テクマトリックスは反発の動き、21年3月期も収益拡大期待

 テクマトリックス<3762>(東1)は、セキュリティ関連製品販売やクラウドサービス提供などの情報サービス事業を展開し、クラウドサービスに注力している。20年3月期増益予想である。21年3月期も収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化で急落したが、売り一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。なお5月11日に20年3月期決算発表を予定している。

■クラウドサービスに注力

 セキュリティ関連製品販売やクラウドサービス提供などの情報サービス事業を展開し、クラウドサービスに注力している。

 グループ会社は、医療情報クラウドサービスのNOBORI(三井物産<8031>が出資して共同で事業展開)、NOBORIの子会社でクラウド型線量管理システムのA-Line、遠隔画像診断関連ITサービスの医知悟、ITシステム基盤コンサルティングのクロス・ヘッド、クロス・ヘッドの子会社で沖縄県内におけるIT人材教育やデータセンターサービスの沖縄クロス・ヘッド、システム開発のカサレアル、金融系ITベンチャーの山崎情報設計である。

 19年3月期のセグメント別売上高構成比は、情報基盤事業(ネットワーク・セキュリティ関連ハードウェアの販売)が67%、アプリケーション・サービス事業(医療・CRM・EC・金融を重点分野とするクラウドサービス提供およびシステム受託開発)が33%、営業利益構成比は情報基盤事業が74%、アプリケーション・サービス事業が26%だった。クラウドビジネスの積み上げによってストック売上比率が上昇(19年3月期は情報基盤事業が39.1%で0.5ポイント上昇、アプリケーション・サービス事業が55.3%で2.5ポイント上昇)している。

 クラウドサービスでは、コンタクトセンター向け顧客情報・対応履歴一元管理CRMシステム「Fastシリーズ」や、医療情報クラウドサービス「NOBORI」などを展開している。19年3月期末の「NOBORI」契約施設数は950施設、画像保管患者数は2612万2000人、保存検査件数は1億4597万9000件となった。

■中期経営計画で21年3月期営業利益27億円目標

 中期経営計画「GO BEYOND 3.0」では、目標数値に21年3月期売上高280億円、営業利益27億円(情報基盤事業の売上高が185億円で営業利益が17億50百万円、アプリケーション・サービス事業の売上高が95億円で営業利益が9億50百万円)を掲げている。

 事業戦略としては、クラウド関連事業の戦略的・加速度的推進、セキュリティ&セイフティ(安心と安全)の推進、資本・業務提携や大学・研究機関との連携など事業運営体制の多様化、全領域におけるサービス化の加速、AI利用を含むデータの利活用、BtoC(消費者向けビジネス)への参入、海外市場での事業の加速、グループを横断した人財・技術の有効活用など事業運営基盤の強化、M&Aの活用を掲げている。

 19年1月沖縄クロス・ヘッドが香港のISL HKと協業、19年2月LINEの法人向けサービス発売・開発パートナーとしてTechnology Partnerに認定、19年4月NOBORIと日本メジフィジックスが業務提携した。

■20年3月期増益予想、21年3月期も収益拡大期待

 20年3月期連結業績予想は、売上高が19年3月期比5.4%増の268億円、営業利益が1.7%増の24億60百万円、経常利益が4.6%増の24億60百万円、純利益が8.8%増の16億円としている。配当予想は2円増配の27円(第2四半期末12円、期末15円)である。

 受注が高水準に推移し、中期経営計画2年目にあたる20年3月期目標数値(売上高260億円、営業利益24億円)を超過達成する見込みだ。売上高の計画は情報基盤が6.2%増の180億円、アプリケーション・サービスが4.0%増の88憶円としている。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比11.1%増の204億90百万円、営業利益が35.7%増の21億01百万円、経常利益が40.3%増の20億94百万円、純利益が42.1%増の13億58百万円だった。

 情報基盤は負荷分散装置、次世代ファイアウォール、Webセキュリティ製品などが好調に推移して7.2%増収・17.4%増益、アプリケーション・サービスはNOBORIの好調やCRM分野の大型案件などで19.9%増収・2.2倍増益だった。

 第3四半期累計の進捗率は売上高76.5%、営業利益85.4%と順調だった。通期上振れ余地がありそうだ。21年3月期も収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は毎年9月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月30日現在の500株以上保有株主を対象に、保有株式数に応じて実施(詳細は会社HP参照)している。

■株価は反発の動き

 株価は地合い悪化で急落したが、売り一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。4月2日の終値は2123円、前期推定連結PER(会社予想連結EPS80円52銭で算出)は約26倍、今期予想配当利回り(会社予想27円で算出)は約1.3%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS583円33銭で算出)は約3.6倍、時価総額は約473億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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