【編集長の視点】アンビスは続落も1Q好決算がサポートして下値に株式分割の権利取りが交錯

 アンビスホールディングス<7071>(JQS)は、前日18日に210円安の7590円と続落して引けた。日経平均株価が、329円安と4営業日続落したことから、今年2月14日に上場来高値8710円まで買い進まれていた同社株にも目先の利益を確定する売り物が続いた。ただこの日の前場安値7030円からは560円引き戻して引けており、下値には今年2月17日に発表した株式分割(1株を2株に分割、基準日・今年3月31日)の権利取りの買い物も交錯した。さらに今年2月13日に発表した今9月期第1四半期(2019年10月~12月期、1Q)決算が、今期通期予想業績に対して高利益進捗率を示したことも権利取り妙味を示唆してサポートしている。

■「医心館」開設が続き1Qの通期対比利益進捗率は33%

 株式分割は、投資単位当たりの金額を引き下げ株式の流動性を高め、投資しやすい環境を整えて投資家層の拡大を図ることを目的にしており、今年3月31日を基準日に1株を2株に分割する。同社は、今2020年9月期の配当も、年間12円(分割権利落ち後は6円・前期実績6円)と増配を予定しており、これに続く株主優遇策となる。

 一方、今期1Q業績は、売り上げ19億6600万円、営業利益4億8800万円、経常利益4億6400万円、純利益3億2700万円となった。1Q決算は初作成となるため前年同期比較はないが、今期通期予想業績に対する利益進捗率は、32%~33%と目安の25%を上回った。慢性期・終末期の看護・介護ケアに特化した医療施設型ホスピス「医心館」を2施設開設し入居者も順調に推移したことなどが寄与して。

 今2020年9月期は、期初予想を据え置き売り上げ83億8600万円(前期比56.2%増)、営業利益15億円(同64.9%増)、経常利益13億9000万円(同60.2%増)、純利益10億300万円(同66.4%増)と見込み、連続して過去最高を更新する。2月の「医心館 水戸」オープンで全国23施設、966床となり、続いて4月に「医心館 八戸」、「医心館 仙台長町」の各開設を計画することなどが要因となる。また10月には「医心館 小田原」、「医心館 長野」の出店も決定しており、同オープンで「医心館」は、全国29施設、1264床となることから来期以降も、業績高成が続くと期待されている。 

■IPO以来の右肩上がりトレンドの25日線に強力支持され上値追い有望

 株価は、昨年10月に公開価格2800円で新規株式公開(IPO)され4260円で初値をつけ、4000円台で下値を固める動きが続き、初決算の前期業績の上ぶれ着地・今期業績の続伸予想でストップ高して7000円台に乗せ、新型肺炎の感染拡大で全般相場が波乱となるなか売り買いが交錯したが、今期1Qの好決算で1000円高と逆行高して上場来高値8710円まで買い進まれなどIPO以来、25日移動平均線が一貫して上昇する右肩上がりトレンドを続けてきた。今回の株式分割への反応は、全般相場下落の影響で限定的となったが、下値は瞬間的な長大下ヒゲで探ったものの25日線をキープし、25日線が強力な下値支持線となった。高齢者医療の受け皿銘柄として時流性があり、業績高成長期待も高いだけに株式分割と増配の権利を取り、一段の上値追いが狙えそうだ。(本紙編集長・浅妻昭治)

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