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建設技術研究所は上値試す、20年12月期小幅増益予想だが保守的
- 2020/2/21 04:10
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
建設技術研究所<9621>(東1)は総合建設コンサルタント大手で、マルチインフラ&グローバル企業を目指している。19年12月期は計画超の大幅増益で着地した。20年12月期は小幅増益にとどまる予想だが、保守的だろう。収益拡大を期待したい。株価は96年来の高値圏から一旦反落したが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。
■総合建設コンサルタント大手
総合建設コンサルタント大手で河川・ダム・海岸・海洋、道路、橋梁、トンネル、都市・地方計画などの分野に強みを持っている。
海外では英Waterman Group Plc(ロンドン証券取引所上場)を連結子会社化している。19年12月期のセグメント別売上構成比は国内建設コンサルティング事業が73%、海外建設コンサルティング事業が27%、営業利益構成比(連結調整前)は国内建設コンサルティング事業が90%、海外建設コンサルティング事業が10%だった。収益面では案件ごとの採算性や売上計上時期によって四半期収益が変動しやすい特性がある。
中長期ビジョン「CLAVIS2025」では、マルチインフラ&グローバル企業を目指し、目標値に25年単体受注高400億円、連結受注高600億円を掲げている。
なお18年2月AIベンチャーの知能技術と資本業務提携、18年10月エスプール<2471>と契約して障がい者雇用のCTIフレッシュグリーン農場を開園している。
■20年12月期小幅増益予想だが保守的
19年12月期連結業績は、売上高が18年12月期比7.2%増の626億49百万円で、営業利益が40.1%増の42億67百万円、経常利益が38.9%増の43億97百万円、純利益が48.3%増の28億08百万円だった。配当は10円増配の35円(期末一括)である。
受注高は4.8%増の630億円の計画である。近年頻発する広域的で大規模な自然災害への防災・減災対策など、国土強靭化・インフラ整備関連の需要が高水準に推移する見込みだ。配当予想は12月19日に期末10円上方修正して、10円増配の35円(期末一括)としている。
計画超の大幅増益で着地した。需要が高水準に推移して受注が増加し、業務効率化による原価率改善も寄与した。国内が11.2%増収で38.9%増益と牽引した。海外は2.1%減収だが、58.3%増益と損益改善した。全体の受注高は17.6%増の707億18百万円だった。
20年12月期連結業績予想は、売上高が19年12月期比3.8%増の650億円、営業利益が3.1%増の44億円、経常利益が2.3%増の45億円、純利益が3.3%増の29億円としている。受注高の計画は9.5%減の640億円である。配当予想は19年12月期と同額の35円(期末一括)である。
20年12月期は小幅増益にとどまる予想だが、国土強靭化対策なども考慮すれば会社予想は保守的だろう。収益拡大を期待したい。
■株価は上値試す
株価は96年来の高値圏から一旦反落したが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。2月20日の終値は2220円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS205円09銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想35円で算出)は約1.6%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS2169円53銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約314億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)