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TACは調整一巡、21年3月期収益改善期待
- 2020/2/12 03:14
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
TAC<4319>(東1)は「資格の学校」を運営し、中期成長に向けて新事業領域への展開も強化している。20年3月期は第3四半期累計が営業微減益となり、通期も営業減益予想だが、21年3月期の収益改善を期待したい。株価は安値圏に回帰したが、調整一巡して出直りを期待したい。
■財務・会計分野を中心に「資格の学校」を運営、新規事業領域も展開
財務・会計分野(簿記検定・公認会計士など)、経営・税務分野(税理士・中小企業診断士など)、金融・不動産分野(宅建・不動産鑑定士・FPなど)、法律分野(司法試験・司法書士など)、公務員・労務分野(社会保険労務士・国家総合職など)、その他分野(情報・国際、医療・福祉など)といった幅広い分野で「資格の学校」を運営している。また法人研修事業、出版事業、人材事業も展開している。
19年3月期のセグメント別売上高構成比は、個人教育事業58%、法人研修事業21%、出版事業18%、人材事業3%だった。
また19年3月期の教育事業の受講者数は1.8%減の21万5569人(個人が3.8%減の13万1119人、法人が1.4%増の8万4450人)だった。分野別構成比は財務・会計分野15.9%、経営・税務分野11.7%、金融・不動産分野25.9%、法律分野5.8%、公務員・労務分野26.6%、情報・国際/医療・福祉/その他分野14.1%だった。
■四半期業績に季節変動要因
四半期業績は資格講座の本試験実施・合格発表の時期との関係などで季節変動の特徴がある。第2四半期(7~9月)と第3四半期(10~12月)の公認会計士・税理士講座は、翌年受験のための受講申込が集中する時期となるため、現金ベース売上高が突出して多くなるとともに、翌四半期に向かって前受け金として繰り越されることから、発生ベース売上高の増加が少なくなる傾向がある。
また第4四半期(1~3月)から第1四半期(4~6月)にかけては、夏・秋の本試験時期に向けて全コースが出揃う時期にあたり、稼働率の上昇から前受金戻入額が増加することを通じて発生ベース売上高が増加する傾向にある。こうした売上の傾向に対して、売上原価や営業費用は毎月一定額計上されるため、四半期ごとの営業利益が変動しやすい。
■20年3月期営業減益予想だが21年3月期収益改善期待
20年3月期連結業績予想は売上高が19年3月期比0.2%減の204億30百万円、営業利益が6.1%減の3億20百万円、経常利益が21.4%減の3億22百万円、純利益が67.7%減の1億円としている。配当予想は3円減配の5円(第2四半期末2円、期末3円)である。
第3四半期累計は売上高が前年同期比0.4%減の154億48百万円、営業利益が2.5%減の5億23百万円、経常利益が3.1%増の6億20百万円、純利益が32.4%減の2億90百万円だった。法人研修事業と出版事業は順調だったが、個人教育事業と人材事業の減収をカバーできず、全体として営業微減益だった。
個人教育事業が低調で厳しい状況だが、新規事業・講座の開設、コスト構造の抜本的改革、M&A・業務提携の推進に取り組むとしている。21年3月期の収益改善を期待したい。
■株価は調整一巡
株価は安値圏に回帰したが、調整一巡して出直りを期待したい。2月10日の終値は208円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS5円40銭で算出)は約39倍、今期予想配当利回り(会社予想の5円で算出)は約2.4%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS296円83銭で算出)は約0.7倍、時価総額は約38億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)