朝日ラバーは売り一巡

 朝日ラバー<5162>(JQ)はシリコーンゴムや分子接着技術をコア技術として、自動車内装LED照明光源カラーキャップやRFIDタグ用ゴム製品などを展開している。当面は新型コロナウイルス感染拡大の影響に注意必要となるが、中期的に収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化で急落したが、売り一巡して徐々に下値を切り上げている。出直りを期待したい。

■自動車内装LED照明の光源カラーキャップが主力

 シリコーンゴムや分子接着技術をコア技術として、自動車内装照明関連、卓球ラケット用ラバー、RFIDタグ用ゴム製品などの工業用ゴム事業、およびディスポーザブル用ゴム製品などの医療・衛生用ゴム事業を展開している。

 自動車内装照明関連は、車載用小型電球の光源カラーキャップ「ASA COLOR LAMPCAP」や、車載用LED照明の光源カラーキャップ「ASA COLOR LED」が主力製品である。

 19年3月期セグメント別売上構成比は工業用ゴム事業84%、医療・衛生用ゴム事業16%、営業利益構成比(連結調整前)は工業用ゴム事業80%、医療・衛生用ゴム事業20%だった。

 第12次三カ年中期経営計画「V-2計画」では経営目標値に20年3月期売上高70~80億円、営業利益率8%以上を掲げている。事業分野を車載・照明、医療・ライフサイエンス、その他(卓球ラケット用ラバー、RFIDタグ用ゴム製品など)に再編し、新たな付加価値の創造や、ゴム技術を生かした機構部品の創造を推進している。車載・照明分野では、従来の自動車インテリア照明に加えて、新たにエクステリア市場に参入する。医療・ライフサイエンス分野では、独自開発の医療用回路部品などの市場投入を計画している。

 技術開発では、RFIDタグ用ゴム製品で培った技術を活用した簡易睡眠ポリグラフ検査用着衣型ウェアラブルシステム、風車用プラズマ気流制御用電極、視認性に優れ疲労低減特性のある自動車内装照明用LEDなどの開発を推進している。

 20年1月には、切り紙構造とゴムの複合により低応力で伸長し、耐久性に優れた新しい伸縮配線の開発を発表した。ゴムの復元力と立体的な構造によって生体センシング分野での活用が見込まれ、早稲田大学と北里大学の共同研究で発表されたウェアラブル筋電計測デバイスの一部に採用された。

■20年3月期減益予想

 20年3月期の連結業績予想(19年11月13日に下方修正、20年3月26日に2回目の下方修正)は、売上高が19年3月期比3.6%減の74億28百万円、営業利益が32.1%減の3億28百万円、経常利益が31.9%減の3億46百万円、純利益が75.6%減の86百万円としている。需要回復遅れに加えて、退職給付債務の増加で特別損失を計上する。配当予想は10円増配の30円(第2四半期末10円、期末20円=普通配当10円+創立50周年記念配当10円)である。

 当面は新型コロナウイルス感染拡大の影響に注意必要となるが、中期的に収益拡大を期待したい。

■株価は売り一巡

 株価は地合い悪化で急落したが、売り一巡して徐々に下値を切り上げている。出直りを期待したい。4月8日の終値は512円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS18円92銭で算出)は約27倍、前期推定配当利回り(会社予想の30円で算出)は約5.9%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS987円28銭で算出)は約0.5倍、時価総額は約24億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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