【編集長の視点】ヨコレイは反落もつくば物流センター竣工で業績期待を高め下値頑強
- 2020/3/25 08:16
- 編集長の視点
ヨコレイ(横浜冷凍)<2874>(東1)は、前日24日に25円安の857円と3営業日ぶりに反落して引けた。日経平均株価が、1204円高と大幅続伸したが、ハイテク株買い・内需株売りの傾向を強めており、内需株の一角に位置する同社株も、今年3月11日につけた昨年来安値711円から底上げ途上にあり目先の利益を確定する売り物に押された。ただこの日は、899円高値まで買い進まれる一方、後場取引時間中の安値836円から20円強切り返してして引けており、下値での頑強な動きを続けた。今年2月27日につくば物流センター(茨城県つくば市)が竣工したことを見直し、今2020年9月期業績の上ぶれ期待を高めて売られ過ぎ修正買いが交錯した。また、新型コロナウイルスの感染拡大とともに、外出自粛、イベント中止などが続き冷凍食品への巣ごもり消費が強まり、冷蔵倉庫の稼働率がアップするとの観測も、買い手掛かりとなっている。
■首都圏の冷蔵倉庫は満杯で庫腹不足が続き保管料もアップ
つくば物流センターは、2018年12月に首都圏で6拠点目の冷蔵収容能力2万4725トンの物流拠点として起工され、この竣工により同社の冷蔵倉庫能力は100万トンを突破する。首都圏では、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)やEPA(日本・EU経済連携協定)の効果で食肉輸入が拡大して冷蔵倉庫が、「満杯」以上で庫腹不足状態から保管料も上昇傾向にある。同社は、このつくば物流センター竣工のあとも、4月に横浜みらいサテライト(神奈川県横浜市)、5月に長崎ソーティングスポット(長崎県長崎市)の各新規物流センターの竣工・稼働開始を予定しており、即戦力として期待を高めている。
今9月期通期業績は、売り上げ1430億円(前期比2.2%増)、営業利益54億円(同13.1%増)、経常利益60億円(同21.3%増)、純利益39億円(同15.2%増)と予想し、純利益は、連続の過去最高更新となる。2018年2月新設の名港物流センター、同11月新設の東京羽田物流センターなどが通期フル寄与し、新規開設の各物流センターが上乗せとなって減価償却負担を吸収するためで、首都圏の庫腹不足、保管料アップ、さらに冷凍食品の巣ごもり消費拡大なども加わり、業績を上ぶれさせる期待も底流している。
■25日線固めもPBRはなお0.6倍にとどまり昨年来高値奪回に再発進
株価は、昨年11月の昨年来高値1118円から消費税増税による消費下押し懸念や、今期第1四半期の伸び悩み業績などが響いて900円台を固める動きが続き、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う世界同時株安に直撃されて昨年来安値711円に突っ込み25日移動平均線を大きく割れた。同安値からつくば物流センター竣工などを手掛かりに売られ過ぎとして190円幅の底上げをし25日線を上抜き値固め局面となっている。PERは12倍台と東証第1部全銘柄平均並みだが、PBRは0.64倍となお売られ過ぎとなっている。コロナ・ショック前の900円台回復から昨年来高値1118円奪回に弾みをつけよう。(本紙編集長・浅妻昭治)