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AMBITIONは調整一巡、20年6月期2Q累計赤字だが通期増益予想
- 2020/2/19 06:41
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
AMBITION<3300>(東マ)は東京23区中心の不動産コミュニティーデベロッパーである。マンションサブリースと投資用マンション開発・販売を主力として、ITを活用した不動産テック企業を目指している。20年6月期第2四半期累計は期ズレの影響などで赤字だったが、通期は増益予想としている。通期ベースで収益拡大を期待したい。株価は戻り高値圏から反落して水準を切り下げたが、調整一巡して出直りを期待したい。
■東京23区中心の不動産コミュニティーデベロッパー
東京23区中心の不動産コミュニティーデベロッパーである。マンションサブリースのプロパティマネジメント事業、および投資用マンション開発・販売のインベスト事業(17年10月子会社化したヴェリタス・インベストメント)を主力として、賃貸仲介、少額短期保険、民泊などの不動産関連事業も展開している。
19年6月期セグメント別営業利益構成比(連結調整前)は、プロパティマネジメント事業30%、賃貸仲介事業1%、インベスト事業72%、その他▲3%だった。
プロパティマネジメント事業は、不動産所有者から家賃保証付きで借り上げた物件を一般消費者に賃貸するサブリース(転貸)が主力である。東京23区中心に分譲仕様のハイクオリティ・デザイナーズマンションを対象物件としている。19年6月期末時点のサブリース管理戸数は18年6月期末比10.1%増の1万250戸となった。また19年6月末時点の入居率は97.7%と高水準である。
インベスト事業の子会社化ヴェリタス・インベストメントは、都内プレミアムエリア(目黒区、渋谷区、新宿区、港区、品川区、中央区)を中心に、新築投資用マンションの開発・販売を展開している。分譲仕様のハイクオリティ・デザイナーズマンションが特徴である。
19年11月には不動産特定共同事業(クラウドファンディング)の許可を取得した。同法に基づく不動産小口化商品を一般投資家に提供する。
収益面の特性として、インベスト事業の引き渡し戸数・時期によって期間損益が変動する。また入社・転勤等の転居シーズンとなる3月を含む第3四半期(1~3月)の構成比が高い季節要因がある。
■管理戸数拡大とIT活用による不動産テック企業目指す
長期ビジョンでは目標値に売上高1000億円、営業利益100億円を掲げ、成長戦略としてサブリース管理戸数を拡大するとともに、ITを活用した不動産テック企業を目指している。
プロパティマネジメント事業は、子会社化ヴェリタス・インベストメントの開発・販売物件も含めて、物件の適正な価値評価を行いつつ管理戸数拡大を推進する。外国人の流入や法人顧客の社宅などのニーズに対応し、外出先からでも家電操作できる最新IoT機器「VERIOT」などのサービス提供で物件差別化も推進する。
さらに顧客満足度アップ、営業強化、自社管理物件のIoT化に向けて、PCやスマホを利用した重要事項説明、サイシード社およびコムデザイン社と連携したチャットツールやAIの活用、ナビック社との資本業務提携によるWi-Fiセキュリティサービスなども推進している。
民泊関連ではand factory<7035>と事業協力し、IoTスマートホステル「&AND HOSTEL」を展開している。19年8月には「&AND HOSTEL HOMMACHI EAST」のサブリース契約を締結した。
M&A・アライアンス戦略では、19年7月RPAテクノロジーズと不動産業界向けRPA・AI販売の合弁会社Re-Techを設立、19年8月中国人留学生向け大手賃貸事業者「Uhomes」と業務提携、Re-Techが賃貸管理業務効率化システム「賃貸名人」のダンゴネットと業務提携、19年9月Re-TechがNTTドコモ<9437>からRPA業務を受託、19年12月ネット型リユース事業のBuySell Technologiesと業務提携した。
■20年6月期2Q累計赤字だが通期増益予想
20年6月期連結業績予想は、売上高が19年6月期比5.5%増の312億56百万円、営業利益が3.3%増の16億47百万円、経常利益が2.6%増の14億70百万円、純利益が26.1%増の9億29百万円としている。純利益は特別損失減少も寄与する。配当予想は19年6月期と同額の25円(期末一括)である。
第2四半期累計は、売上高が前年同期比9.9%減の121億05百万円、営業利益が21百万円の赤字(前年同期は5億57百万円の黒字)、経常利益が95百万円の赤字(同4億83百万円の黒字)、純利益が1億37百万円の赤字(同2億62百万円の黒字)だった。プロパティマネジメント事業は順調だが、インベスト事業の一部の販売で期ズレが発生して減収となり、RPA事業の先行投資負担なども影響して赤字だった。
プロパティマネジメント事業は管理戸数が順調に増加(前年同期比972戸増加の1万748戸)し、8.2%増収で42.9%増益だった。インベスト事業は一部案件の期ズレの影響で物件売却が減少(32件減少の154件)で29.3%減収となり、利益は70.1%減益だった。
第2四半期累計は期ズレの影響などで赤字だったが、通期は増益予想としている。通期ベースで収益拡大を期待したい。
■株価は調整一巡
株価は戻り高値圏から反落して水準を切り下げたが、調整一巡して出直りを期待したい。2月18日の終値は1019円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS136円59銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の25円で算出)は約2.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS380円39銭で算出)は約2.7倍、時価総額は約69億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)