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ゼリア新薬工業は戻り試す
- 2020/4/9 05:03
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。20年3月期大幅増益予想である。21年3月期も収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化で急落する場面があったが、その後は急反発している。戻りを試す展開を期待したい。
■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開
消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。
19年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業51%、コンシューマーヘルスケア事業48%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業22%、コンシューマーヘルスケア事業75%、その他3%だった。地域別売上比率は日本71%、欧州21%、その他8%だった。
医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。子会社ティロッツ社は、アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、国内でゼンタコートカプセルを販売している。
なおアコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。
コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。
20年1月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(20年4月予定)すると発表した。
■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進
消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(20年2月4日現在)は以下の通りである。
鉄欠乏性貧血を適応症とするZ-213(ビフォーファーマ社から導入)は、19年3月鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgとして国内製造販売承認を取得した。
子宮頸癌を適応症とするZ-100(自社品)は第3相(日本を含むアジア共同治験)段階である。
高カリウム血症を適応症とするZG-801(ビフォーファーマ社から導入)は第2相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。
海外では、潰瘍性大腸炎を適応症とするZ-206(自社グループ品)を中国で承認申請中である。機能性ディスペプシアを適応症とするZ-338(自社品)は欧州で第3相段階である。
■20年3月期大幅増益予想
20年3月期連結業績予想は、売上高が19年3月期比5.1%増の650億円、営業利益が33.8%増の50億円、経常利益が51.7%増の50億円、純利益が10.0%増の38億円としている。配当予想は19年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)である。
第3四半期累計は売上高が前年同期比1.9%減の463億03百万円、営業利益が10.5%増の33億82百万円、経常利益が9.5%増の30億86百万円、純利益が19.3%減の23億39百万円だった。売上が伸び悩んだが、研究開発費の効率的運用で営業・経常増益だった。純利益は特別利益(受取和解金)の剥落が影響した。
医療用医薬品は1.7%減収だった。アサコールが海外で順調だったが、Entocortの海外一部地域における在庫調整が影響した。コンシューマーヘルスケアは2.1%減収だった。子会社のサプリメント事業が低迷した。
通期は医療用医薬品で海外市場におけるアサコールやEntocortの伸長、コンシューマーヘルスケアでヘパリーゼ群の拡大を見込んでいる。21年3月期も収益拡大を期待したい。
■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象
株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈(詳細は会社HP参照)する。
■株価は戻り試す
なお19年11月1日に自己株式取得(上限100万株・23億円、取得期間19年11月5日~20年5月12日)を発表している。
株価は地合い悪化で急落する場面があったが、その後は急反発している。戻りを試す展開を期待したい。4月8日の終値は2003円、前期推定連結PER(会社予想連結EPS81円34銭で算出)は約25倍、前期推定配当利回り(会社予想の34円で算出)は約1.7%、前々期実績連結PBR(前々期実績連結BPS1235円09銭で算出)は約1.6倍、時価総額は約1064億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)