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ピックルスコーポレーションは戻り試す
- 2020/4/24 04:15
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ピックルスコーポレーション<2925>(東1)は漬物・キムチ製品の最大手である。主力の「ご飯がススム キムチ」ブランド力が向上し、キムチ製品や惣菜製品の拡大、EC・外食・小売領域への展開を推進している。21年2月期増収増益予想である。新型コロナウイルス感染症拡大と緊急事態宣言の影響については軽微の見込みとしている。巣ごもり消費の動きがプラス要因となる可能性もありそうだ。収益拡大を期待したい。株価は3月の安値圏から急反発している。戻りを試す展開を期待したい。
■漬物製品の最大手で「ご飯がススム キムチ」ブランド力向上
漬物・キムチ製品の最大手である。主力の「ご飯がススム キムチ」シリーズのブランド力が向上し、キムチ製品や惣菜製品の開発強化と新製品の積極投入、西日本エリアへの販売拡大、量販店惣菜売場・ドラッグストア・配食事業など販売先の拡大、新たな販売チャネルとしてのEC・外食・小売領域への展開を推進している。
19年2月期の品目別売上構成比は製品63.9%(浅漬・キムチ41.8%、惣菜20.1%、ふる漬2.0%)および商品(漬物、調味料、その他)36.1%だった。販路別売上構成比は量販店・問屋等74.9%、コンビニ15.9%、外食・その他9.2%だった。セブン&アイ・ホールディングス<3382>など大手量販店・コンビニが主要取引先である。収益面では原材料の野菜(特に胡瓜と白菜)価格の影響を受けやすい特性がある。
関西地区の生産体制を強化するため17年12月手柄食品(兵庫県姫路市)を子会社化、九州地区で事業拡大するためピックルスコーポレーション西日本の佐賀工場が18年4月稼働した。
■新たな販売チャネルとしてEC・外食・小売領域にも展開
新たな販売チャネルへの展開では18年4月、ピーネ12乳酸菌活用した商品のECサイト「ピーネオンラインショップ」と、国産・化学調味料不使用にこだわった漬物のECサイト「八幡屋オンラインショップ」を開設した。19年4月にはピーネ関連製品を製造する新工場が完成した。
またグループ商品を活用した外食(レストラン・カフェ)事業および小売(漬物・甘酒・調味料等の販売)事業に参入する。19年8月には運営子会社のOHが埼玉県飯能市の施設「OH!!!発酵・健康・食の魔法」の起工式を実施(設備投資額は概算7億円)した。事業開始は20年7月10日予定である。
■21年2月期増収増益予想
20年2月期の連結業績は、売上高が19年2月期比1.8%増の414億17百万円、営業利益が32.8%増の18億71百万円、経常利益が26.4%増の19億73百万円、純利益が40.2%増の12億90百万円だった。配当は2円増配の30円(期末一括)とした。
概ね計画水準の大幅増益で過去最高を更新した。主力のキムチ製品の販売が堅調に推移し、原料野菜価格の安定や佐賀工場の生産性改善も寄与した。品目別の売上高は製品が7.3%増の264億62百万円、商品が6.6%減の149億55百万円だった。
21年2月期連結業績予想は、売上高が20年2月期比3.8%増の430億円、営業利益が1.8%増の19億05百万円、経常利益が2.8%増の20億28百万円、純利益が3.3%増の13億32百万円としている。配当予想は20年2月期と同額の30円(期末一括)としている。
過去最高更新予想である。品目別売上高の計画は製品が8.1%増の286億14百万円、商品が3.8%減の143億85百万円である。コスト面では新規事業「OH!!!」開始で費用が増加するが、惣菜製品拡販などの増収効果で吸収する。なお新型コロナウイルス感染症拡大と緊急事態宣言の影響については軽微の見込みとしている。巣ごもり消費の動きがプラス要因となる可能性もありそうだ。21年2月期も収益拡大を期待したい。
■中期的に収益拡大基調
中期目標値には、23年2月期売上高457億円(浅漬・キムチ209億36百万円、惣菜93億91百万円、ふる漬8億73百万円、商品144億98百万円)、営業利益20億83百万円、経常利益22億03百万円、純利益14億73百万円を掲げている。設備投資はOH施設、中京工場増床、設備更新などで21年2月期からの3年間で合計43億32百万円を計画している。
天候不順による野菜価格高騰が短期的な業績変動要因となるが、中期的に収益拡大基調だろう。
■株主優待制度は20年2月期末から導入
株主優待制度は20年2月期末から導入した。毎年2月末時点で100株以上保有株主を対象として、商品詰め合わせセットなど(数種類から1点選択、詳細は会社HP参照)を贈呈する。
■株価は戻り試す
株価は3月の安値圏から急反発している。戻りを試す展開を期待したい。4月23日の終値は2338円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS208円32銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想30円で算出)は約1.3%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS2017円79銭で算出)は約1.2倍、時価総額は約150億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)