【編集長の視点】アンビスは株式分割の権利取りを業績大幅上ぶれ観測が後押しして急続伸

 アンビスホールディングス<7071>(JQS)は、前日18日に150円高の7320円と急続伸して引け、一時は7430円まで買い進まれ今年2月14日につけた上場来高値8710円を再び意識する動きをみせた。同社株は、今年3月31日を基準日に株式分割(1株を2株に分割)を予定しており、この権利取りの買い物が増勢となった。また今年2月13日に発表した今2020年9月期第1四半期(2019年10月~12月期、1Q)の好決算が見直され、さらに今期通期業績の大幅上ぶれが観測されていることも、権利取りをフォローしている。

■ホスピス「医心館」の積極開設で業績の高成長が続き今期配当も増配

 同社が、昨年10月9日の新規株式公開(IPO)から間を置かず今年2月17日に株式分割の発表に踏み切ったのは、同社が、東証本則市場への市場変更の検討を続けていることが伏線となっている。このため同社のIPO時点の株主構成が、柴原慶一社長と同社長の資産管理会社が中心となっており、株式分割により株式の流動性の向上と投資家層の拡大を図ることを目的に実施する。また、この株主作りに関しても、利益還元策にも留意しており、今2020年9月期の配当は、年間12円(分割権利落ち後は6円・前期実績6円)と増配を予定している。

 業績の高成長も、こうした積極策をサポートする見込みである。足元の今期1Q業績は、売り上げ19億6600万円、営業利益4億8800万円、経常利益4億6400万円、純利益3億2700万円で着地した。初作成となる1Q決算は、前年同期との比較はないが、今9月期通期予想業績対比の利益進捗率は、32%~33%と目安の25%をオーバーした。急速な高齢化に対応して後期高齢者向けの医療と介護を一体的に整備する医療・介護制度が推進される好事業環境下、同社の慢性期・終末期の看護・介護ケアに特化した医療施設型ホスピス「医心館」が、地域医療ニーズに対応して施設開設が続き、入居者も順調に推移したことなどが要因となった。

 今2020年9月期は、期初予想に変更はなく売り上げ83億8600万円(前期比56.2%増)、営業利益15億円(同64.9%増)、経常利益13億9000万円(同60.2%増)、純利益10億300万円(同66.4%増)と連続の過去最高更新を見込んでいる。「医心館」の新規オープンが続き、今年10月には全国29施設、1264床に拡大することが寄与する。ただ今期1Q高利益進捗業績から大幅上ぶれも期待されており、東洋経済会社四季報最新号では、今9月期通期純利益を12億5000万円、配当も12円~18円と観測している。 

■25日線固めでエネルギーを蓄積し最高値奪回に再発進

 株価は、昨年10月のIPO以来、上昇トレンドが続き、今年2月の今期1Qの好決算で上場来高値8710円まで上値を伸ばし、高値もみ合いのなか株式分割を歓迎して8380円高値をつけたが、新型肺炎の感染拡大による世界同時株安に巻き込まれて6290円安値まで下ぶれた。同安値は、25日移動平均線からは16%超もマイナスかい離し売られ過ぎとして、株式分割の権利取りも再燃して1000円超幅のリバウンドをしほぼ25日線をクリアした。この25日線水準固めでエネルギーを蓄積しており、新型コロナウイルス・ショックに逆行高して上放れ最高値奪回を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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