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ラクーンホールディングスは戻り試す、20年4月期3Q累計大幅増益と順調
- 2020/3/6 05:34
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ラクーンホールディングス<3031>(東1)は、企業間ECサイトのスーパーデリバリー運営を主力として、EC事業およびフィナンシャル事業を展開している。20年4月期大幅増益予想である。第3四半期累計は大幅増益と順調だった。通期も収益拡大を期待したい。なお20年4月1日付で所属業種が卸売業から情報・通信業に変更される。株価は地合い悪で急落したが、売り一巡して切り返しの動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。
■企業間ECサイト「スーパーデリバリー」運営が主力
アパレル・雑貨分野の企業間(BtoB)電子商取引(EC)スーパーデリバリー運営を主力として、クラウド受発注システムのCOREC(コレック)事業、BtoB掛売り・決済業務代行サービスのPaid(ペイド)事業、売掛債権保証事業など周辺領域へ事業を拡大している。
19年4月期のセグメント別売上高構成比はEC事業(スーパーデリバリーとCOREC)59%、フィナンシャル事業(Paid事業、保証事業)41%、営業利益構成比(連結調整前)はEC事業83%、フィナンシャル事業17%である。
スーパーデリバリーは出展企業と会員小売店の増加に伴って月額課金システム利用料売上が積み上がるストック型収益構造である。また越境ECサービス「SD export」も展開している。
グループ経営戦略として既存事業の成長スピード加速、M&Aの実施、新規事業の創出を推進する。経営目標値としては、早期にEBITDA10億円(18年4月期実績5.2億円)の達成を目指すとしている。
18年12月家賃保証サービスのALEMOを子会社化、19年6月中国向け越境EC強化に向けてアドウェイズ<2489>と包括業務提携、19年12月オフィス内動画広告配信プラットフォーム「e-Pod Digital」運用のTAASに出資して資本業務提携した。
■会員企業数、流通額、取扱高、保証残高は増加基調
19年4月期末のスーパーデリバリー会員小売店数は18年4月期末比2万9962店舗増の12万7162店舗、出展企業数は147社増の1419社、商材掲載数は16万3310点増の87万4943点、流通額は6.2%増の112億44百万円(国内が1.1%増、海外44.4%増)となった。
Paid事業の加盟企業数は3300社、グループ内含む取扱高は21.0%増の230億45百万円、保証事業の保証残高は3.8倍の629億45百万円(ラクーンフィナンシャル分214億92百万円、ALEMO分414億52百万円)となった。
■20年4月期大幅増益予想で3Q累計大幅増益と順調
20年4月期連結業績予想は、売上高が19年4月期比15.8%増の34億50百万円、EBITDAが24.3%増の8億10百万円、営業利益が22.1%増の6億70百万円、経常利益が22.8%増の6億70百万円、純利益が12.0%増の4億25百万円としている。配当予想は未定としている。
全サービスが伸長して大幅増収増益予想である。EC事業では掲載商品数倍増に向けて出展企業獲得を強化する。フィナンシャル事業ではラクーンフィナンシャルとALEMOの連携を強化して利便性の高い家賃保証を拡大する。
第3四半期累計は売上高が前年同期比17.0%増の25億31百万円、EBITDAが36.3%増の6億33百万円、営業利益が33.8%増の5億27百万円、経常利益が36.2%増の5億29百万円、純利益が42.3%増の3億38百万円だった。EC事業、フィナンシャル事業とも伸長して大幅増益だった。
セグメント別(調整前)に見ると、EC事業は出展企業獲得や商材掲載数増加の効果で、売上高が8.3%増の14億04百万円、営業利益が14.2%増の591百万円となった。流通額は9.2%増加(国内が6.7%増加、海外が新型コロナウイルス感染拡大に伴うマスクの需要急増も寄与して22.8%増加)した。フィナンシャル事業はPaid事業の取扱高増加、保証事業の保証残高増加(ALEMO含む)で、売上高が26.7%増の12億60百万円、営業利益が2.0倍の1億95百万円となった。
第3四半期累計の進捗率は売上高が73.4%、EBITDAが78.3%、営業利益が78.7%と順調である。通期も収益拡大を期待したい。
■株価は戻り試す
株価は地合い悪で急落したが、売り一巡して切り返しの動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。3月5日の終値は726円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS22円89銭で算出)は約32倍、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS144円86銭で算出)は約5.0倍、時価総額は約142億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)