KeyHolderは底値圏、総合エンターテインメント事業で収益柱構築目指す

 KeyHolder<4712>(JQ)は総合エンターテインメント事業を中心に新たな収益柱構築を目指している。20年12月期黒字予想である。収益改善を期待したい。株価は地合い悪も影響して軟調だが、ほぼ底値圏だろう。

■総合エンターテインメント事業で新たな収益柱構築目指す

 Jトラスト<8508>グループで、17年10月旧アドアーズが持株会社へ移行して商号をKeyHolderに変更した。18年3月には子会社アドアーズを譲渡してアミューズメント施設運営領域から撤退し、ライブ・エンターテインメントやテレビ番組制作等の総合エンターテインメント事業を中心に、新たな収益柱構築を目指している。既存の不動産事業および商業施設建築事業は堅実な拡大を目指す。

 18年4月ライブ・イベントスペース運営子会社KeyStudioを設立、18年7月KeyProductionがテレビ番組制作事業を開始、タレント育成・マネージメントのFA Project(FAP)を設立した。

 19年3月子会社SKEが芸能プロダクションAKSから譲り受けたSKE48事業を開始、19年3月SAMURAI&J PARTNERS<4764>と業務提携して新株予約権引き受け、19年4月広告・プロモーション企画制作のオルファス(allfuz)を完全子会社化、テレビ番組制作のフーリンラージを子会社化した。

 19年5月フーリンラージが民事再生手続申し立てのイメージフィールドとスポンサー支援基本合意書を締結、19年6月カラコン事業を開始、19年7月SKEが商号をゼストに変更、オルファスがKeyStudioを吸収合併、フーリンラージがイメージフィールドから映像制作事業を譲り受け、19年8月フーリンラージがKeyProductionを吸収合併、フーリンラージが商号をUNITED PRODUCTIONSに変更、19年10月映像制作クリエイター・スタッフ派遣のワイゼンラージを子会社化した。

 20年1月には角川春樹事務所と、各種イベント企画・運営およびモデル・タレントマネジメントの合弁会社ホールワールドメディアを設立した。

■20年12月期黒字予想

 19年12月期連結業績(9ヶ月決算、IFRS)は、売上収益が103億91百万円(12ヶ月決算の19年3月期は106億11百万円)、営業利益が85百万円の黒字(同4億円の赤字)、親会社所有者帰属当期利益が8億19百万円の赤字(同1億58百万円の赤字)だった。

 営業利益は黒字を確保したが、売上高が計画未達となり、営業利益も計画を大幅に下回った。広告代理店事業における受注未達、不動産事業の一戸建て分譲住宅における一部滞留在庫処分、映像制作事業における費用の増加、カラーコンタクトレンズ部門の売上計画未達、ライブ・エンターテインメント部門における物販の減少・費用の増加などが影響した。

 20年12月期連結業績(IFRS)予想は、売上収益が160億円、営業利益が2億50百万円の黒字、親会社所有者帰属当期利益が50百万円の黒字としている。

 総合エンターテインメント事業では所属アーティスト・タレントやコンテンツの拡充、エージェント機能の付与、新作ゲームアプリの展開、媒体・モデルを活用した情報発信・イベントの強化など、映像制作事業では海外映像配信プラットフォームへの着手、制作会社からコンテンツホルダーへの転換など、広告代理店事業では新規案件受託など、不動産事業では収益不動産の活用、戸建分譲の再構築などを推進する。収益改善を期待したい。

 なお20年12月期の配当予想は19年12月期と同額の1円(期末一括)としている。株主優待制度は19年3月期末から対象株主を1000株(10単元)以上保有株主に変更している。また決算期変更に伴って20年12月期から基準日を毎年6月30日(中間期末)に変更している。

■株価は底値圏

 株価は地合い悪も影響して軟調だが、ほぼ底値圏だろう。2月27日の終値は67円、時価総額は約103億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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