、営業利益が35.0%減の1億47百万円、経常利益が35.8%減の1億44百万円、純利益が35.1%減の98百万円だった。
需要減少(半導体分野が25.6%減収、FPD分野が8.0%増収、その他分野が85.6%減収)に加えて、減価償却費の増加や株主総会費用も影響して減収減益だった。ただし概ね計画水準である。全体の受注高は2.4%増の9億56百万円だった。
第2四半期累計も減益予想だが、期初時点で下期偏重の計画であり、通期は増収増益予想である。受注が回復傾向であり、新規受注案件の利益率も想定より良好な模様だ。通期ベースで収益回復を期待したい。
なお月次受注残高(速報値)を見ると、19年12月は半導体分野が4億62百万円(前月比0.6%増、前年同月比14.5%減)、FPD分野が2億75百万円(前月比11.9%減、前年同月比67.7%増)、その他分野が7百万円で、合計は7億44百万円(前月比4.1%減、前年同月比5.0%増)となった。19年2月の合計6億20百万円をボトムとして回復傾向である。
今後は、半導体分野はロジック向けに加えて、メモリ向けの需要も拡大する見込みとしている。FPD分野はG10.5液晶向けの出荷が高水準に推移し、EBWを活用した受注が順調に推移する見込みとしている。
■株主優待制度は毎年8月末時点で6ヶ月以上保有株主対象
株主優待制度は、毎年8月末日現在、6ヶ月以上継続して1単元(100株)以上(17年3月1日付株式2分割後)保有株主を対象として、クオカード1000円分を贈呈する。
■株価は調整一巡
株価は10月の昨年来高値圏から反落したが、調整一巡して出直りを期待したい。1月27日の終値は985円、今期予想PER(会社予想のEPS33円71銭で算出)は約29倍、今期予想配当利回り(会社予想の15円で算出)は約1.5%、前期実績PBR(前期実績のBPS406円65銭で算出)は約2.4倍、時価総額は約129億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)