【どう見るこの相場】防疫関連株がベースロード銘柄なら敢えて割安な上方修正銘柄に分散型電源対応

どう見るこの相場

 電力業界では電源構成をベースロード電源、ミドル電源、ピーク電源の3つに区分している。このうちベースロード電源とは、一定量の電力を安定的に低発電コストで継続供給できる電源を指し、原子力発電所の多くが稼働を停止している現在、石炭火力発電、一般火力発電、地熱発電が該当する。このベースロード電源を株式マーケットに当てはめて拡大解釈するとどうなるか?マーケットにも、相場全般が膠着感を強めて方向感を喪失すると市場参加者が全員、基本回帰するベースロード電源株があるのは間違いない。

 セクター区分でもグロース株とバリュー株、ハイテク株とディフェンシブ株、日経225型銘柄とTOPIX型銘柄などの色分けが明確にあって、いずれをベースロード銘柄とするかは、その時々の経済・為替・業績・需給動向も関係して市場コンセンサスが形成されるのが通例だ。ではこの年初の1月以来、約2カ月、マーケットのベースロード銘柄は何であったか?意外にも新型コロナウイルスによる新型肺炎の感染拡大関連の防疫関連銘柄であったのではないだろうか?

 防疫関連株は当初、ベースロード電源もミドル電源もフル運転し、さらに電力が不足したピーク時に機動的に運転を開始・停止できるピーク電源と同様の脇役銘柄、いわゆる幕間つなぎ銘柄の位置付けとなっていたはずだ。実際に1月相場で大化けしたあとは、2月に入って高値波乱の様相を強めていた。ところが新型肺炎感染の深刻化とともに、リピーターやニューマネーの取っ替え引っ替えの参入も含めて買いの厚みが増し、関連株も深掘り、横展開が続いて勢いは衰えるどころかいよいよ盛んとなった。朝起きてテレビニュースで伝えられる日々の感染者数の増加、地域的・世界的な感染の広がりが、株価を押し上げてきた。3連休明けの今週も、前日の米国のダウ工業株30種平均が、1031ドル安と過去3番目のショック安となったことから、「防疫関連株の前に防疫関連株はなく、防疫関連株の後に防疫関連株はなし」としてベースロード銘柄としての存在感をますます強めそうだ。

これまでも、さらにこれからもベースロード銘柄が、防疫関連銘柄だとすれば、投資家の投資スタンスはどうなるか?好むと好まざるとにかかわらず、リスクオンで防疫関連株の高値に目をつむってでも飛び乗り・飛び降り投資をしなければ、リターンを望めないことになる。一般投資家には少なからぬ抵抗があるはずだ。そこで参考にしたいのが、電力業界をまた引き合いに出して恐縮だが、電力供給の一方式の分散型電源である。分散型電源とは、比較的な小規模な発電設備を消費地近くに立地して地産地消で電力を供給する発電設備のことで、これを株式投資に援用して分散型投資とすれば、ベースロード銘柄ほどの迅速対応もハイリスク・ハイリターンも意識しないで済むからだ。問題は、そんな好都合な銘柄があるかにかかる。

 そこで今回の当コラムでは、地産地消の分散型銘柄の候補株に、相場が高値波乱となった今年2月以降、業績を上方修正しなおかつ割安水準にあり、まだ上方修正を織り込んでいない銘柄に白矢を立てることとした。先行した代表株の大幸薬品<4574>(東1)は、同時発表の株式分割と増配に防疫関連株人気もオンして上場来高値まで急伸し、すでに投資採算圏を突破しているが、そこまでには至らなくても、小型株特性も発揮してそれなりの発電(投資)効率を期待したい。

【関連記事情報】
【特集】増配をダブル発表の一番手銘柄は低PER放置で配当利回り4%超も

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  2. ■2024年度上半期163件で過去最多更新  人手不足による倒産が急増している。帝国データバンクの…
  3. ■新たなモビリティ社会実現に向けた取り組み加速  トヨタ自動車<7203>(東証プライム)は10月…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  2. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…
  3. ■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し  金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の…
  4. ■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る