【編集長の視点】加賀電子は続落も業績上方修正を手掛かりに売られ過ぎ訂正買いが交錯

 加賀電子<8154>(東1)は、前日26日に25円安の2136円と3営業日続落して引けた。新型肺炎の感染拡大で25日の米国ダウ工業株30種平均が879ドル安と大幅続落し、26日の日経平均株価も179円安と3営業日続落するなど世界同時株安の様相が強まったことから、同社株にも目先の利益を確定する売り物が続いた。ただ寄り付きの始値より大引け値が高い陽線を示現しており、下値には売られ過ぎ訂正買いも交錯した。今年2月6日に発表した今2020年3月期業績の上方修正を見直して買い手掛かりとなった。続く2021年3月期業績も、今年4月1日に完全子会社化するエクセル<7591>(東1・監理)が上乗せとなって続伸期待を高めていることも、フォローの材料視されている。

――――富士通エレが期初から寄与し医療機器、車載関連が好調――――

 同社の今2020年3月期業績は、期初予想より売り上げを120億円、営業利益、経常利益をそれぞれ20億円引き上げ、売り上げ4420億円(前期比51.0%増)、営業利益90億円(同18.9%増)、経常利益90億円(同14.5%増)、純利益50億円(同37.6%減)と見込み、営業利益、経常利益は期初の減益予想が大きく増益転換する。昨年1月にグループ会社化した富士通エレクトロニクスが期初から寄与して、電子部品事業が医療機器、車載関連を中心に堅調に推移し、増収効果による売上総利益の増加、人員減による人件費の減少、その他経費の抑制も加わったことが要因となった。純利益は、前期計上の負ののれん発生益の一巡や今後の内外の情勢変化に備えて構造改革関連費用を計上することから期初予想を据え置いた。

 なおエクセルの子会社化については、現在のところ来2021年3月期に負ののれん発生益約82億円を計上すると発表しているにとどめているが、エクセルが強みを持つ液晶デバイスやEV(電気自動車)関連事業が、富士通エレクトロニクスと同様に相乗効果を高めるとして業績続伸期待を高めている。

――――PERは11倍台、PBRは0.7倍、配当利回りは2.8%と割り負け――――

 株価は、今期第2四半期(2019年4月~9月期)の好決算報道が引き金となって急伸し、エクセルの子会社化も続いて昨年来高値2714円まで500円高した。年明け後は25日移動線を出没する高値固めを続け、新型肺炎の感染拡大とともに2198円安値まで下ぶれ、今期業績の上方修正で2500円までリバウンドしたが、世界同時株安とともに再び下値を探った。PERは11倍台、PBRは0.76倍、配当利回りは2.80%と割り負けており、まず直近高値2500円を奪回し昨年来高値を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  2. ■2024年度上半期163件で過去最多更新  人手不足による倒産が急増している。帝国データバンクの…
  3. ■新たなモビリティ社会実現に向けた取り組み加速  トヨタ自動車<7203>(東証プライム)は10月…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  2. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…
  3. ■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し  金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の…
  4. ■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る