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朝日ラバーは売られ過ぎ感、21年3月期収益回復期待
- 2020/3/13 06:10
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
朝日ラバー<5162>(JQ)はシリコーンゴムや分子接着技術をコア技術として、自動車内装LED照明光源カラーキャップやRFIDタグ用ゴム製品などを展開している。20年3月期減益予想だが、21年3月期の収益回復を期待したい。株価は地合い悪で昨年来安値を更新する展開だが、売られ過ぎ感を強めている。反発を期待したい。
■自動車内装LED照明の光源カラーキャップが主力
シリコーンゴムや分子接着技術をコア技術として、自動車内装照明関連、卓球ラケット用ラバー、RFIDタグ用ゴム製品などの工業用ゴム事業、およびディスポーザブル用ゴム製品などの医療・衛生用ゴム事業を展開している。
自動車内装照明関連は、車載用小型電球の光源カラーキャップ「ASA COLOR LAMPCAP」や、車載用LED照明の光源カラーキャップ「ASA COLOR LED」が主力製品である。
19年3月期セグメント別売上構成比は工業用ゴム事業84%、医療・衛生用ゴム事業16%、営業利益構成比(連結調整前)は工業用ゴム事業80%、医療・衛生用ゴム事業20%だった。
第12次三カ年中期経営計画「V-2計画」では経営目標値に20年3月期売上高70~80億円、営業利益率8%以上を掲げている。事業分野を車載・照明、医療・ライフサイエンス、その他(卓球ラケット用ラバー、RFIDタグ用ゴム製品など)に再編し、新たな付加価値の創造や、ゴム技術を生かした機構部品の創造を推進している。車載・照明分野では、従来の自動車インテリア照明に加えて、新たにエクステリア市場に参入する。医療・ライフサイエンス分野では、独自開発の医療用回路部品などの市場投入を計画している。
技術開発では、RFIDタグ用ゴム製品で培った技術を活用した簡易睡眠ポリグラフ検査用着衣型ウェアラブルシステム、風車用プラズマ気流制御用電極、視認性に優れ疲労低減特性のある自動車内装照明用LEDなどの開発を推進している。
20年1月には、切り紙構造とゴムの複合により低応力で伸長し、耐久性に優れた新しい伸縮配線の開発を発表した。ゴムの復元力と立体的な構造によって生体センシング分野での活用が見込まれ、早稲田大学と北里大学の共同研究で発表されたウェアラブル筋電計測デバイスの一部に採用された。
■20年3月期減益予想だが21年3月期収益回復期待
20年3月期連結業績予想(11月13日に下方修正)は、売上高が19年3月期比2.9%減の74億85百万円、営業利益が27.5%減の3億51百万円、経常利益が30.0%減の3億56百万円、純利益が35.6%減の2億27百万円としている。配当予想は10円増配の30円(第2四半期末10円、期末20円=普通配当10円+創立50周年記念配当10円)である。
第3四半期累計は、売上高が前年同期比7.3%減の55億88百万円、営業利益が48.6%減の2億42百万円、経常利益が46.1%減の2億62百万円、純利益が49.2%減の1億63百万円だった。
工業用ゴム事業は8.3%減収で42.3%減益だった。自動車内装用照明「ASA COLOR LED」が増加したが、自動車スイッチ防水カバー等が減少し、認証・認識ビジネスに対応するRFIDタグ用ゴム製品も顧客の販売状況や新旧製品入れ替えに伴う現行品在庫調整の影響で減少した。医療・衛生用ゴム事業は1.6%減収だが10.1%増益だった。新機種に移行した採血用・薬液混注用ゴム製品が好調だった。新規案件のゴム栓も寄与した。
通期もRFIDタグ用ゴム製品の受注回復が遅れる見込みだ。21年3月期の収益回復を期待したい。
■株価は売られ過ぎ感
株価は地合い悪の影響で昨年来安値を更新する展開だが、売られ過ぎ感を強めている。反発を期待したい。3月12日の終値は498円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS49円98銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の30円で算出)は約6.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS987円28銭で算出)は約0.5倍、時価総額は約23億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)