【編集長の視点】綿半HDは反落も決算発表を先取りし「巣ごもり消費」関連株買いが交錯し下げ渋る

綿半ホールディングス<3199>(東1)は、前日22日に62円安の1565円と反落して引けた。日経平均株価が、142円安と3営業日続落し一時、1万9000円台を割ったことから、今年3月13日につけた年初年安値1193円から底上げ途上にある同社株にも目先の利益を確定する売り物が出た。ただ、この日の安値は1556円で踏み止まり、25日移動平均線を前に下げ渋った。今年4月10日開示した3月度の月次売上高で、年間の全店売上高が、前期比12.3%増と前期よりプラス幅を拡大させており、新型コロナウイルス感染症の拡大とともに「巣ごもり消費」が続いているとして今年5月14日に発表予定の2020年3月期業績を先取りして割安株買いが交錯した。テク二カル的にも、足元で年初来高値2006円から年初来安値への調整幅の半値戻しをクリアしており、相場格言の「半値戻しは全値戻し」通りに高値奪回期待を強めている。

■ネット通販子会社が通年寄与し衛生用品、食料品などに買い溜め需要

 今年3月度の月次動向は、単月では食料品・日用品が好調に推移する一方、学校の始業延期などの影響で新生活用品が低調に推移し全店・既存店ともマイナス転換した。ただ年間ベースでは、既存店では前期比1.0%減と前期通期の2.2%減に比べてマイナス幅を縮め、全店では同12.3%増と前期通期の0.6%増からプラス幅を拡大させた。年間を通して2018年12月に子会社化しネット通販大手アベルネット(現・綿半ドットコム)が上乗せとなり、期後半には新型コロナウイルス感染症関連の衛生用品、食料品、日用品の買い溜め需要も寄与した。

 この新型コロナウイルス感染症対応では、今年4月18日から地域の飲食店・宿泊業を応援するため、地域の飲食店の商品を綿半HDの各店舗で販売し、また地域の飲食店・宿泊業向けに同社店内商品を3%割引きする「地域のお店応援カード」を発行し地域ぐるみでの緊急事態対応を進める。

 一方、目下集計中で5月14日に発表予定の2020年3月期業績は、売り上げ1142億4500万円(前期比7.3%増)、営業利益26億7300万円(同13.0%増)、経常利益28億1100万円(同12.2%増)、純利益16億4600万円(同1.7%増)と予想され、5期連続で過去最高を更新する。綿半ドットコムに続く丸三三原商店、サイエンスホームなどの連結子会社化が上乗せなり、チラシ削減や商品点数絞り込むEDLP(エブリデー・ロー・プライス)戦略が寄与する。新型コロナウイルス感染症対策では、各店舗への集中的な来店を避けるために折込チラシと集客イベントを自粛しており、月次売上高のプラス幅拡大に伴う今期の業績着地と次期2021年3月期の業績ガイダンスが注目されている。

■年初来調整幅の半値戻しを達成し相場格言通りの全値戻しの年初来高値奪回

 株価は、2020年3月期第3四半期(2019年4月~12月期)の2ケタ増収増益業績を買って年初来高値2006円をつけ、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)による世界同時株安に影響され年初来安値1193円まで突っ込んだ。同安値からは、売られ過ぎ修正に「巣ごもり消費」関連株買いが加わって1675円までリバウンド、年初来高値からの調整幅の半値戻しを達成し値固めを続けている。PERは9倍台、PBRは0.98倍と割り負けており、「半値戻しは全値戻し」の相場格言通りに年初来高値奪回に再発進しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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