エイトレッドは反発の動き

 エイトレッド<3969>(東1)はワークフローシステムの開発・販売を展開している。新型コロナウイルス感染拡大に伴って企業がテレワークを導入する流れも追い風だ。導入社数・クラウド利用者数の増加で中期的に収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化で急落する場面があったが、売り一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。

■ワークフローシステムの開発・販売を展開

 ソフトクリエイトホールディングス<3371>の連結子会社で、ワークフローシステム(ソフトウェア)の開発・販売を展開している。

 ワークフローシステムとは、企業における稟議書、経費精算申請書、各種届け出書など、稟議・申請から承認・決裁に至る事務工程(ワークフロー)を電子化(システム化)するソフトウェア製品の総称である。

 多くの企業が紙(申請書類・帳票)を使用して稟議・申請から承認・決裁に至る事務を行っているが、ワークフローシステムを導入することによって、業務プロセスの効率化(作業工数削減や時間短縮)、ペーパーレス化によるコスト削減(用紙・印刷・郵送・保管に係るコストの削減)、内部統制の強化(意思決定プロセスや承認日時のデータ化・可視化)などのメリットが得られる。

 主力製品は、パッケージ型の小・中規模企業向けX-point、大手・中堅企業向けAgileWorks、クラウド型の小規模企業向けX-point Cloudである。国内市場シェアは総合2位である。クラウド利用の多い従業員数100名未満セグメントでは圧倒的1位を誇っている。

 事業戦略の基本は、日本型業務プロセスに適した製品によって他社製品との差別化を図る、導入企業ごとの個別カスタマイズを行わずに開発コストを抑制する、開発に特化して販売パートナー企業(販売代理店)を活用するとしている。販売パートナーは大手SIerなどで構成され、全国に営業網を構築している。

 19年3月期の製品別売上高は、パッケージソフトが18年3月期比28.6%増の11億07百万円(X-pointが0.4%減の4億27百万円、AgileWorksが57.5%増の6億79百万円)、クラウドサービスが38.6%増の3億41百万円だった。X-pointはクラウドサービスへの移行で微減傾向だが、AgileWorksとX-point Cloudが増加基調である。

 19年3月期末の導入社数は18年3月期末比16.0%増の2716社、クラウド利用者数は38.3%増の5万2064人だった。

■ワークフローシステム市場は拡大基調

 ワークフローシステムによる電子文書化を導入せず、依然として紙・手書きベースでの業務・事務処理に依存している企業が多いため、ワークフローシステムの潜在市場は大きい。また在宅勤務やテレワークといった働き方改革の推進、企業不祥事防止のための内部統制強化の流れなども背景として、ワークフローシステム市場は拡大基調が期待される。

 さらにRPAとの組み合わせによる業務全般の自動化を目指す動きも活発化している。こうした潜在市場に対応し、中期成長戦略として他社サービスとの連携も強化して、AgileWorksやX-point Cloudの売上拡大を推進する方針だ。

■20年3月期増収増益予想

 20年3月期業績(非連結)予想は、売上高が19年3月期比10.5%増の16億円、営業利益が8.8%増の5億60百万円、経常利益が14.4%増の5億60百万円、純利益が20.2%増の3億75百万円としている。配当予想は5円増配の16円(第2四半期末8円、期末8円)である。

 製品別売上高の計画は、パッケージソフトが5.1%増の11億63百万円(X-pointが3.8%減の4億11百万円、AgileWorksが10.7%増の7億52百万円)、クラウドサービスが27.9%増の4億36百万円としている。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比14.3%増の11億70百万円、営業利益が6.4%増の4億円、経常利益が7.8%増の4億01百万円、そして純利益が13.6%増の2億77百万円だった。

 パッケージソフトは7.6%増収(X-pointが6.4%増収、AgileWorksが8.4%増収)、クラウドサービスは35.5%増収と好調に推移した。導入社数が順調に増加した。

 第3四半期累計の進捗率は売上高73.1%、営業利益71.4%と概ね順調だった。導入社数・クラウド利用者数が増加基調であり、ストック売上の積み上げで中期的に収益拡大基調だろう。

■株主優待制度は9月末と3月末の年2回

 株主優待制度は年2回、毎年9月末および3月末時点の株主を対象として、保有株式数に応じてオリジナルQuoカードを贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は反発の動き

 株価は地合い悪化で急落する場面があったが、売り一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。4月9日の終値は1299円、前期推定PER(会社予想EPS50円38銭で算出)は約26倍、前期推定配当利回り(会社予想の16円で算出)は約1.2%、前々期実績PBR(前々期実績BPS317円40銭で算出)は約4.1倍、時価総額は約97億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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