【特集】日銀のETF買いではハイテク株、GPIF関連ではメガバンクの動向が要注目
- 2020/3/9 09:03
- 特集
■日銀のETF買いは大株主銘柄のハイテク株、内需系株でダブル対応
日銀のETF買いでは、関連株としては、当たり前だが日銀の保有比率が28%超と推定されているアドバンテスト<6857>(東1)を筆頭に、日銀が大株主となっている企業ランキングの上位20銘柄がセレクト対象となる。上位銘柄には、今年年初に昨年来高値を更新した銘柄と、逆に足元で昨年来安値まで売り込まれた銘柄が混在しているが、この両グループ株が狙い目となる。前者がアドバンテスト、京セラ<6971>(東1)、太陽誘電<6976>(東1)、東京エレクトロン<8035>(東1)、クレディセゾン<8253>(東1)などハイテク株中心で、後者がオークマ<6103>(東1)、三菱倉庫<9301>(東1)、東京ドーム<9681>(東1)、コナミホールディングス<9766>(東1)などどちらかといえば内需系である。
ハイテク株は、高値にあった分だけ急落スピードが加速することが懸念されるが、コロナ・ショック相場が、底入れ・反転するケースではフライング気味に先行高する展開も有力になり、日銀のETF買いがこのシグナルとなると想定される。一方、後者グループ株は、すでにPBRが解散価値の1倍を割るなど売られ過ぎ水準にあり、日銀のETF購入が強力な下値サポート効果を発揮するに違いない。
■GPIF関連ではメガバンク株、自己株式取得は割安小型株に意外性
PKO(株価維持操作)のメーンプレーヤーは、日銀ばかりではない。運用資産額が約169兆円にも達する世界最大の年金基金の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も、すでに買い出動したか、追っ付け参戦すると観測されている。GPIF関連では、何といってもメガバンクの動向が要注目となる。メガバンク株は、保有時価総額ベースでGPIFが保有する国内株式の保有株ランキング(2019年3月末時点)の上位にランクインする。三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>(東1)の6184億円、三井住友フィナンシャルグループ<8316>(東1)の5491億円などのほか、りそなホールディングス<8308>(東1)、みずほフィナンシャルグループ<8411>(東1)が顔を並べる。株価は、いずれも2016年夏以来3年8カ月ぶりの安値水準まで売られ、GPIFの簿価を下回っており、コロナ・ショックが、金融システム不安を呼び込まないためにもPKOのナンピン買いは避けられない。
このメガバンクに続き、主力ハイテク株もランキング上位となっているが、意外な上位セクター株は薬品株である。武田薬品工業<4502>(東1)の5855億円以下、アステラス製薬<4503>(東1)、第一三共<4568>(東1)、中外製薬<4519>(東1)、エーザイ<4523>(東1)と続き、薬品株は、新型コロナウイルス感染抑え込みのヘルスケア株として見直されているだけにPKOの即効性のあるセクター株として浮上しよう。
自己株式取得は、世界同時株安の懸念が強まった今年2月末以降、キヤノン<7751>(東1)の取得総額上限500億円、三井物産<8031>(東1)の同500億円、積水ハウス<1928>(東1)の同150億円などの緊急避難的な発表が続き、これからもラッシュが見込まれる。そのなかで取得総額が相対的に小さくても発行済み発行株式数に対する取得上限比率が高く株価インパクトは大きいとみられる小型株に絞りたい。小型株のなかでもさらに投資採算的にも割安な銘柄に限定すると、長谷工コーポレーション<1808>(東1)、日本曹達<4041>(東1)、東京インキ<4635>(東2)、アルプス技研<4641>(東1)、日東工器<6151>(東1)、日本タングステン<6998>(東2)、ケーズホールディングス<8282>(東1)、東京放送ホールディングス<9401>(東1)がスクリーニングされる。いずれも自己株式取得を歓迎して昨年来高値を更新したあとコロナ・ショックに押されている銘柄ばかりで、第2弾ロケットの発射を待ちたい。
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