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- 【アナリスト水田雅展の銘柄診断】ジョルダンは14年9月高値に接近、訪日外国人旅行客増加も追い風で上値試す
【アナリスト水田雅展の銘柄診断】ジョルダンは14年9月高値に接近、訪日外国人旅行客増加も追い風で上値試す
- 2015/5/13 07:03
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ジョルダン<3710>(JQS)は経路検索ソフトを主力とする乗換案内事業などを展開している。株価は5月11日に年初来高値875円まで上伸して14年9月高値884円に接近する場面があった。訪日外国人旅行客増加も追い風であり、15年9月期好業績期待で上値を試す展開だろう。
乗換案内事業(無料版「乗換案内」、有料サービス「乗換案内NEXT」「乗換案内Plus」、総合旅行サービス「乗換案内トラベル」、および広告、グルメ・運行情報サービスなど)を主力として、マルチメディア事業(電子出版・紙媒体出版、ニュース、教育、その他コンテンツ)や、その他事業(受託ソフトウェア開発、その他新サービス)も展開している。
有料サービス「乗換案内NEXT」「乗換案内Plus」の14年9月末有料会員数は約55万人に達している。また無料を含めて「乗換案内」の各種インターネットサービスの検索回数は14年12月に月間約2億回となり、当該サービスの月間利用者数は1000万人超となっている。
乗換案内事業では、鉄道の経路検索にとどまらず、路線バスの経路検索にも対応している。さらに利便性の高い「乗換案内」を目指して、今後は「駅から駅」「バス停からバス停」の案内にとどまらず、徒歩ルートを含めた「地点から地点」「場所から場所」案内を強化する方針だ。
「移動に関するNO.1情報プロバイダー」を目指し、新サービス開発や機能充実に向けてM&A・アライアンス戦略も積極活用している。12年9月にグルメぴあネットワークを子会社化(13年4月吸収合併)、12年11月にネット旅行販売・情報提供のイーツアーを子会社化、14年7月に合弁で「ミール・プラス」事業のRemunera Jorudan(レムネラ・ジョルダン)を設立した。一方ではマルチメディア事業における不採算事業からの撤退を進めるとともに、新たな採算事業も模索している。
4月23日には、訪日外国人旅行客をターゲットにしたルート案内ソリューション「乗換案内Visit」の提供を5月11日から順次提供すると発表した。英語、中国語(簡体字・整体字)、韓国語に日本語を含めた5言語に対応する。乗換経路検索だけでなく、ゼンリン<9474>提供の多言語地図との連携により、多言語でのトータルルート案内サービスを実現した。
4月30日には東京国際空港ターミナルと連携して、羽田空港国際線旅客ターミナルから目的地へ、また各地から羽田空港国際線旅客ターミナルへ、鉄道やバスを利用して移動する経路のアクセス検索サービス「TIAT ROUTE MASTER」の提供を開始すると発表した。日本語だけでなく英語、中国語(簡体字・整体字)、韓国語の検索も可能だ。
5月11日にはVAIRON(東京都)と提携して、中国のTencentが運営するスマートフォン向けコミュニケーション・チャットアプリ「WeChat」の企業アカウント開設だけでなく、企業が効果的に「WeChat」を活用するための独自の開発を行う体制を整えたと発表している。訪日中国人の購買行動へ結びつけるブランドコミュニケーションを行うには、7億人ユーザーの「WeChat」への企業アカウント開設および運営が必須とされるため、共同で「WeChat」を活用するマーケティング活動をコンサルティングから開発まで提供する。
今期(15年9月期)の連結業績予想(11月13日公表)は、売上高が前期比4.2%増の45億円、営業利益が同3.3%増の6億円、経常利益が同1.2%増の6億20百万円、純利益が同2.7%増の3億90百万円、配当予想が前期と同額の年間13円(期末一括)としている。
製品・サービス別売上高の見通しは、乗換案内事業が同2.8%増の42億60百万円(モバイルが同2.0%減の10億50百万円、広告が同15.4%増の3億30百万円、個人向けが同11.8%減の90百万円、法人向けが同7.1%増の9億30百万円、旅行が同4.2%増の16億50百万円、グルメが同9.5%減の2億円、他乗換が同11.1%増の9百万円)、およびマルチメディア事業が同3.0倍の1億円、その他が同横ばいの1億40百万円としている。
第1四半期(10月~12月)は前年同期比9.0%増収、同24.6%営業減益、同29.3%経常減益、同49.5%最終減益で、通期見通しに対する進捗率は売上高23.5%、営業利益15.7%、経常利益15.5%、純利益13.6%だった。
新たな事業展開に向けた新製品・サービスの開発に係る人件費の増加、負ののれん発生益の一巡が影響して減益となり、通期見通しに対する進捗率も低水準だった。しかし売上面では法人向けサービスやイーツアーの旅行関連などが好調に推移しているようだ。
乗換案内事業ではスマートフォン向け有料サービスの機能強化で会員獲得を推進し、スマートフォン向け無料サービスにおける広告、法人・自治体向け案件、旅行関連パッケージ商品などの販売拡大を見込んでいる。訪日外国人旅行客の増加も追い風として第2四半期(1月~3月)以降の挽回が期待され、さらに20年東京夏季五輪開催も追い風となって中期的に収益拡大基調だろう。
株価の動きを見ると、800円近辺でのモミ合い展開から上放れの動きを強めて1月の864円を突破した。5月11日には年初来高値875円まで上伸して14年9月高値884円に接近する場面があった。
5月12日の終値843円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS74円72銭で算出)は11~12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間13円で算出)は1.6%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS764円87銭で算出)は1.1倍近辺である。
日足チャートで見ると25日移動平均線が上向きに転じた。また週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインとなって長期上昇トレンドの形であり、14年9月高値884円は射程圏だ。訪日外国人旅行客増加も追い風であり、15年9月期好業績期待で上値を試す展開だろう。