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寿スピリッツは目先的な売り一巡、20年3月期は一時的影響不可避だが成長基調に変化なし
- 2020/2/14 13:17
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
寿スピリッツ<2222>(東1)は「お菓子の総合プロデューサー」を企業ビジョンに掲げ、首都圏エリア強化や商品プレミアム化などの重点施策を加速している。20年3月期2桁増益予想で第3四半期累計は高進捗率だった。第4四半期にはバレンタイン・ホワイトデー商戦もあり、通常であれば通期上振れ濃厚の状況だが、今期は新型肺炎感染拡大によるインバウンド売上への一時的影響が避けられないだろう。ただし成長基調に変化はなく、21年3月期は影響一巡を期待したい。株価は上場来高値圏から急反落したが、目先的な売り一巡して戻りを試す展開を期待したい。
■「お菓子の総合プロデューサー」として地域限定ブランド菓子を展開
地域限定ブランド菓子の製造・販売を主力とする持株会社である。全国各地のお菓子のオリジナルブランドとショップブランドを創造する「お菓子の総合プロデューサー」を企業ビジョンに掲げている。さらにWSR(ワールド サプライジング リゾート)宣言を経営スローガンに掲げ、中期経営目標を売上高経常利益率20%としている。主要子会社(セグメント)はケイシイシイ、寿製菓・但馬寿、シュクレイ、九十九島グループ、販売子会社(東海3社、中国・九州4社、関西2社)である。
19年3月期の販売チャンネル別売上構成比は、通信販売6.2%(うちルタオ通販4.8%)、店舗販売(直営店舗、催事)44.5%、卸売(駅・空港・高速道路SAなどの小売店、代理店卸、OEM)45.9%、海外3.2%、その他0.1%である。駅・空港・高速道路SAなど、交通機関チャネルでの土産品としての販売比率が高いことも特徴である。またクリスマス・年末年始・バレンタイン・ホワイトデー商戦などで、下期の構成比が高い季節特性もある。
■首都圏WSR化展開など重点施策が大幅伸長
重点施策としては、ハイブリッド店舗などビジネスモデル・免税売場拡大などインバウンド対策の強化、海外における事業モデル構築、首都圏でのWSR化展開(シュクレイの既存店売上拡大、新規出店、および催事・卸売拡大、グループ各社の主力ブランドの催事展開)などを推進している。また新たに、重点施策としてメインとニューの項目を掲げ、既存ブランド・既存店・既存商品の更なる深化、新ブランド・新店舗・新商品で新たな世界観を創出することを目指している。
なお香港の事業環境悪化に伴い、香港の連結子会社を清算する。
重点施策の19年3月期売上高は、インバウンド(国際線ターミナル売店卸売上)が18年3月期比32.6%増の46億05百万円、海外(現地法人売上+ロイヤルティ含む国内出荷売上)が14.0%増の13億18百万円、シュクレイ(首都圏WSR化)が20.0%増の138億60百万円だった。いずれも大幅伸長している。
■20年3月期2桁増益予想で3Q累計は高進捗率
20年3月期の連結業績予想は、売上高が19年3月期比10.9%増の452億円、営業利益が16.6%増の69億70百万円、経常利益が16.4%増の70億円、純利益が14.5%増の45億50百万円としている。配当予想は19年3月期と同額の40円(期末一括)である。
首都圏およびインバウンド対策の強化、生産性向上などに取り組み、2桁増益予想である。シュクレイは新規出店や認知度向上で好調を持続する。ケイシイシイは前期の北海道胆振東部地震によるマイナス影響が一巡する。寿製菓・但馬寿および九十九島グループは生産移管の影響が第1四半期で一巡する。
重点施策の売上計画はインバウンドが23.8%増の57億円、海外が36.6%増の18億円、シュクレイが15.4%増の160億円、またセグメント別の売上計画はシュクレイが15.4%増収、ケイシイシイが8.2%増収、寿製菓・但馬寿が6.0%増収、販売子会社が5.8%増収、九十九島グループが14.4%増収としている。
第3四半期累計は、売上高が前年同期比20.5%増の356億74百万円、営業利益が43.4%増の61億90百万円、経常利益が43.5%増の62億42百万円、純利益が39.7%増の39億70百万円だった。
重点施策を着実に遂行して大幅増収増益だった。重点施策の売上はインバウンドが35.5%増の45億28百万円、海外が53.0%増の13億56百万円、シュクレイが30.1%増の127億52百万円だった。セグメント別の売上はシュクレイが30.1%増収、ケイシイシイが13.7%増収、寿製菓・但馬寿が11.6%増収、販売子会社が15.4%増収、九十九島グループが36.5%増収といずれも伸長した。
第3四半期累計の進捗率は売上高が78.9%、経常利益が89.2%と高水準である。第4四半期にはバレンタイン・ホワイトデー商戦もあり、通常であれば通期上振れ濃厚の状況だが、今期は新型肺炎感染拡大によるインバウンド売上への一時的影響が避けられないだろう。ただし成長基調に変化はなく、21年3月期は影響一巡を期待したい。
■株主優待制度は毎年3月末の株主対象
株主優待制度は、毎年3月末現在の100株以上保有株主を対象に、保有株式数に応じて自社グループ製品や直営店舗利用優待券を贈呈(詳細は会社HP参照)している。
■株価は目先的な売り一巡
株価は上場来高値圏から急反落したが、目先的な売り一巡して戻りを試す展開を期待したい。2月13日の終値は6880円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS146円21銭で算出)は約47倍、今期予想配当利回り(会社予想の40円で算出)は約0.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS587円87銭で算出)は約12倍、時価総額は約2141億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)