インフォコムの今期は業務プロセス見直し需要や外出自粛による電子コミック需要など予想され最高益を連続更新する見込み

■2020年3月期は働き方改革や「めちゃコミック」アプリ開始効果などで売上高13%増加

インフォコム<4348>(東1)の2020年3月期の連結決算は、グループ中期戦略で重点事業と位置付けている電子コミック事、ヘルスケア領域のITソリューション事業とも好調に推移し、売上高は前期比12.8%増加して583.75億円となり、過去最高を更新した。

 収益面では、売上原価や営業外費用の伸びが小さかったことなどもあり、営業利益は同じく19.2%増加して82.11億円となり、親会社株主に帰属する当期純利益も同15.9%増加して55.43億円となり、各々最高を更新した。

■ITサービス事業は病院向けなど好調、介護人材会社を子会社化

 ITサービス・セグメントでは、「平成」から「令和」への改元に対応する需要や、消費税の増税による需要などが病院向けを中心に旺盛で、セグメント売上高は前期比4.8%増加して253.91億円となり、セグメント営業利益は同30.7%増加して32.50億円となった。

 働き方改革の拡大にともない、病院の複雑な勤務状況の管理に有効な就業管理システムなどが拡大したほか、従業員の健康状態を一元管理し、健康リスクや生活習慣病等の分析・予測が可能なサービス「WELSA」の提供を開始した。また、地域包括ケア領域では、介護職向け転職支援サービス「ケアスタイル」の機能拡充を図り、人材紹介事業のスタッフプラス社を連結子会社化した。文書管理システム「MyQuick」、統合業務ソフトウェアパッケージ「GRANDIT」の機能も拡充した。

■ネットビジネス事業は新企画や広告最適化など寄与し売り上げ遂に300億円突破

 ネットビジネス・セグメントでは、電子コミック配信サービス「めちゃコミック」事業でデータ分析による広告最適化に加え、無料連載やオリジナルコミックの好調が寄与し、セグメント売上高は同20.0%増加して329.83億円となり、セグメント営業利益は同12.7%増加して49.51億円となった。

 広告強化の施策としては、プロ野球「ヤクルトスワローズ」、プロサッカーチーム「FC東京」へのスポンサー活動や、「めちゃコミック」の人気作品をリアル書店の売り場で紹介する「めちゃ本屋」などを展開した。また、ユーザー拡大策として、若年層をターゲットとした「めちゃコミック」のアプリ版の提供開始や、Web版の機能リニューアルによる「毎日無料連載」を開始した結果、セグメント売上高が遂に300億円を突破した。

■今期は新型コロナ影響する一方で業務プロセスの見直し需要など予測

 今期・21年3月期の見通しは、新型コロナウイルスの流行により企業活動や消費活動への影響が予想されるものの、一方では、業務プロセスを見直す働き方改革への取り組みに関連する新たなIT需要が見込まれ、電子書籍市場では、外出自粛の影響や、5G(第5世代携帯電話)の普及により電子書籍の利用がより一層浸透することが予想されるとし、連結業績は、売上高を670億円(20年3月期比14.8%増)、営業利益を87億円(同6.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は57億円(同2.8%増)の見込みとした。

 新たに「電子コミックとヘルスケアを重点事業として継続成長」を図り、「サービス化による事業構造改革の推進」「共創の積極的推進(M&A、海外展開)」を基本方針とした中期経営計画(2020年4月~2023年3月)を推進する。

 海外展開では、前期にグル―プインした韓国の電子コミック事業会社ピーナトゥーン社の寄与や、パピレス<3641>(JQS)との共同出資による電子コミックの海外事業新会社の展開が注目される。(HC)

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