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クリーク・アンド・リバー社は戻り試す
- 2020/4/23 04:41
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
クリーク・アンド・リバー社<4763>(東1)はクリエイティブ分野を中心にエージェンシー事業、プロデュース事業、ライツマネジメント事業を展開し、事業領域拡大戦略を加速している。21年2月期大幅増益予想である。新型コロナウイルス感染症拡大による影響については織り込んでいない。全体として直接的な影響は限定的だろう。収益拡大を期待したい。株価は3月の安値圏から急反発している。戻りを試す展開を期待したい。なお自社株買いを実施している。
■クリエイティブ分野中心にエージェンシー事業やプロデュース事業を展開
クリエイティブ分野(映画・TV番組・ゲーム・Web・広告・出版等の制作)で活躍するクリエイターを対象としたエージェンシー(派遣・紹介)事業、プロデュース(制作請負・アウトソーシング)事業、ライツマネジメント(著作権管理)事業を主力としている。
20年2月期のセグメント別売上構成比は、日本クリエイティブ分野74%、医療分野12%、会計・法曹分野6%、その他(IT分野のエージェンシー事業、新規事業など)7%、営業利益構成比(調整前)は日本クリエイティブ分野63%、医療分野35%、会計・法曹分野11%、その他▲10%である。
なお韓国クリエイティブ分野は、TVマーケット関連事業を新設会社に承継してCREEK&RIVER ENTERTAINMENTを18年2月期第2四半期から持分法適用関連会社としたが、20年1月9日付で株式を追加取得し、改めて連結子会社化した。
収益面では、医療分野の売上と利益が季節要因で第1四半期と第2四半期に偏重するため、全体としても上期の構成比が高い特性がある。主力の日本クリエイティブ分野は売上・営業利益とも拡大基調である。新規事業分野は人件費などの費用が先行するが順次収益化を見込んでいる。
■事業領域拡大戦略を加速
M&Aも積極活用して事業領域拡大戦略を加速し、新規エージェンシー事業として建築、ファッション、シェフ、プロフェッサー、ドローン、舞台芸術、リサーチャー(研究開発支援者)を展開している。
また新規サービスとしては、米国C&R GlobalがJURISTERRAを活用した法務領域コンサルティングサービス、プロフェッショナルメディアが求人メディア運営、VR Japanが中国IDEALENS社製VRゴーグル販売、台湾インツミット社と合弁のIdrasysがAIプラットフォーム「SmartRobot」開発、エコノミックインデックスがデータ分析サービス、クレイテックワークスがゲームコンテンツ開発・運営を展開している。
VR関連ではVR Japanが20年1月、コニカミノルタおよびNTTドコモとの5Gを活用した共同実証実験において、360度映像という大容量データを1秒以下の低遅速で配信することに成功した。AI・ロボット関連では19年6月、クラウドAIプラットフォーム「MAGELLAN BLOCKS」を使ったAI予測モデル構築支援サービスを開始した。クレイテックワークスは自社開発ゲーム「パレットパレード」が不振のためモデル転換を推進している。
19年9月にはジェイアール東日本企画と共同で、データドリブンマーケティング事業を推進する新会社JDDLを設立した。またクレイテックワークスが、インタラクティブブレインズの3DCGアバター事業、VR事業、コンテンツ開発事業を譲り受けた。
なお18年3月東大発バイオベンチャーのCO2資源化研究所(UCDI)に出資し、水素と二酸化炭素から菌体を培養してBiofeeds(バイオフィーズ:飼料蛋白素材)やバイオ燃料の資源化を目指す研究開発に協力している。
■21年2月期大幅増益予想
20年2月期連結業績は、売上高が19年2月期比11.4%増の329億46百万円、営業利益が32.0%増の20億83百万円、経常利益が32.7%増の21億03百万円、純利益が40.2%増の13億59百万円だった。配当は3円増配の15円(期末一括)とした。
各利益は計画をやや下回ったが大幅増益で着地した。既存事業(テレビ・ゲーム・Webの派遣・請負、医師・会計士・弁護士の紹介など)が順調に伸長し、人件費、地代家賃、減価償却費など販管費の増加を吸収した。また子会社のゲーム事業の収益化が遅れていたが、韓国ゲーム事業は世界配信開始で第3四半期が黒字、クレイテックワークスはモデル転換で第4四半期が黒字となった。なお新規事業への先行投資による営業利益へのマイナス影響は約6億円(19年2月期約2.5億円)だった。
21年2月期の連結業績予想は、売上高が20年2月期比21.4%増の400億円、営業利益が24.8%増の26億円、経常利益が23.6%増の26億円、純利益が17.7%増の16億円としている。配当予想は1円増配の16円(期末一括)である。
各分野のベース事業の伸長に注力する。セグメント別営業利益(連結調整前)計画は、日本クリエイティブ分野が16億35百万円、韓国クリエイティブ分野が20百万円、医療分野が8億円、会計・法曹分野が2億60百万円、その他が90百万円の赤字としている。新規エージェンシーとしてCXおよびアスリートを開始する。
なお新型コロナウイルス感染症拡大による影響については、現時点では数値化することが困難として織り込んでいない。テレビ番組制作関連などへの影響が懸念材料となるが、全体として直接的な影響は限定的だろう。収益拡大を期待したい。
■株価は戻り試す
4月9日に自己株式取得(上限80万株・5億円、期間20年4月10日~20年8月31日)を発表した。
株価は3月の安値圏から急反発している。戻りを試す展開を期待したい。4月22日の終値は854円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS74円72銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の16円で算出)は約1.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS386円09銭で算出)は約2.2倍、時価総額は約193億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)