パイプドHDは売り一巡

 パイプドHD<3919>(東1)は情報資産プラットフォーム「スパイラル」を基盤として、情報資産プラットフォーム事業や販促CRMソリューション事業などを展開している。21年2月期は減収減益予想(レンジ予想)としている。当面は新型コロナウイルス感染症拡大に伴う経済収縮の影響を受けるが、中期的に収益拡大を期待したい。株価は売り一巡して徐々に下値を切り上げている。出直りを期待したい。

■情報資産プラットフォーム事業などを展開

 国内最大規模の情報資産プラットフォーム「スパイラル」を基盤として事業展開している。

 セグメント区分は、機能別事業群の情報資産プラットフォーム事業(スパイラルやBizBaseなどのクラウドサービス提供)、販促CRMソリューション事業(Webシステムの開発、ECサイトの構築・運営支援)、広告事業(インターネット広告代理販売)、および分野別事業群のxTech事業(ArchiTech:BIM事業、BeauTech:美歴、HRTech:オーダーメイド人材育成代行、FinTech:エルコイン)、社会イノベーション事業(政治山、I LOVE 下北沢、シモキタコインの運営)としている。

 20年2月期の売上構成比は情報資産プラットフォーム事業68.4%、販促CRMソリューション事業15.5%、広告事業11.7%、xTech事業3.0%、社会イノベーション事業1.3%だった。

 情報資産プラットフォーム事業は、契約数増加に伴って月額サービス収入が拡大するストック型の収益構造である。広告事業の売上高は、広告枠の仕入高を売上高から控除する純額表示(ネット表示)としている。

■情報資産の有効活用を推進

 重点戦略としてリアルビジネスとの接点の強化、イノベーティブな事業への挑戦、グループ全体の採用・育成の強化、グループ各社の情報資産の有効活用を推進している。

 18年3月には電子地域通貨プラットフォームを提供するエルコインの子会社としてシモキタコインを設立した。エルコインの電子地域通貨プラットフォーム発行事業者第1号として、下北沢で行われるイベントや商業施設等で利用される電子地域通貨を発行している。

 19年5月には政治・選挙情報サイト「政治山」を運営するVOTE FORと、自治体向けオープンデータ化・活用サービス「マイ広報紙」を展開するパブリカが合併(存続会社VOTE FOR)した。営業強化や共通コスト削減などで収益性向上を推進している。

 20年3月にはコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)として投資事業を行う新会社ダブルシャープ・パートナーズ設立を発表した。20年夏頃からCVCファンドを組成・運営する。赤字が続いていた人材育成代行事業の子会社ブルームノーツについては解散(20年夏頃清算結了予定)する。4月17日には子会社パイプドビッツフレンディットの「スパイラルプレース」を譲り受ける(20年5月1日付予定)と発表した。

 なお21年2月期からの中期経営計画2023については、新型コロナウイルス感染症拡大などで事業環境が大幅に変化したため、公表を見送った。

■21年2月期減収減益予想

 20年2月期の連結業績は、売上高が19年2月期比14.5%増の62億07百万円、営業利益が3.5倍の13億90百万円、経常利益が3.6倍の14億02百万円、純利益が4.9倍の6億88百万円だった。配当は9円増配の21円(第2四半期末9円、期末12円)とした。

 計画を上回る営業・経常大幅増益で着地した。増収効果に加えて、体制効率化や生産性向上に向けた施策が寄与した。情報資産プラットフォーム事業はスパイラルの拡販などで15.8%増収・71.3%増益と伸長した。販促CRMソリューション事業は6.1%減収だが、デジタルCRMの伸長で84.1%増益だった。広告事業は動画広告拡大などで50.8%増収、管理業務内製化も寄与して3.8倍増益と大幅伸長した。xTech事業は15.1%増収で赤字縮小した。社会イノベーション事業は横ばいだった。純利益は減損損失一巡も寄与した。

 21年2月期連結業績予想(レンジ予想)は、売上高が56億円~62億円(20年2月期比9.8%減~0.1%減)、営業利益が7億円~12億円(49.7%減~13.7%減)、経常利益が7億円~12億円(50.1%減~14.4%減)、純利益が3億50百万円~6億円(49.2%減~12.8%減)としている。配当予想は未定としている。

 新型コロナウイルス感染症拡大に伴って、商談の停滞など営業活動に様々な影響が生じているため、非常事態が20年8月末まで継続する可能性を想定してレンジ予想とした。当面は新型コロナウイルス感染症拡大に伴う経済収縮の影響を受けるが、中期的に収益拡大を期待したい。

■株価は売り一巡

 株価は売り一巡して徐々に下値を切り上げている。出直りを期待したい。4月20日の終値は1112円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS上限43円08銭で算出)は約26倍、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS477円39銭で算出)は約2.3倍、時価総額は約90億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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