【鈴木雅光の投信Now】買っても良いETF、買わない方が良いETF
- 2015/5/11 10:37
- 株式投資News
ETFが一部の個人に人気を集めているのはご承知の通りです。
コストが安い。
いつでも自由に売買できる。
かつ市場平均のリターンを目指すインデックス投資だから分かりやすい。
以上の3点がETFのメリットと言われていますが、果たして実態はどうなのでしょうか。
現在、東京証券取引所に上場されているETFは、全部で163本もあります。同一の株価インデックスで複数のETFが設定・運用されているケースもありますが、それを除いたとしても、ETFを通じて投資できるインデックスの種類は108種類にも及びます。
中には聞いたことがないようなインデックスもあります。
そうなると、投資家の認知が広まらず、上場市場での売買が非常に少なくなり、ETF本来の性能を発揮できないファンドも表れてきます。
たとえば「UBS ETF 欧州通貨圏小型株(MSCI EMU小型株)」という、欧州のMSCI EMU小型株インデックスという株価インデックスに連動するタイプのETFがあるのですが、売買単位が1口単位なのに、5月8日の出来高は1口しかありません。板が全くないわけではないのですが、価格が寄り付かないのです。ちなみに売り気配が1万1310円で、買い気配が1万1090円。結構、開いています。ということは、仮に1万1310円で買えたとしても、売る時は1万1090円となり、この間の1.94%のスプレッドがコストになります。
一般的にETFはローコストなどと言われていますが、出来高の少ないETFに投資すると、スプレッドが広すぎて、それがコストに反映されてしまい、結果的に、ローコストではなくなる恐れがあるのです。
また出来高が少ないということは、売りたい時に売れず、買いたい時にも買えないという流動性リスクに見舞われますし、ある程度まとまった資金で売り買いすると、自分の注文で価格を乱高下させてしまうリスクも生じてきます。
出来高ベースで見ていくと、こうした流動性リスクの観点から投資しにくいと思われるETFが、結構あります。ETFの特性を活かした運用をしたいのであれば、まずは出来高をチェックし、日々の出来高が少ない銘柄には手を出さないのが賢明です。(証券会社、公社債新聞社、金融データシステム勤務を経て2004年にJOYntを設立、代表取締役に就任、著書多数)