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テクマトリックスは売られ過ぎ感、20年3月期増益予想で上振れ余地
- 2020/3/12 06:43
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
テクマトリックス<3762>(東1)は、セキュリティ関連製品販売やクラウドサービス提供などの情報サービス事業を展開し、クラウドサービスに注力している。20年3月期増益予想である。そして上振れ余地がありそうだ。収益拡大を期待したい。株価は地合い悪の影響で急落の形となったが、売られ過ぎ感を強めている。出直りを期待したい。
■クラウドサービスに注力
セキュリティ関連製品販売やクラウドサービス提供などの情報サービス事業を展開し、クラウドサービスに注力している。
19年3月期のセグメント別売上高構成比は、情報基盤事業(ネットワーク・セキュリティ関連ハードウェアの販売)が67%、アプリケーション・サービス事業(医療・CRM・EC・金融を重点分野とするクラウドサービス提供およびシステム受託開発)が33%、営業利益構成比は情報基盤事業が74%、アプリケーション・サービス事業が26%だった。
グループ会社は、医療情報クラウドサービスのNOBORI(三井物産<8031>が出資して共同で事業展開)、NOBORIの子会社でクラウド型線量管理システムのA-Line、遠隔画像診断関連ITサービスの医知悟、ITシステム基盤コンサルティングのクロス・ヘッド、クロス・ヘッドの子会社で沖縄県内におけるIT人材教育やデータセンターサービスの沖縄クロス・ヘッド、システム開発のカサレアル、金融系ITベンチャーの山崎情報設計である。
収益面では情報サービス関連のため、年度末にあたる第4四半期の構成比が高い傾向がある。またクラウドビジネスの積み上げによってストック売上比率が上昇(19年3月期は情報基盤事業が39.1%で0.5ポイント上昇、アプリケーション・サービス事業が55.3%で2.5ポイント上昇)している。
クラウドサービスでは、コンタクトセンター向け顧客情報・対応履歴一元管理CRMシステム「Fastシリーズ」や、医療情報クラウドサービス「NOBORI」などを展開している。19年3月期末の「NOBORI」契約施設数は950施設、画像保管患者数は2612万2000人、保存検査件数は1億4597万9000件となった。
■中期経営計画で21年3月期営業利益27億円目標
中期経営計画「GO BEYOND 3.0」では、目標数値に21年3月期売上高280億円、営業利益27億円(情報基盤事業の売上高が185億円で営業利益が17億50百万円、アプリケーション・サービス事業の売上高が95億円で営業利益が9億50百万円)を掲げている。
事業戦略としては、クラウド関連事業の戦略的・加速度的推進、セキュリティ&セイフティ(安心と安全)の推進、資本・業務提携や大学・研究機関との連携など事業運営体制の多様化、全領域におけるサービス化の加速、AI利用を含むデータの利活用、BtoC(消費者向けビジネス)への参入、海外市場での事業の加速、グループを横断した人財・技術の有効活用など事業運営基盤の強化、M&Aの活用を掲げている。
18年10月医療画像診断支援技術のエルピクセルに出資、19年1月沖縄クロス・ヘッドが香港のISL HKと協業、19年2月LINEの法人向けサービス発売・開発パートナーとしてTechnology Partnerに認定、19年4月NOBORIと日本メジフィジックスが業務提携した。
また3月10日には、子会社クロス・ヘッドが在宅ワーク推進ソリューションの展開を開始すると発表した。
■20年3月期増益予想で上振れ余地
20年3月期連結業績予想は、売上高が19年3月期比5.4%増の268億円、営業利益が1.7%増の24億60百万円、経常利益が4.6%増の24億60百万円、純利益が8.8%増の16億円としている。配当予想は2円増配の27円(第2四半期末12円、期末15円)である。
受注が高水準に推移し、中期経営計画2年目にあたる20年3月期目標数値(売上高260億円、営業利益24億円)を超過達成する見込みだ。売上高計画は情報基盤が6.2%増の180億円、アプリケーション・サービスが4.0%増の88憶円としている。
第3四半期累計は、売上高が前年同期比11.1%増の204億90百万円、営業利益が35.7%増の21億01百万円、経常利益が40.3%増の20億94百万円、純利益が42.1%増の13億58百万円だった。第3四半期累計として過去最高だった。
情報基盤は負荷分散装置、次世代ファイアウォール、Webセキュリティ製品などが好調に推移して7.2%増収・17.4%増益、アプリケーション・サービスはNOBORIの好調やCRM分野の大型案件などで19.9%増収・2.2倍増益だった。
第3四半期累計の進捗率は売上高76.5%、営業利益85.4%と順調だった。通期上振れ余地がありそうだ。収益拡大を期待したい。
■株主優待制度は毎年9月末の株主対象
株主優待制度は毎年9月30日現在の500株以上保有株主を対象に、保有株式数に応じて実施(詳細は会社HP参照)している。
■株価は売られ過ぎ感
株価は地合い悪の影響で急落の形となったが、売られ過ぎ感を強めている。出直りを期待したい。3月11日の終値は2116円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS80円52銭で算出)は約26倍、今期予想配当利回り(会社予想の27円で算出)は約1.3%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS583円33銭で算出)は約3.6倍、時価総額は約471億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)