【小倉正男の経済コラム】脱プラ「よくもそんなことを!」=グレタ現象以前の混迷

小倉正男の経済コラム

■「よくもそんなことを!」の前で「セクシー」は薄っぺら

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 南極で史上初の20度越えを記録した。そういえば、今年は日本も異例なほどの暖冬である。

 環境問題、私は何も「環境オタク」といった立場ではない。だが、異常な気象が気になるのは自然ではないかと思われる。小泉進次郎環境相の出番なのだが、最近のあまりの希薄な存在感はどうしたものか。

 対照的に環境問題への取り組みについて世界に大きなインパクトを与えているのはスェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんである。

 グレタさんは、2019年9月の「国連気候行動サミット」に出席するためにヨットで大西洋を横断した。サミットでは「よくもそんなことを!」と何も行動しない大人たちを激しく非難した。グレタさんへの反発(グレタ症候群)も相当だが、その行動力はなまじな批判・評論を吹き飛ばすものだ。

 小泉進次郎環境相はこのサミットで「気候変動のような大きな問題は楽しくクールにセクシーに取り組むべきだ」と発言した。海外メディアからは、「火力発電を止めないのはセクシーではない」といった批評があった。

 これらの発言、メディアの批評も含めて、グレタさんの「よくもそんなことを!」の前では薄っぺらな印象が否定できない。

■「紙化」=食品包装容器・トレーが紙製品に代替

 いまようやく始まっているのが「紙化」のトレンドである。スーパー、コンビニなどで使われている食品包装容器、食品トレーなどを軒並みに紙製品に切り替える動きが顕在化しようとしている。

 例えていえば、コンビニ弁当などに使われているプラスチック容器を紙製品に代替するというトレンドだ。いわば食品包装容器、トレーの脱プラにほかならない。

 紙袋など紙製品の最大手であるザ・パックなどは、この新しいマーケットの開拓に全力を上げるとしている。代替需要は潜在的にみて相当に広範囲なものであるのは間違いない。紙製品企業としては大きなビジネスチャンスということになる。

 一方、プラスチックのほうも当然ながら危機感を持っている。防衛戦に出ないとマーケットに生き残れない。生分解性プラスチックなどバイオプラスチックで対抗するとみられる。

 バイオプラスチックとは、微生物によって分解され自然界に融合・回帰できるプラスチック。いわば“地球にやさしいプラスチック”といわれるのだが、この新型プラスチックで「紙化」の攻勢にストップをかけようとしている。

■「よくもそんなことを!」以前の状態

 本来なら、国、あるいは小泉進次郎環境相などが、食品包装容器、食品トレーなどの「紙化」、バイオプラスチックの動向について発言しなければならない。
 野党も立憲民主党などが、「反阿倍」「阿倍降ろし」ばかりで呆れるような程度の悪い批判・非難ばかりに終始している。脱プラなど環境問題への政策提案など聞いたことはない。

 紙製品業界、プラスチック業界とも困惑しているのが実情である。国としてはどうしたいのか、どう基準をつくっていくのか。政策が後手に廻っている。

 例えば、プラスチック製レジ袋はすべて無料配布廃止の方向が決まっているとみられていた。だが、ユニクロなどに代表される大手アパレル店が使用している大型レジ袋は例外とするなどといった話が出ている。

 混乱しているのは、レジ袋の問題にしても「紙化」の動きにしても、民間企業のほうが先行し、政策が後手に廻っているからだ。
 日本の脱プラは、「よくもそんなことを!」状態、あるいはそれ以前の状態にあるということになる。

(小倉正男=「M&A資本主義」「トヨタとイトーヨーカ堂」(東洋経済新報社刊)、「日本の時短革命」「倒れない経営~クライシスマネジメントとは何か」(PHP研究所刊)など著書多数。東洋経済新報社で企業情報部長、金融証券部長、名古屋支社長などを経て経済ジャーナリスト。2012年から当「経済コラム」を担当)

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