【どう見るこの相場】コロナ・ショック:売り逃げ急騰・急落で戻り売りや乗り替え売りで上値が限定的

どう見るこの相場

■コロナ・ショック関連株は割安株から優先順位

 多分、そのうち「奇跡の15日間」といわれることになるかもしれない。大相撲春場所である。新型コロナウイルスの感染が拡大し、政府の専門家会議が「持ちこたえている」可能性と、「オーバーシュート(爆発的患者急増)の可能性との両方に言及するなか、とくに感染のクラスター(感染集団)が発生している大阪で、無観客場所ながらよくもまあ無事に3月22日の千秋楽を打ち出せたからだ。これにあやかって安倍晋三首相も、国内外で疑問視する声が強まるなか、7月24日に開会式を予定している東京オリンピック・パラリンピックを目指す「完全な形」で開催できれば、これもまた「奇跡のオリンピック・パラリンピック」と称えられるだろう。

 ただ大相撲春場所にしろ、東京オリンピック・パラリンピックにしろ、本当に「奇跡」と褒めそやされることになるのは、逆に新型コロナウイルスの「パンデミック(世界的な大流行)」が、さらにオ-バーシュートして長期化、イタリアのように医療崩壊が起こるかもしれないことへの危機感の裏返しでもある。米国のトランプ大統領は、3月16日の記者会見で感染拡大が治まるのを「7月か8月と議論している人がいる」と発言し、一筋縄でいかないことを示唆した。

 同発言を受けて、ダウ工業株30種平均(NYダウ)は、同日に2997ドル安と史上最大の下落幅となった。このショック安で、今夏までパンデミックが続くことを織り込んだともみられるが、前週末20日にも931ドル安となって2万ドルの大台を割り、週間下落率17%超は、2008年10月以来の大きさとなった。パンデミックがいつ収束するか、新型コロナウイルスそのものが解明されず不気味ななか、それまでの主要7カ国(G7)各国が揃って打ち出す資金供給策・政策金利引き下げ策、大規模な経済対策との危うい綱引きが続き、それでもパニック売りに歯止めが掛からないリスクも覚悟しなくてはならないようだ。

 最大の経済対策は、何度も指摘されているように新型コロナウイルスの封じ込め、収束である。このため東京市場では、今年の大発会でアゼアス<3161>(東2)川本産業<3604>(東2)が、2019年末から中国・武漢市で原因不明のウイルス性肺炎の集団感染が発生していると伝わって動意付いて一番電車として発車して以来、関連株買いが、もう3カ月弱も続いている。関連株買いは、マーケット情報や報道情報、自社発表リリースなどに反応し、当初のマスク株、防護服株、除菌剤株から二番電車、三番電車のテレワーク関連株、自宅学習関連株、検査キット株、検査装置株、遠隔診療関連株、ワクチン・治療薬のバイオ株、ドラッグストア株などが相次いで発車し、後続の特急電車が先行電車を追い抜くなど良くいえば百花繚乱、悪くいえば引っ掻き回しの様相を呈した。

 そこにその関連株の後続の四番電車、五番電車に注目したいとすれば、いかにも後追い、乗り遅れ、二番煎じ、三番煎じと眉をひそめられるかもしれない。しかし、このオールスター相場は、なおマグマの熱も粘土も圧力も衰えていないようにみえるのである。関連特需が、今後の決算発表で業績にプラスに働くかマイナスに作用するか注目されることも起きる。もちろん一番電車から続々と後続電車が発車したあとで、多くの投資家が買い付き、売り逃げ急騰・急落しただけに戻り売りや乗り替え売りで上値が限定的になっている銘柄が多いことも否定できない。

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