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インテリジェントウェイブは売り一巡、20年6月期増益予想
- 2020/3/5 06:24
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
インテリジェントウェイブ<4847>(東1)は、金融分野や情報セキュリティ分野を中心にシステムソリューション事業を展開している。20年6月期増益予想である。第3四半期は利益率の低い案件などで減益見込みとしているため、通期下振れに注意必要だが、第4四半期の挽回を期待したい。株価は地合い悪で急落し、昨年来安値圏に回帰したが、売り一巡して反発を期待したい。
■金融システムや情報セキュリティ分野のソリューションが主力
大日本印刷<7912>の連結子会社で、ソフトウェア開発中心にソリューションを提供する金融システムソリューション事業、情報セキュリティ分野中心にパッケージソフトウェアや保守サービスを提供するプロダクトソリューション事業を展開している。高度な専門性が要求されるクレジットカード決済のフロント業務関連システム分野を強みとしている。
19年6月期の売上構成比は金融システムソリューション89%、プロダクトソリューション11%、営業利益構成比は金融システムソリューション97%、プロダクトソリューション3%だった。
クレジットカード会社、ネット銀行、証券会社など金融関連のシステム開発受託・ハードウェア販売・保守サービスを収益柱としている。金融業界のシステム投資や案件ごとの採算性が影響し、下期の構成比が高い特性もある。
■事業領域拡大に向けて新製品・新サービスを強化
金融システムソリューションでは、クレジットカード決済のフロント業務関連システムから、金融領域全般への事業領域拡大を目指し、クラウドサービスも強化している。また拡大するEC決済に対応して、複数のカード会社と次世代不正検知の実証実験を進めている。プロダクトソリューションでは、サイバー攻撃や情報漏えいに対応したセキュリティ関連のソリューションを強化している。
クラウドサービスの19年6月末時点の導入社数は、OnCore SwitchのIGATESが12社、不正検知のIFINDSが3社、アクワイアリング業務のIOASISが4社となった。
AI関連の新規開発案件では、SMBC日興証券「AI株価見守りサービス」に、CEP(Complex Event Processing)エンジンであるFES(Fast Event Streamer)が採用され、19年7月サービス開始した。
19年8月には、あいおいニッセイ同和損害保険などと共同で、業界初のテレマティクス技術を活用した事故対応システム「テレマティクス損害サービスシステム」を開発した。
中期事業計画では経営目標値として、22年6月期売上高120億円(金融システムソリューション106億円、プロダクトソリューション14億円)、営業利益12億円(営業利益率10.0%)を掲げている。サイバーセキュリティ総合プロバイダーを目指し、金融システムソリューションにおけるクラウドサービスは中期的に売上高14億円(19年6月期実績6億37百万円)を目指す。なお目標値には次の大型開発案件の候補や新規商材を織り込んでいない。
■20年6月期増益予想
20年6月期業績(非連結)予想は売上高が19年6月期比1.5%増の106億円、営業利益が8.5%増の10億円、経常利益が9.1%増の10億40百万円、純利益が5.3%増の7億20百万円としている。配当予想は19年6月期と同額の9円(期末一括)である。
金融システムソリューションは0.7%増収で7.9%増益、プロダクトソリューションは8.5%増収で29.0%増益の計画である。金融システムソリューションでは大型開発案件が減少するが、その他開発案件の増加でカバーする。クラウドサービスの売上高は8億円の計画としている。収益拡大を期待したい。
第2四半期累計は、売上高が前年同期比1.4%減の49億67百万円、営業利益が37.1%増の3億68百万円、経常利益が27.8%増の3億60百万円、純利益が15.8%増の2億37百万円だった。全体として概ね計画水準だった。
金融システムソリューションは大型開発案件減少で1.9%減収だが、クラウドサービスの売上増加で収益性改善して55.5%増益だった。プロダクトソリューションは3.8%増収だが、自社製品の販売減少で赤字拡大した。
第2四半期累計の進捗率は売上高が46.9%、営業利益が36.8%とやや低水準である。第3四半期は利益率の低い案件などで減益見込みとしているため、通期下振れに注意必要だが、第4四半期の挽回を期待したい。
■株価は売り一巡
株価は地合い悪で急落し、昨年来安値圏に回帰したが、売り一巡して反発を期待したい。3月4日の終値は627円、今期予想PER(会社予想のEPS27円37銭で算出)は約23倍、今期予想配当利回り(会社予想の9円で算出)は約1.4%、前期実績PBR(前期実績のBPS242円23銭で算出)は約2.6倍、時価総額は約165億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)