ジーニーの第3四半期は純損益が4割近く改善など、通期のV字回復に現実味

■「事業ポートフォリオマネジメントの強化」など重点施策を推進

ジーニー<6562>(東マ)が2月13日発表した2020年3月期・第3四半期連結決算(19年4月~12月・累計)は、重点施策として掲げた「事業ポートフォリオマネジメントの強化」などを進め、各事業とも概ね計画どおりに推移。同社の事業特性として第4四半期に収益が偏る点を鑑みると、通期でのV字回復をイメージさせる結果になった。

■同社が重視するEBITDAは大幅に伸びる

 第3四半期の累計売上高は107.09億円となり、前年同期比では5.4%減少したものの、第3四半期会計期間の売上高は37.0億円となり、第3四半期としては過去最高を更新した。

 損益面では各利益とも大幅に赤字が減少し、営業損益は前年同期の2.13億円の赤字から2割以上改善して1.65億円の赤字にとどまった。親会社株主に帰属する四半期純損益も4割近く改善し2.06億円の赤字にとどまった。また、同社が重視する経営指標であるEBITDA(消却前利益)は累計で59百万円となり、前年同期比67.2%の増加と大幅に伸長した。

■アド・プラットフォーム事業ではDOOHビジネスが大幅に拡大

 アド・プラットフォーム事業では、前期発生した取引先アドネットワーク事業者の方針変更の影響が上期に残り、同事業の累計売上高は前年同期比13.8%減少し84.13億円となったが、計画比では堅調に推移し、全体の収益に貢献した。

 今期より事業化を進めているデジタルOOHビジネス(DOOH;屋外広告や交通広告など自宅以外の場所で接触する広告メディア)は、新たな大型開発受託案件の受注に加え、引き合いが順調に増加するなど好調に推移し、第3四半期会計期間の売上高が第2四半期から223.7%の増加と大幅に拡大した。また、屋外広告を専門に扱う広告代理店として著名な株式会社ヒットと業務提携し、首都高速デジタルLEDボードでのプログラマティックOOH広告の配信を開始。今後は渋谷、大阪と順次導入範囲を拡大する見込みだ。

■SaaSを手掛けるマーケティングソリューション事業は前年同期比49%の伸び

 マーケティングソリューション事業は累計売上高ベースで前年同期比48.7%増加し12.15億円で着地した。CRM(顧客管理)/SFA(営業管理)システム「ちきゅう」にて大型案件の受注が継続・拡大したほか、マーケティングオートメーション「MAJIN」においても、大型案件の受注に加え、広告運用代行サービスにおいて既存顧客へのアップセルが好調に推移した。前期新たにプロダクトに加わったチャット接客ツール「chamo」も、売上に貢献した。

■第4四半期会計期間の売上高は前年同期比34%の増加を見込む

 このような推移に加え、同社の事業特性として第4四半期に収益が伸長する傾向があり、第4四半期会計期間の連結売上高は前年同期比33.8%増の48.6億円、売上総利益は同2倍強の9.9億円と過去最高の水準を見込んでいる。SaaSビジネスの急成長は、クストック型のビジネスモデルとして、継続的で安定的な収益基盤の拡大として注目される。

 今期・20年3月期の連結業績見通し(前回予想を継続)は、売上高が155.72億円(前期比4.1%の増加)、営業利益は黒字転換し0.23億円(前期は3.1億円の赤字)、EBITDAは3.59億円(17.9倍)、親会社株主に帰属する当期純利益は大きく改善し0.39億円の赤字(前期は5.4億円の赤字)を想定する。(HC)

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