- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- ピックルスコーポレーションは売られ過ぎ感、21年2月期も収益拡大期待
ピックルスコーポレーションは売られ過ぎ感、21年2月期も収益拡大期待
- 2020/3/4 08:02
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ピックルスコーポレーション<2925>(東1)は漬物・キムチ製品の最大手である。主力の「ご飯がススム キムチ」ブランド力が向上し、さらに惣菜製品、EC、外食、小売といった領域への展開を推進している。20年2月期大幅増益予想で再上振れ余地がありそうだ。21年2月期も収益拡大を期待したい。なお2月25日に立会外分売を実施した。株価は地合い悪の影響で急落したが、売られ過ぎ感を強めている。反発を期待したい。
■漬物製品の最大手で「ご飯がススム キムチ」ブランド力向上
漬物・キムチ製品の最大手である。主力の「ご飯がススム キムチ」シリーズのブランド力向上とともに収益力が大幅に向上し、キムチ製品や惣菜製品の開発強化と新製品の積極投入、西日本エリアへの販売拡大、量販店惣菜売場・ドラッグストア・配食事業など販売先の拡大、ECや外食・飲食といった新規領域への展開を推進している。
19年2月期の品目別売上構成比は製品60.6%(浅漬・キムチ40.4%、惣菜18.2%、ふる漬2.1%)および商品(漬物、調味料、その他)39.4%だった。販路別売上構成比は量販店・問屋等76.5%、コンビニ13.0%、外食・その他10.5%だった。セブン&アイ・ホールディングス<3382>など大手量販店・コンビニが主要取引先である。収益面では原材料の野菜(特に胡瓜と白菜)価格の影響を受けやすい特性がある。
関西地区の生産体制を強化するため17年12月手柄食品(兵庫県姫路市)を子会社化した。また九州地区で事業拡大するためピックルスコーポレーション西日本の佐賀工場が18年4月稼働した。
■EC、外食、小売領域にも展開
新たな販売チャネルとして、EC、外食、小売といった領域への展開も推進している。18年4月、ピーネ12乳酸菌活用した商品のECサイト「ピーネオンラインショップ」と、国産・化学調味料不使用にこだわった漬物のECサイト「八幡屋オンラインショップ」を開設した。19年4月にはピーネ関連製品を製造する新工場が完成した。
またグループ商品を活用した外食(レストラン・カフェ)事業および小売(漬物・甘酒・調味料等の販売)事業に参入する。19年8月には運営子会社のOHが埼玉県飯能市の施設「OH!!!発酵・健康・食の魔法」の起工式を実施(設備投資額は概算7億円)した。事業開始は20年7月10日予定である。
■20年2月期大幅増益予想で再上振れ余地
20年2月期連結業績予想(9月18日に上方修正)は、売上高が19年2月期比5.0%増の427億16百万円、営業利益が31.4%増の18億53百万円、経常利益が27.8%増の19億96百万円、純利益が42.5%増の13億12百万円としている。配当予想(11月7日に期末2円増額修正)は19年2月期比2円増配の30円(期末一括)としている。
第3四半期累計は売上高が前年同期比1.4%増の314億10百万円、営業利益が35.6%増の15億73百万円、経常利益が31.8%増の16億83百万円、純利益が52.4%増の11億55百万円だった。主力のキムチ製品の販売が堅調に推移し、原料野菜価格の安定や佐賀工場の本格稼働に伴う利益改善も寄与して大幅増益だった。
通期も惣菜製品の拡販や佐賀工場の製造効率改善などで、売上高、利益とも過去最高更新予想である。品目別売上計画は製品が8.2%増の266億74百万円、商品が0.2%増の160億41百万円としている。
広告宣伝費の増加で第3四半期の利益が伸び悩んだ形だが、第3四半期累計の進捗率は売上高が73.5%、営業利益が84.9%と順調である。野菜価格の安定も寄与して通期予想に再上振れ余地がありそうだ。そして21年2月期も収益拡大を期待したい。
■中期的に収益拡大基調
中期目標値には、22年2月期売上高465億41百万円(浅漬・キムチ187億36百万円、惣菜93億円、ふる漬8億55百万円、商品169億円、外食・小売7億50百万円)、営業利益17億77百万円、経常利益19億55百万円、純利益12億48百万円を掲げている。設備投資はピーネ工場、OH施設、中京工場増床、設備更新などで20年2月期からの3年間で合計41億75百万円を計画している。
天候不順による野菜価格高騰が業績変動要因となるが、中期的に収益拡大基調が期待される。
■株主優待制度は20年2月期末から導入
株主優待制度は20年2月期末から導入した。毎年2月末時点で100株以上保有株主を対象として、商品詰め合わせセットなど(数種類から1点選択、詳細は会社HP参照)を贈呈する。
■株価は売られ過ぎ感
株価は地合い悪の影響で急落したが、売られ過ぎ感を強めている。反発を期待したい。3月3日の終値は2193円、前期推定連結PER(会社予想連結EPS205円07銭で算出)は約11倍、前期推定配当利回り(会社予想の30円で算出)は約1.4%、前々期実績連結PBR(前々期実績連結BPS1849円88銭で算出)は約1.2倍、時価総額は約140億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)