ハウスドゥは売られ過ぎ感、20年6月期増益予想

 ハウスドゥ<3457>(東1)は、FinTechを活用した不動産流通ソリューションで業界変革を目指す不動産テック(不動産×IT)企業である。20年6月期増益予想である。収益拡大を期待したい。株価は地合い悪で急落し、昨年来安値を更新したが、売られ過ぎ感を強めている。出直りを期待したい。

■住まいのワンストップサービスを展開する不動産テック企業

 住まいのワンストップサービスを展開し、FinTechを活用した不動産流通ソリューションで業界変革を目指す不動産テック(不動産×IT)企業である。

 不動産流通事業で創業し、リフォーム事業、不動産売買事業、不動産売買仲介「HOUSEDO」FC加盟店に各種サービスを提供するフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、不動産担保ローン事業、金融機関と提携したリバースモーゲージ保証事業へと展開し、業容を拡大している。

■ストック収益型事業が柱

 収益構造は、人員の増員が必要な労働集約型事業(不動産流通事業、リフォーム事業、不動産売買事業)から、ロイヤリティー収入、賃貸収入、金利収入などが積み上がるストック収益型事業(フランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、および不動産担保ローン事業やリバースモーゲージ保証事業などの金融事業)にシフトしている。ストック収益型事業の利益構成比は16年6月期の43%から、19年6月期には71%まで拡大して収益柱に成長した。

 19年6月期末のフランチャイズ事業加盟契約数は602店舗だった。中期的には国内1000店舗、アジア5万店舗を目標としている。また賃貸不動産仲介事業の新ブランド「レントドゥ!」も展開している。ハウス・リースバック事業の保有物件数は314件、保有総額は51億77百万円だった。首都圏・中部・近畿の3大都市圏で約9割を占めている。金融事業の担保融資残高は81億63百万円、リバースモーゲージ保証残高は26億14百万円だった。リバースモーゲージ保証事業は提携金融機関を順次拡大している。

 18年3月には、ハウス・リースバックで取得した個人住宅など収益不動産物件を対象に、不動産特定共同事業法スキームによる匿名組合方式の不動産ファンド「HLBファンド1号」を組成した。19年12月には子会社フィナンシャルドゥが金融商品取引業(第二種・助言代理業)の登録を完了した。

 M&A・アライアンスも積極活用している。19年6月エアトリステイおよびAirbnbと加盟店の空室活用で包括的業務提携、19年7月三井住友海上火災保険と共同でFC加盟店を対象とする包括賠償制度「FC Triple Guard」を開発・提供開始、19年8月埼玉県草加市を中心に不動産売買・仲介などを展開する小山建設グループを子会社化した。

■20年6月期増益予想

 20年6月期の連結業績予想は、売上高が19年6月期比18.0%増の372億21百万円、営業利益が11.5%増の35億21百万円、経常利益が9.9%増の33億円、純利益が8.6%増の21億78百万円としている。なおハウス・リースバック事業の資産売却が下期に集中するため、下期偏重の計画である。配当予想は3円減配の34円(期末一括)である。

 セグメント別の計画は、フランチャイズ事業が11.1%増収・10.0%増益、ハウス・リースバック事業が7.8%増収・3.2%増益、金融事業が52.7%増収・20倍増益、不動産売買事業が7.4%増収・11.7%増益、不動産流通事業が4.0%増収・5.8%増益、リフォーム事業が0.1%減収・3.0%減益である。この他に小山建設グループが新規連結(売上高31億62百万円、営業利益3億37百万円の計画)となる。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比14.5%増の145億14百万円、営業利益が51.6%減の5億27百万円、経常利益が55.1%減の4億61百万円、純利益が60.4%減の2億87百万円だった。

 前年同期比では不動産売買事業の取引件数の減少、M&A関連費用の増加、人財・広告宣伝投資の増加などで大幅減益だが、計画比では下期に予定していたハウス・リースバック資産の信託受益権譲渡の一部が上期に実現したため計画を上回った。

 第2四半期は前年比で大幅減益だったが、ハウス・リースバック事業の資産売却が下期に集中するため、期初時点で下期偏重の計画であり、通期は増益予想である。なお3月16日にはハウス・リースバック資産流動化の実行(3月24日予定)を発表している。収益拡大を期待したい。

■22年6月期営業利益47億66百万円目標

 中期経営計画では目標数値を、22年6月期売上高437億61百万円、営業利益47億66百万円、経常利益45億円、純利益29億70百万円としている。

 重点戦略として、ハウス・リースバック事業の更なる取り扱い強化、保証事業(リバースモーゲージ保証・事業性融資保証・賃貸保証サービス)の強化、レントドゥ!の国内1000店舗への強化、空家活用の時間貸し「タイムルーム」の強化、海外展開の着手、国内M&Aへの積極的取り組みを推進する。中期的にも収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は毎年6月末の株主対象

 株主優待制度は毎年6月30日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。優待内容は株主優待ポイント表に基づいて進呈されるポイントを、株主限定特設インターネット・サイト「ハウスドゥプレミアム優待倶楽部」において、食品や電化製品などと交換できる。

■株価は売られ過ぎ感

 株価は地合い悪で急落し、昨年来安値を更新したが、売られ過ぎ感を強めている。出直りを期待したい。3月18日の終値は616円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS112円08銭で算出)は約5倍、今期予想配当利回り(会社予想34円で算出)は約5.5%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS577円84銭で算出)は約1.1倍、時価総額は約120億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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