ベステラは売り一巡、21年1月期収益回復期待

 ベステラ<1433>(東1)は鋼構造プラント設備解体工事に特化したオンリーワン企業である。20年1月期は大型工事着工遅れで減収減益予想だが、21年1月期の収益回復を期待したい。株価は昨年来安値を更新する展開だが、売り一巡して反発を期待したい。なお3月13日に20年1月期決算発表を予定している。

■鋼構造プラント設備解体のオンリーワン企業

 製鉄所・発電所・ガスホルダー・石油精製設備など鋼構造プラント設備の解体工事に特化したオンリーワン企業である。

 製鉄・電力・ガス・石油・石油化学業界(製鉄所・発電所・石油精製・石油化学設備など)向けを主力とするプラント解体工事、および特定化学物質・アスベスト・ダイオキシン・土壌汚染などの環境関連対策工事を展開している。

 大手企業のエンジニアリング子会社を中心とした優良な顧客基盤、豊富な工事実績に基づく効率的な解体マネジメント、解体工事会社としては類のない特許工法・知的財産の保有(特許取得14件、特許申請中5件)を強みとしている。

 主要顧客はJFEグループ、新日鐵住金グループ、戸田建設、東京エネシス、IHIグループなどである。技術関連では、球形ガスホルダー解体「リンゴ皮むき工法」や火力発電所等の「ボイラ解体方法」の特許を取得し、遠隔操作による溶断ロボット「りんご☆スター」も開発している。

 19年9月マテリアルリサイクラーのリバーホールディングスとプラント解体工事連携効果を目指して包括的資本業務提携した。19年12月新会社3Dビジュアルを設立し、インターアクション<7725>から3Dスキャン・3Dモデリング事業およびプラント設計事業を譲り受け、新事業を開始すると発表した。

 関連事業として、建設技能労働者不足に対応した人材派遣・紹介・育成サービス、プラント解体事業における事前調査等の強化を目的とした3D計測・データサービスも展開している。

 なお収益面では顧客の設備投資計画の影響を受け、工事完成時期や完成工事利益率によって四半期業績が変動しやすい。また完成工事高は顧客の設備投資計画に応じた季節性があり、第4四半期の割合が高くなる特性がある。

■プラント解体需要は中期的に増加予想

 企業の事業再編や設備集約、産業競争力強化法やエネルギー供給構造高度化法など余剰設備の再編に向けた国の政策を背景として、1960年代の高度成長期に建造されたプラントの老朽化に伴う解体工事が増加すると予想されている。

 20年1月期~22年1月期の中期経営計画2021(ローリング方式)では、目標値に22年1月期売上高72億円、営業利益6億50百万円、経常利益6億45百万円、純利益4億57百万円、売上高営業利益率9.0%、EPS55円を掲げている。配当性向の目安は40%とする。

 基本戦略として、収益構造改革(受注案件数・規模の拡大、工法の充実、元請工事の拡大、ストック型の安定的受注の拡大)、人事構造改革、3D事業の価値の追求(計測サービスの拡充)、M&A戦略などを推進する。

 ロボット工法については、遠隔操作による溶断ロボット「りんご☆スター」を開発して工事実績を積み上げ、新アタッチメント開発による用途拡大を進めている。また東京工業大学との産学連携による群移動体型ロボット「群龍」や、京都大学および山口大学との共同研究による監視ロボットを開発している。さらに次世代プラント解体工法「3D解体」実現に向けたロボット開発を推進する。

■20年1月期減収減益予想、21年1月期収益回復期待

 20年1月期連結業績予想(12月10日に下方修正)は、売上高が19年1月期比28.2%減の35億40百万円、営業利益が75.9%減の1億20百万円、経常利益が75.8%減の1億20百万円、純利益が88.1%減の74百万円としている。配当予想は1円増配の16円(第2四半期末6円、期末10円)である。

 第3四半期に受注・着工予定だった大型解体工事が計画延長等で遅れているため、減収減益予想となった。なお第3四半期累計は、売上高が前年同期比18.8%減の26億41百万円、営業利益が35.4%減の1億42百万円だった。受注・着工が遅れている案件については、21年1月期に受注・収益化見込みとしている。21年1月期の収益回復を期待したい。

■株主優待制度は毎年1月末の株主対象

 株主優待制度は、毎年1月31日現在100株以上300株未満保有株主に対してクオカード1000円分、300株以上保有株主に対してクオカード2000円分を贈呈する。

■株価は売り一巡

 株価は昨年来安値を更新する展開だが、売り一巡して反発を期待したい。2月17日の終値は1132円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS9円00銭で算出)は約126倍、今期予想配当利回り(会社予想の16円で算出)は約1.4%、前期実績PBR(前期実績の連結BPS317円49銭で算出)は約3.6倍、時価総額は約95億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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