【編集長の視点】加賀電子は決算発表を先取り次期最高純益の大幅最高更新を買い急反発

 加賀電子<8154>(東1)は、前日23日に84円高の1857円と高値引けして3営業日ぶりに急反発した。同社株は、当初予定より延期して5月21日に3月期決算の発表を予定しており、これを先取りし上方修正した2020年3月期業績に続き、次期2021年3月期業績が続伸し、とくに純利益は、今年4月に子会社化したエクセルの寄与で2期ぶりに過去最高を大幅更新と観測されていることを手掛かりに割安株買いが再燃した。テクニカル的にも、3月13日安値と4月6日安値でダブルボトムを形成し、足元でこのネックラインを上抜けて上昇トレンド転換を示唆したこともサポートしている。

■負ののれん発生益だけで約82億円が上乗せとなり純益はV字回復

 エクセルは、加賀電子と同業の電子部品商社で液晶デバイス領域や電気自動車(EV)関連事業、中国顧客基盤に強みを持っており、子会社化することにより相互の取扱商材を補完して電子部品・半導体ビジネスのシェアを拡大し、EMS(電子機器の開発・生産受託)ビジネスをエクセルの顧客に展開することで同事業の事業規模を強化し、合わせて両社の経営資源を融合・最適化させて収益性の向上を図る。この子会社の業績寄与について同社は現在のところ、次期2021年3月期に約82億円の特別利益(負ののれん発生益)を計上するとのみ開示しているが、2019年1月に同じように富士通エレクトロニクスを子会社化しており、これが目下集計中の2020年3月期業績の上方修正要因の一つとなっており、次期業績でも大きく業績を高成長させると期待されている。

 上方修正された2020年3月期業績は、売り上げ4420億円(前期比51.0%増)、営業利益90億円(同18.9%増)、経常利益90億円(同14.5%増)、純利益50億円(同37.6%減)となり、営業利益、経常利益が期初の減益転換予想が続伸予想にプラス転換し、純利益は、前期計上の負ののれん発生益の一巡や今後の内外の情勢変化に備えて構造改革関連費用を計上することから期初予想を据え置いた。

 次期2021年3月期業績は、エクセルのM&A効果が上乗せとなり続伸、とくに純利益は、約82億円の特別利益の効果で大幅増益転換が有力視されている。東洋経済会社四季報最新号では、次期純利益を145億円と2019年3月期の過去最高純利益(80億1300万円)を2期ぶりに大幅更新すると観測している。5月21日の決算発表時の業績ガイダンスが注目されている。

■ダブル底形成でミニGCを示現して上昇トレンド転換し年初高値を目指す

 株価は、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)による世界同時株安に巻き込まれて年初来安値1481円まで大きく調整し、売られ過ぎとして1829円までリバウンドしたが、「緊急事態宣言」の発出で再び1532円まで下ぶれダブルボトムを形成した。このダブル底形成では、5日移動平均線が25日移動平均線を上抜くミニ・ゴールデンクロス(GC)を示現して上昇トレンド転換を示唆、足元の株価もネックラインの1829円を上回っている。PERは10倍台、PBRは0.66倍と大きく割り負けており、年初来高値2663円から同安値への調整幅の半値戻しの2000円台を奪回し、全値戻しに弾みをつけよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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