- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- 【アナリスト水田雅展の銘柄分析】パイプドビッツは16年2月期大幅増収増益を再評価、マイナンバー制度関連も注目
【アナリスト水田雅展の銘柄分析】パイプドビッツは16年2月期大幅増収増益を再評価、マイナンバー制度関連も注目
- 2015/5/12 07:14
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
パイプドビッツ<3831>(東1)は情報資産プラットフォーム事業やソリューション事業を展開している。株価は2月の年初来高値2090円から反落して調整局面だったが、1700円近辺から切り返して調整一巡感を強めている。16年2月期の大幅増収増益見通しを再評価して出直り展開だろう。マイナンバー制度関連でも注目されそうだ。
国内最大規模の情報資産プラットフォーム「スパイラル」を基盤として、情報資産プラットフォーム事業(データ管理などクラウドサービス提供)、広告事業(アフィリエイトASP一括管理サービス「スパイラルアフィリエイト」など)、およびソリューション事業(ネット広告制作、アパレル・ファッションに特化したECサイト構築・運営受託、子会社ペーパレススタジオジャパン(PLSJ)のBIMコンサルティング事業など)を展開している。
情報資産プラットフォーム事業は「スパイラル」、アパレル特化型ECプラットフォーム「スパイラルEC」、会計クラウド「ネットde会計」「ネットde青色申告」、クラウド型グループウェア×CMS×SNS連携プラットフォーム「スパイラルプレース」などを主力して展開している。
また薬剤・医療材料共同購入プラットフォーム「JoyPla」、美容関連のヘアカルテ共有サービス「美歴」、地域密着型SNS「I LOVE 下北沢」、政治・選挙プラットフォーム「政治山」、BIM建築情報プラットフォーム「ArchiSymphony」などを展開し、14年3月にはアズベイスを子会社化してコールセンタープラットフォームサービス「BizBase」にも事業領域を広げている。
15年2月には世界有数のソフトウェアベンダーである米スプリンクラー(SPUSA)の日本法人スプリンクラー・ジャパン(SPJ)に出資(A種優先株式)した。米SPUSA社およびSPJ社が有する経営資源とのシナジー効果で、ソリューション提案や新サービス提供を実現していく方針だ。
15年3月にはパイプドビッツ総合研究所を設立した。政府の政策に対して情報通信技術の活用や課題、先行事例などさまざまな調査研究や実証実験を行い、公表や提言などを通じて地域や社会の課題解決に貢献するとしている。4月20日には1万人ニーズ調査第2弾として「結婚、出産、育児支援政策の分析レポート」を公開した。
また15年3月にはカレン(東京都)に出資して事業連携を強化し、米SPUSA社に純投資目的で総額約400万米ドル(約4億78百万円)出資した。
4月9日には子会社PLSJとエヌ・シーエヌ(岐阜県)による住宅業界向けBIM事業展開を目的とした合弁会社MAKE HOUSEの設立を発表した。4月16日にはソフトブレーン<4779>との業務提携を発表した。ソフトブレーンの営業支援システムと当社の情報資産プラットフォームの連携による新サービスを共同開発する。
なお15年2月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(3月~5月)7億14百万円、第2四半期(6月~8月)7億98百万円、第3四半期(9月~11月)8億00百万円、第4四半期(12月~2月)8億61百万円で、営業利益は第1四半期1億40百万円、第2四半期1億65百万円、第3四半期1億71百万円、第4四半期1億49百万円だった。
契約数の増加に伴って収益は拡大基調だ。15年2月期末の有効アカウント数(全事業合計)は14年2月期末比661件増加の1万757件だった。
15年2月期のROE(自己資本当期純利益率)は14年2月期比2.2ポイント低下の15.9%、自己資本比率は同0.2ポイント低下の77.6%だった。
今期(16年2月期)の連結業績予想(3月31日公表)は売上高が前期比26.0%増の40億円、営業利益が同31.2%増の8億20百万円、経常利益が同29.2%増の8億20百万円、純利益が同31.6%増の4億90百万円、配当予想が配当性向30%程度で同2円増配の年間18円(第2四半期末8円、期末10円)としている。16期連続で営業最高益更新見込みだ。
主力の情報資産プラットフォーム事業の好調が牽引する。契約数増加に伴って契約売上高(月額課金)が順調に増加する見通しだ。積極的な事業・育成・開発投資や人材採用を継続し、名古屋営業所開設による中部圏の販売網拡大も寄与する。SPJ社への出資を通じて新規事業領域であるソーシャル分野(Sprinklr事業)へも進出する方針だ。
14年3月発表の「中期経営計画2017」では、15年2月期から17年2月期を「次世代ITベンダーへと革新する3ヵ年」と位置付けて、目標数値に17年2月期売上高92億円、営業利益28億円を掲げている。ストック型の収益構造であり、情報資産プラットフォーム事業が牽引して中期的にも収益拡大基調だろう。
なお3月31日に、15年9月1日(予定)付けで株式移転により純粋持株会社パイプドビッツHDを設立すると発表した。純粋持株会社が15年9月1日(予定)付けで東証1部に上場する。経営効率の向上、組織再編の柔軟性・機動性確保、グループ全体の最適化とガバナンス機能の強化を目的として、中長期の持続的成長および企業価値向上を推進するとしている。
株価の動きを見ると、2月の年初来高値2090円から反落して調整局面だったが、5月1日に付けた直近安値1701円から切り返しの動きを強めている。11日は前日比75円高の1813円まで上伸する場面があった。調整が一巡して16年2月期大幅増収増益予想を見直す動きだろう。
5月11日の終値1802円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS60円76銭で算出)は29~30倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間18円で算出)は1.0%近辺、前期実績連結PBR(前実績の連結BPS326円10銭で算出)は5.5倍近辺である。
日足チャートで見ると25日移動平均線突破の動きを強め、週足チャートで見ると52週移動平均線がサポートラインとなって切り返す動きだ。16年2月期の大幅増収増益予想を再評価して出直り展開だろう。マイナンバー制度関連でも注目されそうだ。