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ジーニーは売り一巡、21年3月期収益拡大期待
- 2020/4/7 11:37
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ジーニー<6562>(東マ)は、ネット媒体の広告枠を自動売買するアドテクノロジーをベースとして、マーケティングテクノロジー事業を展開している。新型コロナウイルスの影響で需要期の3月業績の弱含みが懸念され、20年3月期業績予想への注意が必要だが、全体としては回復基調で、21年3月期の収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化で水準を切り下げたが、売り一巡して出直りを期待したい。なお5月13日に20年3月期決算発表を予定している。
■マーケティングテクノロジー事業を展開
インターネットメディアの広告収益最大化を図る独自のアドテクノロジー(ウェブサイトやスマートフォンアプリ等に各々の閲覧者に合った広告を瞬時に選択して表示させる技術)をベースとして、事業領域拡大戦略およびサービス提供地域拡大戦略を推進し、マーケティングテクノロジー事業(アド・プラットフォーム、マーケティングソリューション、海外)を展開している。
収益面の季節特性として、広告主の予算配分の影響を受けるため、12月および年度末の3月に売上が集中する傾向がある。なお14年にソフトバンク(現ソフトバンクグループ)と資本業務提携し、現在はソフトバンク<9434>の持分法適用会社である。
■アド・プラットフォームはDOOH領域にも積極展開
アド・プラットフォームは、ネットメディア向けサプライサイドビジネスプラットフォーム「GenieeSSP」を主力として、広告主向けデマンドサイドビジネスプラットフォーム「GenieeDSP」などを展開している。
ネット広告では、RTB(広告枠を自動で瞬時にオークション形式で取引するシステム)によって取引が行われるが、同社独自の広告配信最適化アルゴリズムで効果的な広告配信を実現している。さらにビッグデータやAIを活用して、広告配信の精度向上や自動化に取り組んでいる。
また、事業領域拡大戦略で、DOOH(交通広告や屋外広告など自宅以外の場所で接触する屋外デジタル広告)領域に積極展開している。
18年11月タクシー後部座席に設置されたデジタルサイネージ向け広告配信プラットフォームを開発し、19年2月にはDeNA<2432>のタクシー配車サービスでの本格運用を開始した。19年8月ジオネクサスにDOOH広告配信プラットフォームをOEM提供した。19年11月メディカルアシストTVと業務提携し、歯科医院デジタルサイネージ向けプログラマティックOOH広告配信を開始した。
20年1月にはヒットと業務提携した。そして20年2月首都高速道路沿い大型屋外ビジョン向けプログラマティックOOH広告配信を開始、20年3月東京・渋谷ハチ公口および大阪・御堂筋沿いにプログラマティックOOH広告配信を開始した。
■マーケティングソリューションと海外も拡大
マーケティングソリューションは、CRM(顧客管理)/SFA(営業管理)システム「ちきゅう」、マーケティングオートメーション「MAJIN」、チャット接客ツール「Chamo」を展開している。
CRM/SFAシステム「ちきゅう」は、顧客管理CRMシステムおよび商談管理SFAシステムを一体化させたクラウド型サービスである。マーケティングオートメーション「MAJIN」は企業のマーケティング活動を自動化し、効率的に購買・契約等を行うためのプラットフォームである。19年9月には「ちきゅう」と「MAJIN」を連携した。ワンプラットフォーム化によってクラウドサービスを拡大する。
海外は東南アジアを中心に「GenieeSSP」などを展開し、19年3月期にはインドへ事業領域を拡大した。今後はソフトバンクと共同提供するクロスボーダーサービスを強化・拡大する方針だ。
■21年3月期収益拡大期待
20年3月期連結業績予想は、売上高が19年3月期比4.1%増の155億72百万円、営業利益が23百万円の黒字(19年3月期は3億10百万円の赤字)、経常利益が7百万円の黒字(同3億30百万円の赤字)、EBITDAが3億59百万円の黒字(同19百万円の黒字)、純利益が39百万円の赤字(同5億44百万円の赤字)としている。
第3四半期累計は、取引先アドネットワーク事業者の方針変更の影響で減収だが、営業赤字幅が縮小し、EBITDAは増益だった。また四半期ベースで見ると、第3四半期の売上高は過去最高となり、営業利益、EBITDAとも黒字だった。
なお20年3月期第3四半期に続き、第4四半期も収益は回復基調の見込みだが、第4四半期は新型コロナウイルスの影響で3月の業績の弱含みが懸念される。20年3月期業績予想には注意が必要だろう。全体としての回復傾向に変化は無く、21年3月期の収益拡大を期待したい。
■22年3月期EBITDA30億円超目標
中期経営計画では目標値に22年3月期売上高250億円、売上総利益60億円、EBITDA30億円超を掲げている。
事業ポーフォリオマネジメントとKPI管理を強化しつつ、プロダクト間クロスセルの取り組み拡大、事業領域(事業軸)とサービス提供地域(地域軸)の拡大を推進する。マーケティングソリューションなど、利益率の高いプロダクトやストック型収益の構成比も高まる見込みだ。中期的にも収益拡大を期待したい。
■株価は売り一巡
株価は地合い悪化で水準を切り下げたが、売り一巡して出直りを期待したい。4月6日の終値は548円、前々期実績連結PBR(前々期実績連結BPS151円54銭で算出)は約3.6倍、時価総額は約98億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)