【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ラクーンは強基調に転換、今期増額の可能性や中期成長力を評価して出直り本格化

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 企業間電子商取引(EC)サイト運営のラクーン<3031>(東マ)の株価は、10月中旬の直近安値圏400円近辺から切り返し、足元では500円台を回復している。11月28日には第2四半期累計(5月~10月)の大幅増益を好感して548円まで上伸する場面があった。強基調に転換した形であり、今期(15年4月期)増額の可能性や中期成長力を評価して出直りの動きが本格化しそうだ。

 アパレル・雑貨分野の企業間ECサイト「スーパーデリバリー」の運営を主力として、クラウド受発注ツール「COREC(コレック)」事業、BtoB掛売り・請求書決済代行サービスのPaid(ペイド)事業、売掛債権保証事業など周辺分野にも事業領域を広げている。

 14年10月末時点で、企業間ECサイト「スーパーデリバリー」会員小売店数は14年4月末比2162店舗増加の4万2603店舗、出展企業数は同95社増加の1043社、商材掲載数は同9038点減少の44万4078点となった。14年3月サービス開始(ビジネスプラン課金開始14年9月)したクラウド受発注ツール「COREC」のユーザー数は1110社となった。

 14年10月にはSquare(スクエア)社(東京都港区)と業務提携した。当社の「スーパーデリバリー」および「COREC」と、Square社のスマートフォンやタブレット端末で利用するクレジットカード決済対応POSレジ「Squareレジ」とデータ連携した。

 11月には子会社のトラスト&グロースがスタンドファーム(名古屋市)と業務提携した。スタンドファームのクラウド請求書管理サービス「Misoca」登録業者に対して売掛保証サービスを提供する。また12月1日には子会社のトラスト&グロースがトラボックス(東京都足立区)と業務提携した。荷物を運んで欲しい人とトラック運送業者を結ぶオンライン物流サービス「トラボックス」登録会員に対して運賃全額保証サービスを提供する。

 なお企業間ECサイト「スーパーデリバリー」流通に係る売上高に関して、従来は出展企業と会員小売店が「スーパーデリバリー」を通じて取引した金額を売上高計上(総額表示)し、商品仕入高も売上原価に計上していたが、今期(15年4月期)から、商品仕入高を売上高と相殺して表示する方法(純額表示)に変更している。この変更によって「スーパーデリバリー」流通に係る売上高は出展企業から徴収するシステム利用料売上となる。従来の総額表示に比べて見掛け上の売上高は減少するが利益に変更はない。

 11月27日に発表した今期(15年4月期)第2四半期累計(5月~10月)の連結業績は、売上高が前年同期比6.6%増の9億96百万円、営業利益が同57.0%増の1億50百万円、経常利益が同61.6%増の1億51百万円、純利益が同36.6%増の95百万円だった。各事業とも順調に推移して人件費の増加や大阪支社移転費用(特別損失5百万円)などを吸収した。

 セグメント別(内部取引・全社費用等調整前)の動向を見ると、EC事業は売上高が同3.4%増の7億60百万円、営業利益が同32.4%増の88百万円だった。企業間ECサイト「スーパーデリバリー」の流通額が同6.1%増の46億97百万円と好調に推移した。

 BtoB掛売り・請求書決済代行サービスのPaid(ペイド)事業は売上高が同30.9%増の1億25百万円、営業利益が11百万円の赤字だった。加盟企業の新規獲得などで取引高が同29.2%増の49億01百万円と増加して赤字幅が縮小した。また売掛債権保証事業は売上高が同12.1%増の2億68百万円、営業利益が同62.8%増の48百万円だった。代理店経由の新規契約の増加などで保証残高が同3.1%増の48億33百万円と順調に増加した。

 通期の連結業績見通しは前回予想(8月18日に会計方針の変更に伴って売上高を減額修正)を据え置いて、売上高が20億円~20億50百万円(前期比3.5%増~6.1%増)、営業利益が2億75百万円~2億85百万円(同11.3%増~15.4%増)、経常利益が2億70百万円~2億80百万円(同8.9%増~12.9%増)、そして純利益が1億45百万円~1億55百万円(同17.9%増~26.0%増)としている。

 EC事業「スーパーデリバリー」の流通額は増加基調であり、Paid(ペイド)事業や売掛債権保証事業も順調に増加して収益化が進む。14年3月サービス開始(ビジネスプラン課金開始14年9月)した「COREC」も寄与して増収増益見込みだ。

 通期の見通し(予想レンジ上限値)に対する第2四半期累計の進捗率は、売上高が48.6%、営業利益が52.6%、経常利益が53.9%、純利益が61.3%である。ストック型の収益構造であることを考慮すれば高水準だろう。企業間ECサイト「スーパーデリバリー」の流通額は増加基調であり、Paid(ペイド)事業や売掛債権保証事業も着実に収益化している。クラウド受発注ツール「COREC」の寄与が本格化してくることも考慮すれば通期増額の可能性が高く、中期的にも収益拡大基調だろう。

 株価の動き(12月4日から貸借銘柄)を見ると、10月中旬の直近安値圏400円近辺から切り返し、足元では500円台を回復している。11月28日には第2四半期累計の大幅増益を好感して548円まで上伸する場面があった。

 12月5日の終値504円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社レンジ予想の連結EPS上限値26円52銭で算出)は19倍近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS264円17銭で算出)は1.9倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線がサポートラインの形となり、週足チャートで見ると戻りを押さえていた26週移動平均線を突破した。強基調に転換した形であり、今期増額の可能性や中期成長力を評価して出直りの動きが本格化しそうだ。

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