【鈴木雅光の投信Now】買っても良いETF、買わない方が良いETF

ETFが一部の個人に人気を集めているのはご承知の通りです。
コストが安い。
いつでも自由に売買できる。
かつ市場平均のリターンを目指すインデックス投資だから分かりやすい。
以上の3点がETFのメリットと言われていますが、果たして実態はどうなのでしょうか。

現在、東京証券取引所に上場されているETFは、全部で163本もあります。同一の株価インデックスで複数のETFが設定・運用されているケースもありますが、それを除いたとしても、ETFを通じて投資できるインデックスの種類は108種類にも及びます。

中には聞いたことがないようなインデックスもあります。

そうなると、投資家の認知が広まらず、上場市場での売買が非常に少なくなり、ETF本来の性能を発揮できないファンドも表れてきます。

たとえば「UBS ETF 欧州通貨圏小型株(MSCI EMU小型株)」という、欧州のMSCI EMU小型株インデックスという株価インデックスに連動するタイプのETFがあるのですが、売買単位が1口単位なのに、5月8日の出来高は1口しかありません。板が全くないわけではないのですが、価格が寄り付かないのです。ちなみに売り気配が1万1310円で、買い気配が1万1090円。結構、開いています。ということは、仮に1万1310円で買えたとしても、売る時は1万1090円となり、この間の1.94%のスプレッドがコストになります。

一般的にETFはローコストなどと言われていますが、出来高の少ないETFに投資すると、スプレッドが広すぎて、それがコストに反映されてしまい、結果的に、ローコストではなくなる恐れがあるのです。

また出来高が少ないということは、売りたい時に売れず、買いたい時にも買えないという流動性リスクに見舞われますし、ある程度まとまった資金で売り買いすると、自分の注文で価格を乱高下させてしまうリスクも生じてきます。

出来高ベースで見ていくと、こうした流動性リスクの観点から投資しにくいと思われるETFが、結構あります。ETFの特性を活かした運用をしたいのであれば、まずは出来高をチェックし、日々の出来高が少ない銘柄には手を出さないのが賢明です。(証券会社、公社債新聞社、金融データシステム勤務を経て2004年にJOYntを設立、代表取締役に就任、著書多数)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  2. ■2024年度上半期163件で過去最多更新  人手不足による倒産が急増している。帝国データバンクの…
  3. ■新たなモビリティ社会実現に向けた取り組み加速  トヨタ自動車<7203>(東証プライム)は10月…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  2. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…
  3. ■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し  金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の…
  4. ■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る