インフォマートは売り一巡、20年12月期は先行投資で大幅減益予想だが中期成長基調

 インフォマート<2492>(東1)は国内最大級の企業間電子商取引プラットフォームを運営している。19年12月期は増収増益だった。20年12月期は利用企業数が順調に増加して増収だが、先行投資で一時的に大幅減益予想としている。ただし中期成長基調に変化はないだろう。株価は急落したが、売り一巡して出直りを期待したい。

■国内最大級のBtoB(企業間電子商取引)プラットフォームを運営

 企業間の商行為を電子化するBtoB(企業間電子商取引)プラットフォームとして、受発注(受発注業務を電子化したシステムで、従来の電話・FAXによる受発注に比べて大幅な効率化を実現)、規格書(食の安全・安心に関わる商品規格書を電子管理するツール)、請求書(請求書発行・受取業務を電子化して経理業務を効率化)、商談(全国の食材売り手・買い手が商談できるマッチングサイト)、契約書(契約書締結をブロックチェーン基盤上で電子化)を運営している。

 飲食店と食材卸・メーカー間のBtoB受発注を主力として、全業界を対象とするBtoB請求書も拡大している。新サービスとして19年10月には食材自動発注、20年1月には電子請求書早払いをリリースした、また20年3月には他業界向け受発注のリリースを予定している。

 クラウド型サービスのため、利用企業にとって低料金で最新サービスを利用でき、業務効率化できるメリットがある。利用企業数は増加基調で継続利用率も高い。19年12月期末の利用企業数は38万7624社、事業所数は82万4920事業所、流通金額は11兆2690億円だった。20年2月には利用企業数が40万社、サービスを介した取引関係数が185万件を突破したと発表している。国内最大級のBtoBプラットフォームである。

 19年12月期のセグメント別構成比は、売上高がBtoB-PF FOOD事業(受発注と規格書)80%、BtoB-PF ES事業(請求書と商談)20%、その他0%、営業利益構成比はBtoB-PF FOOD事業137%、BtoB-PF ES事業▲36%、その他▲0%だった。売上高の約95%が月額システム利用料であり、利用企業数増加に伴って収入が拡大するストック型収益モデルである。

■20年12月期は成長投資で大幅減益予想

 19年12月期連結業績は、売上高が18年12月期比11.8%増の85億40百万円、営業利益が4.9%増の24億69百万円、経常利益が5.3%増の24億60百万円、純利益が9.2%増の16億94百万円だった。配当は7銭増配の7円41銭(第2四半期末3円68銭、期末3円73銭)とした。

 概ね計画水準の増収増益だった。利用企業数の順調な増加に伴ってシステム使用料収入が拡大(セグメント別売上はBtoB-PF FOODが8.7%増収、BtoB-PF ESが26.1%増収、その他が0.3%減収)した。コスト面では第4四半期にサーバー増強に伴うコストが増加し、人件費や販促費も増加したが、増収効果に加えて、大型システム開発償却期間満了に伴うソフトウェア償却費減少が寄与した。

 20年12月期連結業績予想は、売上高が19年12月期比13.0%増の96億49百万円、営業利益が39.0%減の15億05百万円、経常利益が39.0%減の15億円、純利益が39.4%減の10億26百万円としている。なお配当予想は3.71円(第2四半期末1.85円、期末1.86円)としている。19年12月期は20年1月1日付株式2分割遡及換算後で3.705円だった。

 利用企業数の増加でシステム利用料収入が伸長するが、売上成長加速に向けた重点投資(サーバー体制増強、営業人員増加、販促費・マーケティング予算増加)で、一時的に大幅減益予想としている。ただし中期成長基調に変化はないだろう。

■営業利益率30%以上目標

 中期業績目標には売上高100億円突破、営業利益30億円超、営業利益率30%以上を掲げている。BtoBプラットフォームの徹底的拡充・価値増大に取り組む。また将来を見据えた仕掛けとして、既存システム使用料以外の多様な収益源確保(多業界受発注、フード業界縦横展開、海外進出など)や、次世代BtoBプラットフォーム構築に向けた最先端テクノロジーの研究にも取り組む方針だ。

■株価は売り一巡

 株価(20年1月1日付で株式2分割)は急落したが、売り一巡して出直りを期待したい。2月21日の終値は720円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS4円49銭で算出)は約160倍、今期予想配当利回り(会社予想3円71銭で算出)は約0.5%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS48円64銭で算出)は約15倍、時価総額は約1868億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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